どうも、Webマーケター兼中小企業診断士のトーマツです。
「流れに身を任せていたら、中小企業のマーケティング顧問に就任することになった」
「引くに引けない状況だけど、何をしたら良いかわからない。。。」
こんな状況でお困りの方なんて流石にいませんよね?、、、、と思いつつ、つい先日友人の診断士からも上記の相談を受けましたし、意外に多いお悩みなのです。
本音を言えば、流れに身を任せて案件を受けるのは避けたいところですが、一度引き受けた仕事はしっかりやりきりたいですよね。
私も昔は出来ないを出来ると言い張り、無理をして案件を受注していたタイプなので気持ちはわかります。
というわけで本記事では、僭越ながら友人に助言した内容を中心に「話の流れでマーケティング顧問に就任した際にやるべきこと」を解説したいと思います。
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記事前半では「駆け込み寺を確保することの重要性」について解説しました。
前半記事が気になる方はこちらからどうぞ↓
- 急にマーケティング支援案件に携わることになった中小企業診断士(またはコンサルタント)
駆け込み寺が確保できた後に「やるべきこと」とは?
中小企業マーケティング顧問への道のりは、駆け込み寺が確保できてからが出発点です。
では、真っ先にやるべきことはなんでしょうか?
答えは「マーケティング上の課題を『ざっくり』抑えること」です。
マーケティング上の課題を『ざっくり抑える』とはどういうことか?
ドラッカー博士の言葉を借りますが、マーケティングとは「売れる仕組みをつくること」を指します。
この「売れる仕組み」の本質は「お客様から欲しがられる商品を開発し、その商品とお客様を結びつけること」です。
また、欲しがられる商品があることを『商品力が強い』、商品と顧客を結びつける方法を持っていることを『集客力が強い』と定義すると、売れる仕組みとは「『商品力』と『集客力』の両方を兼ね備えていること」と捉えることができます。
すべての中小企業が目指すべき姿は言うまでもなく『商品力』と『集客力』の両方を兼ね備えることです。
ただし、現実においては、ほとんどの会社はこの状態を実現できておりません。
しかし一方で、私の経験では、3年以上事業継続できている会社は得てして、『商品力』または『集客力』のいずれかに光るものを備えております(創業まもない会社は別です)。
この前提に立てば、ほとんどの中小企業のマーケティング上の課題は以下のいずれかに集約されます。
- 商品力の向上
- 集客力の向上
めちゃくちゃざっくりしていますが、かなり実情を突いていると思います。
『商品力の向上?』or『集客力の向上?』
支援先の課題が『商品力の向上』なのか『集客力の向上』なのかによって、その会社の取るべき対策はガラリと変わります。
なぜなら、商品力がいくら強くてもお客様から認知されなければ買っていただけませんし、お客様を呼び寄せる集客力がどれだけ強くても、お客様に欲しがられる商品を用意できなければ、やはり買っていただけません。
いずれも結論は「買っていただけない」という点では同じですが、その理由が全然違う以上、対策手段は全然異なります。
つまり、あなたのマーケティング顧問としての最初の仕事は、支援先の状況分析を通じて『商品力』か『集客力』のどちらに課題があるのか?を見極めることです。
しかし、この見極めに時間を使ってはいけません。
なぜなら、支援先はマーケティング顧問としてのあなたの力を試しているからです。
重要課題以外に避ける無駄な時間は一切ありません。
つまり、この分析はクイックにざっくり行うべきなのです。
どちらが課題なのか?をざっくり見極める
では、『商品力』と『集客力』のどちらに課題を抱えているのかをざっくり分析するにはどうすれば良いのでしょうか?
答えは、支援先の社長(または事業責任者)に対して「ある問い」を投げかけることで、「支援先の商品力が強いのか?弱いのか?」を調べれば良いのです。
この「ある問い」は後述しますが、仮に
- 商品力が強ければ → 課題 =『集客力』
- 商品が弱ければ → 課題 = 『商品力』
になります。
理由は至って単純で、仮に商品力が強い場合、集客力に課題を抱えてなければ、商品は嘘のように売れているはずだからです。
この状況では、そもそも、あなたにマーケティングの相談になんて来ないでしょう。
しかし、相談に来られていると言うことは、売上に対して何かしらの課題を抱えている訳です。
売れていない理由が商品力ではないのであれば、消去法的に集客力に課題があると考えられます。
一方、商品力が弱ければ、どれだけ集客力が強くても売れません。
商品力の弱い会社はしばしば「バケツに穴が空いた状態」に例えられます。
集客力を向上することを「水の量を増やすこと」に見立てると、商品力の弱い会社が集客にどれだけ取り組んだとしても、お客様のほとんどはバケツの穴からこぼれ落ちてしまいます。
つまり、商品力の弱い会社が真っ先に取り組むべきは「商品力の向上」になります。
商品力の強さを測るには「USPの有無」を聞けば良い
では、商品力の有無はどのようにして測れば良いのでしょうか?
それは支援先の社長や社員へのヒアリングを通じて「USPを持っているかどうか?」を判断すれば良いのです。
USPとはUnique Selling Proposition(ユニーク・セリング・プロポジション)の頭文字を取ったもので「自社のプロダクト・サービスが持つ独自の強み」を指すマーケティング用語です。
平たく言えば、「顧客が欲しがっていて、かつ競合が提供できない、自社サービス・プロダクトのみが提供できる独自の強み」です。
USPは顧客ニーズ起点で考えるフレームワークなので、USPを保有している会社は集客力さえあれば「100%売れます」。
なお、支援先に対しては間違っても「USPを持っていますか?」という聞き方をしてはいけません(日本人の99%以上はUSPという言葉を知らないから)。
ヒアリングの方法は自由ですが、以下を整理しましょう。
- 顧客のニーズが特定できているか?
- 競合の提供価値はどんなものがあるか?
- (競合が提供できない)自社のみが提供できる価値はあるか?
これらの内容に対して十分な回答が得られない場合、その支援先は「商品力に課題を抱えている場合が高い」です。
この場合は、「中小企業診断士が「刺さるUSPの作り方」を分かりやすく解説【保存版】」を参照いただきながら、「USPの作成」を軸に支援メニューを検討いただくのが良いでしょう。
逆に、USPを保有している場合は、集客力の向上に軸に支援メニューを作成しましょう。
集客力向上の方法には数多の手段が考えられますので、ここでは解説をスキップしたいと思います。
もし特定の集客課題でお悩みのことがありましたら、「お問い合わせ」よりご連絡ください。
マーケティング顧問として成功するための心構え
ここからはマーケティング顧問として成功するための簡単な心構えを解説したいと思います。
- まずは信頼を得る(小さな成果を早めに出す)
- マーケティング費用対効果の意識づけを行う
- 戦術にハマりすぎて全体像(目的)を見失わないこと
一つずつ解説します。
①まずは信頼を得る(小さな成果を早めに出す)
あなたが顧問として真っ先にやるべきことは「お客様の信頼を掴み取る」ことです。
なぜなら、お客様はあなたに顧問サービスを発注したことが「正しかったのかどうか?」を知り、安心したがっているからです。
なかには、社員からの反対を押し切ってまで、発注に踏み切った方もいるでしょう。
そのような方々の期待を裏切らないことがお客様にできる最初の恩返しなのです。
信頼を掴み取るために持っておくべき心構えは「支援先の状況を少しでも早く『目に見える形』で改善すること」です。
具体的に採れる手段は状況によりけりですが、例えば、中小企業の多くはGoogle Analaytics(GA)等のアナリティクスツールを入れてすらいません。
このような企業に対して、初期のお土産として、GA等のツール導入をサポートしてあげれば良いのです。
仮にGAを既に導入していた場合は、データ分析により改善案を立案すれば良いのです。
支援先が足りていない部分を即座に見抜き、「省エネで改善できる部分は惜しまず改善する」というスタンスが必要です。
こうした目に見える改善が信頼を積み上げていきます。
支援内容の目的意識から大きくずれることは許されませんが、ぜひクイックに改善できるところがあれば、どんどん改善していきましょう。
また、多くの中小企業は「分厚いレポート」よりも頻繁なコミュニケーションを好みます。
頻繁なコミュニケーションは「単純接触効果」により支援先からの好印象(≒信頼)を得ることにも繋がりますので、支援開始序盤は高頻度コミュニケーションを心がけましょう。
②マーケティング費用対効果の意識づけを行う
次は細かい内容になりますが「受注獲得コストの意識づけ」を行うことです。
理由は至って単純。支援先に受注獲得コストの理解がないと、集客施策の議論が始まらないからです。
私が中小企業診断士になって最も驚いたことの一つが「中小企業によるマーケティング費用対効果に対する意識のなさ」です。
多くの中小企業は場当たり的なマーケティング施策を展開しては失敗しています。
この一端を担うのが、マーケティングの費用対効果に対する意識の欠如です。
例えば、支援先がとあるマーケティングキャンペーンを実施し、売上が1,000万円あがったとしましょう。
あなたはこれを聞いて「成功か失敗」の判断ができますでしょうか?
答えは「判断不可」です。
なぜなら、そのキャンペーンには広告宣伝費、並びに企画や実行に関わった社員の人件費、外注先への外注費用がかかっているからです。
仮に1,000万円の売り上げが上がったキャンペーンに1,100万円のコストを欠けていたとしたら、これは失敗です。
逆に売り上げが100万円だったとしても、20万円のコストであれば、前者のキャンペーンよりは成果が出ていると見做せます。
かなり単純な話をしておりますが、多くの中小企業経営者はこれらの意識づけがありません。
どんぶり勘定経営にならないように支援先をコントロールをすることも顧問の仕事です。
ぜひマーケティングの費用対効果に関しては、しっかり押さえて頂くよう、支援先の教育を行いましょう。
③戦術にハマりすぎて全体像(目的)を見失わないこと
最後は「戦術にハマりすぎて全体像を見失わないこと」です。
中小企業向けマーケティング支援において「戦略立案のみ」で完結することは稀です。
言い換えると、戦略立案をした後はほとんどの場合、実行支援が伴います。
実行支援にのめり込むことは本来GOODなのですが、のめり込みすぎると全体像を見失ってしまう罠に陥ることがあります。
例えば、支援先のデジタルマーケティング支援の一環で、コンテンツSEOを展開することを決定し、6ヶ月間に「30本」の記事を作成することに決めたとします。
コンテンツ作成自体は順調に立ち上がってきているものの、15本程度記事をアップロードしても一向にユーザー数やセッション数が立ち上がってこない、こんな状況があったとします。
この場合、あなたならどうしますか?
もちろん、ユーザー・セッション数が立ち上がってこない理由にもよりますが、仮にその理由が「計画段階で準備した検索キーワード群がレッドオーシャンすぎて、記事投稿しても上位表示できない」という状況だったとします。
この場合、検索キーワードの選定に不備があったことを第一に反省すべきですが、私であれば、費用対効果の観点からコンテンツSEOに再チャレンジすべきか否かを判断し、再チャレンジすべきと判断すれば、キーワード群の見直しを図ります。
言い換えると、キーワードをどれだけ見直してもレッドオーシャン以外が見つからない領域であれば、別の集客施策を検討します。
しかし、施策にのめり込んでしまうタイプの顧問ほど、最初に掲げた「6ヶ月で30本の記事を作成する」という手段の方に気を取られ、売上アップのためのリード獲得数の向上という大目標を見失ってしまいます。
これがNGなことはここまで読んでくださった読者の方であれば理解できますよね。
これからマーケティング顧問を目指す方はぜひ支援メニューの大きな方向性を常に意識しながら、目的意識を持った助言に徹してほしいと思います。
まとめ
以上、本記事では「話の流れでマーケティング顧問に就任した際にやるべきこと」について解説させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
もし本記事の内容でご質問ある方は是非コメント欄に書き込んで頂けると幸いです。
お答えできる範囲で答えさせて頂きます。
それではまた!