どうも、Webマーケター兼中小企業診断士のトーマツです。
Open AIが22年11月にリリースした「ChatGPT」というAIチャットボットが「あまりにも賢すぎて最強」と話題になっています。
なんと、リリース後の1週間で100万人のユーザーを獲得したとか。。。
どのくらい凄いのかというと、こんな感じで基本的にどんな質問にもわずか2秒で、わかりやすく答えてくれます。
補足情報も加えてくれる優しいやつ
他にも長い文章を要約したり、コピペするだけでゲームを作れるコードを生成してくれたり、「〜を提案してください」のような将来のアクションにつながる助言もしてくれるとのこと。
これって色んな人の仕事無くなってしまわない?w
という心配が真っ先によぎった私はワーカホリックですが、それは置いておいて、あまりにもこの革新的なAIということで、私自身をタグづけする大事な要素である「中小企業診断士」よりもスゴイのかどうか?という観点で検証してみました。
それではどうぞ!
- 中小企業診断士
- 中小企業診断士の受験生
ChatGPTは経営コンサルタントよりスゴイ?現役中小企業診断士が調べてみた
まず「ChatGPTが経営コンサルタントよりスゴイのか?」という問いに答えるには、ありとあらゆる分野においてChatGPTの方がスペックが高いことをしらみつぶしに検証しなければなりません。
これでは日が暮れてしまうので、以下を検証することとしました。
[前提条件]
経営コンサルタントよりもスゴイ=経営コンサルタントの国家資格保有者である中小企業診断士よりもスゴイということ
[検証内容]
ChatGPTは中小企業診断士試験を解くことができるのか?
これが仮にYesであれば、あらゆるコンサルスキル領域において「ChatGPT vs コンサル」のバトルを展開しなければなりません(なので、Yesであればブログ記事のシリーズ化不可避)。
一方、これがNoであれば「ChatGPTは診断士以下であると見做せる」ため、それ以上の検証作業は不要になります。
というわけで、早速、中小企業診断士なら解けるであろう診断士試験を解かせてみることにしました。
早速、ChatGPTに診断士試験を解かせてみた
まずは直近のR4 経営法務の第12問から。
[R4 経営法務 第12問]
実用新案法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 実用新案権の存続期間は、実用新案登録の日から10年をもって終了する。
イ 実用新案登録出願の願書には、明細書、実用新案登録請求の範囲、図面及び要約書を添付しなければならない。
ウ 実用新案法は、物品の形状と模様の結合に係る考案のみを保護している。
エ 他人の実用新案権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があったものと推定される。
引用:https://www.j-smeca.jp/attach/test/shikenmondai/1ji2022/E1ji2022.pdf
実用新案登録出願時の要件に関する、かなり基礎的な問題ですね。
これくらいはパパッと解いて欲しいものです。
というわけで、ChatGPTに入れてみたところ
ものの数秒で答えを出してきました。
答えは「イ 実用新案登録出願の願書には、明細書、実用新案登録請求の範囲、図面及び要約書を添付しなければならない。」です。
簡単な問題と言えどコンマ数秒で解答を返されたので、なんだか煽られた気分になりました。。。
じゃあ次はもっと難しい問題を出そうじゃないかということで H29 経営法務の第13問を出しました。
[H29 経営法務 第13問]
不正競争に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものであっても、自己の氏名を使用する行為は不正競争になることはない。
イ 他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものであっても、需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一の商品等表示を使用する者がその商品等表示を使用する行為は不正競争になることはない。
ウ 日本国内において最初に販売された日から起算して三年を経過した商品について、その商品の形態を模倣した商品を譲渡する行為は不正競争になることはない。
エ 不正の手段により取得した技術上の秘密を使用する行為に対する差止請求権が時効によって消滅した後に当該使用行為に基づいて生じた物の譲渡行為は不正競争になることはない。
引用:https://www.j-smeca.jp/attach/test/shikenmondai/1ji2017/e1ji2017.pdf
これは某予備校判定で「Eランク」とされている多くの受験生を苦しめた問題です。
答えは「エ」ですが、正直、私では初見で解ける気がしません。
ところが、ChatGPTに問いかけたところものの数秒で、
コ、コイツ、、、、ホンモノやないか、
で、でも、今のところ法律問題しか出してないし、、、そうだ!計算系は苦手かもしれない
ということでR2 財務・会計 第10問を出してみました。
[R2 財務・会計 第10問]
以下の資料に基づき、当月の直接労務費の金額として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、予定賃率を用いて賃金消費額を計算している。
【資 料】
1 .本年度の直接工の予定就業時間は 12,000 時間、直接工賃金予算額は
14,400,000 円である。
2 .当月の直接工の直接作業時間は 1,100 時間、間接作業時間は 100 時間、手待時間は 200 時間であった。
〔解答群〕
ア 1,200,000 円
イ 1,320,000 円
ウ 1,440,000 円
エ 1,680,000 円
引用:https://www.j-smeca.jp/attach/test/shikenmondai/1ji2020/B1ji2020.pdf
数字を加工しないといけないし、単純な暗記で乗り切れる分野ではないです。
これなら、どや!と自信満々でChatGPTに投げてみたところ
この時点で私の頭のなかはパニック状態でした。
コイツにかかれば解けない診断士試験問題はない。
それどころか、コイツに解けない経営課題はない。
それってすなわち中小企業診断士は不要ってことよね?
「日経新聞で診断士はAIに淘汰されない士業って紹介されてた〜!ヒャっっヒャ〜〜!」と騒いでいたい奴らは私と一緒にChatGPT様の前で謝罪してほしい。
もしかしたら人類はパンドラの箱を開いてしまったのではないか?
こんなことを考えながら打ちひしがれていましたが、そのような中、わずかな余力を振り絞ってChatGPT様に「解説をお願いします」とお願いをさせて頂いたところ
わずか0.2秒でこのような丁寧かつ正確なご回答を頂けました。
そうなんです。
ChatGPT様は頭が良いだけでなく、人格者なのです。
もう勝てへんやろ。。。
こんなんに勝つんなんて無理やろ、、、と頭が混乱していた私は
ひょんなことから、R4 診断士二次筆記試験の事例I の与件文と「以下の文章を踏まえてA社の現状について述べてください」と打ち込んでいました。
すると、なんと、、
エラーメッセージが出てきたではありませんか。
TOEIC990の私的に翻訳すると
「文章が長すぎるよ〜〜〜。もっと短くしてくれないとムリぽ」
とのことです。
見つけました!
ついに見つけました!
ChatGPTの弱点を!
ついに形成は逆転しました!
診断士の大勝利です。なぜなら、診断士は二次筆記試験の与件文を頭の中で処理できるのだから。
この時点で私の表情はこんな感じになってたと思います(全然計画通りではないですが)
ChatGPTはスゴイ。けどまだまだ不完全
はい、ここまで茶番に付き合っていただきありがとうございました。
以上のようにChatGPTにも弱点があることが分かりましたが「長文を処理できないこと」以外にも実は苦手なことがたくさんあります。
- 実は日本語がまだ弱い
⇨ 学習データの90%以上が英語であるため - 誤った前提条件を与えると、それを受け入れた状態で回答を出力
⇨ 疑う力が備わっていない - 複数の制約条件を与えると回答を誤りやすい
⇨ 複雑な処理が意外と下手くそ - 実は計算が苦手
⇨ 四則演算でも桁が増えると間違える - 知識にないことは誤魔化す
⇨ 2021年10月以前のデータは持っていない
そう、結構、ChatGPTって不完全なんです。
先ほどデモンストレーションさせて頂いた診断士試験への正確な回答は目を見張るものがありましたが、実は他の問題も試してみたところ、設問によっては「それどうやったら間違えられるん??」レベルのミスも起こしたりします。
そういう意味で、便利なチャットツールだな〜と思う一方、「中小企業診断士よりもスゴイ」なんて断言できるレベルではありませんし、経営コンサルタントの仕事が仮に奪われる世界が来るとしてももう少し先の話だろうな〜と感じました。
ただ、長文の要約機能だとか、プログラムのコードを生成する機能など、人間が介してやると時間がかかってしまうプロセスに対する省力化には現時点で相当活用できる印象を受けました(人間によるチェック機能は必要ですが)
この辺りの技術の制約条件やChatGPTの限界などは「ChatGPT 人間のフィードバックから強化学習した対話AI (東京大学:今井氏)」を読んでいただければと思います。
というわけで結論は「ChatGPTはまだまだ中小企業診断士よりスゴイと断言できるレベルにない」でした。
まとめ
以上、本記事では「ChatGPTは中小企業診断士よりすごいのか?」について解説させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
ちなみにタイトルと同じ問いをChatGPT自身に投げかけてみるとこんな大人な回答が返ってきます。
将来はもう少し攻めた発言が返ってくるほどAI技術が進歩することを願っています。
それではまた!