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【書評】イノベーション・スキルセット│BTC型人材になるためのトレーニング方法【キャリア】

どうも、Tomatsuです。

「Takram・田川欣也さんのイノベーション・スキルセットが面白い」では、Takram・田川欣也さんの著書「イノベーション・スキルセット」の内容について簡単にまとめさせて頂きました。

気づきに溢れすぎて、鼻血が出るほど興奮する内容になっております。本当におすすめの本です。

さて、本記事では、本書で紹介されていた「BTC人材になるためのトレーニング法」について説明したいと思います。

こんな方々におすすめの記事です。

こんな人におすすめ
  • BTC型人材になりたい人
  • 新規事業に取り組んでいる人
  • デザイナー思考を手に入れたい人
  • ベンチャー企業に関わる全ての人

「BTCって何?」という方はまずは以下の記事を読んでから戻ってきて頂ければと思います。

イノベーション・スキルセット│BTC型人材になるためのトレーニング方法

本書で紹介されていた「BTC人材になるためのトレーニング法」は下記の通り。

① 「n=1」のデザインリサーチ

② プロトタイピング

③ センスを鍛える「ふせんトレーニング」

早速一つ一つみていきましょう。

「n=1」のデザインリサーチ

まずはデザインの基礎となるコンセプト、「n=1」のデザインリサーチについて学びましょう。

一般的なマーケティングリサーチ(市場調査)では、数百から数千の標本(n)を対象に、どのような製品・サービスが売れ筋になりそうかの統計分析を行います。

一方、デザイナー達が行うのが「n=1」のリサーチです。

リサーチの内容は「現場」「現物」「現人」に対して、観察・インタビューを通して深堀りしていくものです。

通常のマーケティングリサーチと異なり、見たいものを見る、聞きたいことを聞くのではなく、ユーザーや環境を取り巻く様々な要素を「複雑かつ生々しい情報」としてありのままにインプットしていくのがポイントのようです

これらの情報は「データ」や「レポート」にまとめづらいため、オペレーションに特化した大企業や事業会社では軽視されがちです。

しかし、こういった複雑な情報にこそ価値の源泉が眠っております。

田川さんは、このリッチな情報を「高解像度の情報」と呼んでいます。

このリッチな情報を基に価値向上につながる仮説を立て「仮説ドリブン」でプロダクトデザインにつなげる事でデザイン力が向上します。

クリエイティビティを伸ばしたい方は、デスクから離れ、現場に向かい、リッチな情報に触れる機会を増やしましょう

そしてリッチな情報を基に独自の仮説を立ててみる

こんなトレーニングをするといわゆるデザイナーの思考に近づけます。

本書でも紹介されていますが、田川さんご自身が羽田空港ラウンジのリニューアル案件を担当された際、リニューアル前のラウンジに赴き長いこと現場観察を実施したみたいです。

詳細は割愛しますが、現場観察を通して得られた気付きの数がなんと300以上!

これらの気付きを基にリニューアル案を作り上げ、重要指標である席稼働率が大幅に向上したそうです。

また、Dysonの製品開発陣はみな現場に出る事を重要視しているみたいです。例えばヘアドライヤーの開発部隊は「n=1」リサーチのためにヘアサロンで1か月間修行していたみたいです。

徹底しておりますねえ。

ポイント

① 「n=1」デザインリサーチを理解しよう。

② 高解像度の情報は「現場」にしかない。机上のリサーチで分かった気になってはいけない。まずは現場にでることを徹底しよう。

プロトタイピング

次に「プロトタイピング」についてみていきましょう。

イノベーションは「まだ世の中で証明されていない価値である」と考えられています。

従い、「n=1」のデザインリサーチから導かれた仮説こそがイノベーションの源泉になると考えられます。

しかし、「n=1」のデザインリサーチにも弱点があります。

「n=1」では一つの対象に多大なる時間を割くことになりますので、観測対象を絞る必要があります。

つまり、普遍性が担保されず、n=1の観察を基に作り上げた仮説が「市場にウケるかどうか」が分かりません。

これを解決するために行うのが「プロトタイピング」です。

詳細は割愛しますが、本書でオススメされていたプロトタイピングの手法は下記の6通り。

① スケッチ

② ダーティプロトタイプ

③ テクニカルプロトタイプ

④ コールドモックアップ

⑤ ワーキングプロトタイプ

⑥ ビジョンムービー

上記のテクニックを駆使してプロトタイプを作り、実際にユーザーに使ってもらうことで、製品・サービスの磨きこみを行っていくのがポイントです。

プロトタイプは企業の中の合意形成にも威力を発揮するようです。

パワポの資料だけでは味気なく思える内容もプロトタイプを添えて「まずはちょっと触ってもらえますか?」とアプローチするだけで、議論が一気にクリアになり、意思決定の促進につながります。

著者曰く、「T」と「C」の結合を強くするための最短方法、すなわち「Design Engineering力」を向上させる一番の方法はプロトタイピングを練習することのようです。

みなさまも普段の業務にプロトタイプを上手く組み入れることで、Design Engineering力を向上させていきましょう。

ポイント

① プロトタイピングの型(6通り)を覚えよう

② 新規事業の役員説明会など、機会を探って実際にプロトタイプを活用してみよう

センスを鍛える「ふせんトレーニング」

この本、全体を通してめちゃくちゃ面白かったのですが、この章に特に感銘を受けました。

急に質問ですが、皆さまは「センス」の定義を説明できますか?

「あの人はセンスが良い」「この服の組み合わせはセンス悪い」など、普段何気なく使っているフレーズですが、「センス」を定義づけろと言われると急に言葉に詰まってしまう方が多いのではないでしょうか?

かくいう私も自分自身がセンス悪いことは自覚しているのですが、何を持ってセンスが悪いのか?が説明できずおりました。

田川さん曰く、「センス」を言語化すると下記となるようです。

センスはジャッジの連続から生まれる感覚

意味が分からずパニック状態ですよね。少し解説いたします。

センスとは、「眼の前の物事に対してYesかNoか白黒つけていくこと」のようです。

言い換えると「センスの悪い人は何もジャッジしていない人」ということになります。

たとえば、日々身に着ける服なども「なんでもいいや」と思っている人は日々のジャッジが発生せず、結果としてちぐはぐコーデになり「センスがない」という印象として外に伝わってしまいます。

一方、「日々身に着ける服・持ち物」「食べるものの選択」「日々の暮らしの中の良い・悪い」のジャッジを続けている人は自然とセンスが良いと思われるようになります。

ちなみにセンスは相対的な指標で絶対的な軸はありません。人それぞれ好みや感性がありますから。

しかし、共通して言えることは「センスの良い人」は自分の中での「好き・嫌い」が一般の人よりも非常にはっきりしていることです。

有名なデザイナーほどこの傾向が顕著のようです。

ちょっと脱線しました。

ではセンスを磨くにはどうすればよいのでしょうか?

本書でおすすめされているのが、「ふせんトレーニング」です。

やり方は簡単です。

① 赤・青・黄のふせんを用意

② デザイン系の雑誌や写真集を用意

③ 自分が好きだと思ったものに「青」、嫌いと思ったものに「赤」、どっちでもない・良く分からないものに「黄」のふせんを貼る

以上です。

これを繰り返していくとボンヤリとしか意識できていなかった自分の感性・好みが3色のふせんで可視化されます。

次に、これらが数冊揃ったら、ふせんを眺めてみて自分の好みを「言語化」してみましょう。

例えば「自分はシンプルですっきりした色のモノトーンなデザインが好き」など。

十人いれば十通りのジャッジが生じます。

ちなみに「センスがないのバロメータは黄色のふせんの数」となります。

黄色のふせんが多いということは「ジャッジができていない」ということのあらわれですから。

プロのデザイナーになると、この「ふせんを貼る」行為が習慣化し、日々の生活で入ってくる情報のあらゆるものが網膜の上で「これは青、これは赤」と瞬時に判断できるようになるようです。

例えば、飛行機に乗った際にはこんなことを考えるようになるようです。

「外観は全体的に青。シートのお尻の部分のカーブは赤。タッチパネルのUIは真っ赤、照明は黄色かな」

変態ですね。

ちなみに、自分のジャッジの解像度が上がると、他人のテイストも高解像度で把握できるようになるようです。

他人のテイストが分かるとプロジェクトチームを組成する際に間違った人選が減りますので、デザインリーダーの立場となる人にとって「センス」は重要な能力となります。

いやあ、面白いですねえ。

ポイント

① 「センスとは?」に答えられるようになる

② ふせんトレーニングで「センス」を鍛える

最後に

ちょっと長くなってしまいましたが、いかがでしたでしょうか?

「顧客体験価値の最大化」が至上命題であるサブスクリプション型ビジネスが時代の潮流となった現在、「デザイン」はビジネスと切っても切り離せない要素となりました。

本書はこれまでデザインと無関係だった方にとっても読みやすい内容になっておりますので、興味を持ってくれた方は是非手に取って頂きたく思います。

それでは、最後まで読んで頂きありがとうございました。

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