どうも、Webマーケター兼中小企業診断士のトーマツです。
中小企業診断士になると周りからチラホラ聞くようになる「顧問契約」という言葉。
みなさん大好きな定期収入を想起させますし、なにより響きが良いですね。
多くの新米中小企業診断士は「顧問契約の獲得」を最初の目標に掲げているのではないでしょうか?
しかし、周りを見渡すと意外にも顧問として活動している診断士は少ないのが実情です(2016年の統計によると、診断士の正会員9,457人中顧問契約画あると答えた人はわずか275名)。
その実態は謎ですし、獲得するための方法もネットには転がっていません。
そこで本記事では、顧問契約を12社(2023年10月時点)保有する私トーマツが診断士として顧問契約を獲得するために「持っておきたいマインドセット」3選を紹介したいと思います。
▼最近はじめたYouTubeでも解説しております!ちょっと内容は異なりますが、こちらも覗いてみてくださいね!
- 診断士として顧問契約をとっていきたい人
そもそも中小企業診断士の顧問って何やるの?
顧問契約獲得の流れの前に「そもそも顧問って何やるの?」から説明したいと思います。
どんなことを行うのか?
顧問契約とひと言で申しても価値提供の手段は様々です。
私の例でいくと下記のようなイメージです。
- 新規事業開発の種々サポート(3件)
- マーケティング戦略の立案サポート(6件)
- マーケティング施策の実行サポート(3件)
実際問題こんなにパキッと役務範囲が分かれている訳ではないのですが、あえて分類するとこんな感じとご理解いただければと思います。
①新規事業開発の種々サポート
文字通り、顧問先の新規事業の種々支援をやらせて頂いております。
最近の言葉で言えばBizDevです。
自分で言うのもなんですが、私は社会人キャリアを始めてから、ずっと何かしらの形で新規事業開発に携わっており、診断士になる前からかなり得意な領域です。
新規事業開発はビジネスの総合格闘技ですので、役務範囲は多岐に渡ります。
- 顧客課題の理解
- 成長レバーの発見とKGI, KSF, KPIの定義
- 実行組織の構築
- セールス&マーケティング
- アライアンス
- 調達・ロジスティクス
- ファイナンス
- 設備投資
- ロビー活動
- スケジュール管理
顧問先に責任者となるプロダクトマネージャー(またはプログラムマネージャー)を設置してもらい、この方を後方支援させていただく形をとっています。
②マーケティング戦略の立案サポート
顧問先のマーケティング戦略の立案サポートを行なっております。
この形態で顧問契約を締結させていただく場合、大前提として、先方にマーケティング責任者と実行体制(チーム)があるかどうかを確認します。
次にヒアリングシートを用いて顧問先がこれまで取り組んできた戦略・施策を抽出し、今後の戦略を起案します。
その過程でよく用いるのが以下のマーケティング全体マップです↓
このようなマップをお見せすると多くの顧問先は、「これまで戦略を立てず無闇な施策を乱発してしまっていた。。。」と、これまでの施策を反省いただけて、今後の提案が捗りますのでおすすめです。
なお、全体マップは大前提として、顧問先の商材の「顧客が誰か?」がしっかり定義できている場合のみ有効です。ずれている場合はターゲット選定から見直すよう提案することもあります。
話がそれましたが、まあこんな感じのことをやっております。
③マーケティング施策の実行サポート
最後はマーケティング施策の実行サポートです。
定型化フェーズまで確立された業務は顧問先社員やスタッフにお願いするのですが、新たな施策群に関しては企画から実行まで私で担当することがあります。
いわゆるデジタルマーケティング3象限の「オウンドメディア」「ペイドメディア」「アーンドメディア」の企画から実行まで行うというものです。
- オウンドメディア
コンテンツSEO施策の実行支援、ホームページ立ち上げ・リニューアルの実行支援 - ペイドメディア
リスティング広告、Meta広告、Linkedin広告、YouTube広告等の実行支援 - アーンドメディア
SNSマーケティング、インフルエンサーマーケティングの実行支援
もしかしたら多くの方がイメージされている顧問契約からかけ離れているかもしれませんが、顧問としての能力を日々アップデートしていくには現場のスキル向上が欠かせません。
リソースがかなりかかる契約形態ですが、私自身はやはり現場が好きであり、今後もなるべく実行支援的な関わり方は継続していきたいと思っております。
顧問先との日々の関わり方
日々の関わり方はフェーズによって異なりますが、PDCAフェーズに入ったものに関しては以下のようなイメージです。
- 月次定例ミーティングにおける進捗確認・ネクストアクションの決定
- Slackでのコミュニケーション(回数制限なし)
- 重要会議(アライアンス先、顧客インタビュー、など)の同席
なお、こちらはあくまでも私の例ですが、定例ミーティングは必ずzoomでお願いしております。
理由は時間とお金がもったいないからです。
これまでオフィス訪問は数回した行なったことがありませんし、振り返ってみて訪問した場合としなかった場合で実際の提供価値が変わったと思えません(先方は時間を使ってくれてありがたい、、と思うのでしょうが)
なので、ミーティングはzoomでOKという企業様のみと契約しております。
また、必ず先方にはSlackのようなコミュニケーションツールの設定をお願いしております(Chatworkでも可)。
理由はメールでのやり取りはめちゃくちゃ非効率だからです。
Slackに連絡を入れていただければ私の場合、ほとんど必ず3時間以内に何かしらのレスを入れさせて頂いております。
こんな感じで頻度の高いクイックコミュニケーションを重視
なぜこんな形態を取っているかというと、これまでの中小企業支援の中で実感しているのが「顧問先は分厚いレポートよりも頻度の高いクイックコミュニケーションの方が満足度が高い」という実感があるからです。
コンサルファームが作るような分厚い分析レポートを否定するわけではありませんが、対象企業によって向き不向きがあると考えます。
相手方が大組織であって、幾つもの上申ステップを経てようやくアクションが取れるような場合は、分厚いレポートの方が効果的かもしれませんが、相手方が小さい組織であれば、意思の疎通はSlackのクイックコミュの方が向いております。
報酬
診断士になりたての頃はボロボロの報酬形態で月額3万円とかで受けておりました。
ただ、現在は個人で動く場合、新規事業開発やマーケティング戦略支援の月次ミーティング+Slackコミュ+ 重要ミーティングの同席の場合、月額10万円〜20万円(税別)でお願いしております。
なお、実稼働時間が5時間を超える場合は単価アップをお願いしております。
また、私が主催するデジタルマーケティングラボ(DML)で請け負う案件は研究事例に使わせてもらうこともあり、上記より安価な金額でやらせてもらっています。
顧問契約を獲得するために「持っておきたいマインドセット」3選
前置きが長くなってしまいましたが、ここからは顧問契約獲得するために持っておきたいマインドセットを説明します。
なお顧問契約の獲得は実績を積めば積むほど、容易になってきます。
実際、私自身顧問契約獲得に要する負荷は回数を重ねるごとに下がってきております。
今回は、あくまでも実績がない方を対象とした説明になりますので、あらかじめご理解ください。
- 「相手の事業を支援したい」と強く想うこと
- 信用を積み上げていくことに集中
- 売り込まない
①「相手の事業を支援したい」と強く想うこと
実績がない方が顧問契約を獲得するには相当の負担がかかります。
プロポーザルを提出したとしても首を縦に振ってくれる保証はありません。
つまり、営業フェーズにおいて「どの程度この会社に時間を使えるか?」(使っても惜しくない)と考えられるかが重要になってきます。
これにはあなた自身が相手方の事業に強く惹かれ、是が非でも自分が支援したいと思える必要があります。
このような魅力的な企業様・経営者に巡り合うには確率論的な話がつきまといますので、大前提として「あなたと見込み顧客との接点を増やす」必要があります。
また、ご自身が支援したいと心から想える経営者や事業はどんなものなのか?の要件を予め考えておき、チャンスが来たときにすぐに飛び付けるようにしておくことも重要です。
なお、見込み顧客との接点を増やす方法に関しては「中小企業診断士の仕事の取り方とは?4つのパターンを分かりやすく解説」にまとめておりますので、やり方がパッとわからない方はぜひ参考にしてみてください。
②信用を積み上げていくことに集中
支援したいと強く想える企業様を見つけたら、接点を確保し、信用を積み上げていきましょう。
顧問契約を獲得するには、相手方から「〇〇さんに相談すれば物事が良い方向に進む」実感を得てもらう必要があり、これはすなわち「信頼を獲得すること」です。
しかし、信頼の獲得には地道な信用の積み上げが必要です。
ちなみに「信頼」と「信用」は全く別物です。
「信頼」は相手方があなたに対して未来の展望や可能性を委ねられるか?を判断する精神的な基準であるのに対して、「信用」は相手方とあなたとの関係性は抜きにどれだけあなたが有益なアドバイスや実績を出してこれたのかの物質的な基準で定められます。
また、信頼は信用の積み重ねでのみ獲得できます。
では、信用はどうやったら積み上げられるのか?
これには、とにかく相手方の課題を理解し、課題解決につながる有益情報を提供しまくる手段が効果的です。
例えば、私の場合、新米だった時どうしても支援したいと思っていた企業様に下記を手弁当で実施したことがあります。おそらく30時間以上は無償で手を動かしたと思っております。
- 現状のデジタルマーケティング施策の効果分析
- 新たな顧客仮説の立案
- 競合分析(商材理解、デジマ施策の分析、など)
- アクションプランの策定(失敗した場合の代替案含む)
もはや契約締結後に実施するような内容ですが、ここで損得勘定を働かせてはNGです。なぜならあなたは顧問契約獲得の実績がない新米診断士だからです。
実績豊富なコンサルタントであれば、これまでの実績・経験をテコに30分程度お話すれば相手方から信頼を獲得することも可能ですが、それが叶わない場合は自分の時間を費やす他ありません。
有益情報の提供によって信頼が得られれば、相手方の提案を受け入れる体制がじわじわ生まれてきます。
③売り込まない
信用を積み上げていく過程で、プロポーザルをご披露することはあれど、売り込んではいけません。
相手方には相手方の都合があり、売り込み意識の強い人の話は聞いていてイヤな気持ちになるからです。イヤな気分になられてしまってはどんな効果的なプロポーザルも機能しません。
魅力的な企業様・経営者様は不当な取引をイヤがります。
あなたが実直に信用を積み上げるステップを実行していれば、相手方の方から「そろそろお金をお支払いしたい」と申し出が出てくるでしょう。
まさに返報性の原理です。
売り込まない営業が実は一番売れるという定説がありますが、これは本当にその通りだと思います。
私の例で言いますが、私は顧問を獲得する上で売り込んだことはありません。
もちろん魅力的なプロポーザル・オファーはお出ししますが、「選ぶのはお客さまです」というスタンスを面談中に何度も何度も打ち出します。
これが私自身の余裕を演出し、相手方がフラットに提案を受け入れる方が得か損か?という本質的な選択肢を検討いただけることにつながります。
営業行為というのは「お客さまに新たな選択肢を提供すること」であり、むやみやたらに自分達の商材を押し売りする行為ではありません。
営業経験がない方がこのようなマインドを持つには、「相手方の事業を心の底から良くしたいと想えるか?」が重要であり、①で説明した部分が全ての根幹となります。
相手方の事業を良くするための選択肢を増やすことに徹することができれば、自ずと顧問契約の獲得は近づいていくるでしょう。
まとめ
以上、本記事では「顧問契約を獲得するために「持っておきたいマインドセット」3選」について解説させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
もし本記事の内容でご質問ある方は是非コメント欄に書き込んで頂けると幸いです。
お答えできる範囲で答えさせて頂きます。