どうも、Tomatsuです。
膝をやってしまい、外に出ることが出来なくなってしまいました。
そんな時は本を読もう、ということで今回はTakram・田川欣也氏の「イノベーション・スキルセット」を読んでみました。
いやぁ~、気付きに溢れすぎて鼻血が出そうになりましたね。
実は田川氏、一度弊社に講演にいらしてくれたことがあり、その時も失神しそうになるくらい気付きがあったのですが、いま一度落ち着いて本を読ませて頂き更に理解が深まりました。
企業で新規事業をやっている方に特に勧めたい本です。
Takram・田川欣也さんのイノベーション・スキルセットが面白い
どんな人にお勧め?
・大企業で新規事業創出に関わっている人
・大企業のトップマネジメントおよび中間管理職
・ベンチャー企業に関わる全ての人
・「イノベーションとは?」を知りたい人
・デザインに興味のある人
本の内容は?
無理やりサマると下記の通りとなります。
コネクテッドの時代(ビジネスモデルの地殻変動)
- 近年、第4次産業革命と言われる「コネクテッドの時代」に突入し、「ハードウェア」「エレクトロニクス」「ソフトウェア」「ネットワーク」「サービス」に「データ」+「AI」を加えた複合領域が世界のイノベーションを席巻している。
- ビジネスモデルも旧来の「ハード売り(モノ売り)」or 「ソフト・サービス売り(コト売り)」の二者択一の問題ではなく、ハードとソフトを結合させた「Saas Plus a Box」のようにプロダクト・サービスを提供する形が時代の潮流になりつつある。
- 「Saas Plus a Box」の好事例:米スタートアップ企業「Peloton社」、PlayStation Plus
4Pから5Pの時代へ(BTCの統合)
- 「Saas Plus a Box」の成功要件はテクノロジーの気配を消してユーザーの生活空間と自然に共存できるプロダクトに仕上げ「顧客体験価値を最大化」すること。
- もはやマーケティングの4P(Product, Place, Price, Promotion)による顧客訴求は古く、これに「exPerience」(顧客体験価値)を加えた5Pを考えるべき時代に突入した。
- 顧客体験価値の最大化には「デザイン」の力が必要。しかし「デザイン」だけでもダメ。
- 「Saas Plus a Box」のようなビジネスモデルを実現するにはビジネス(B)・テクノロジー(T)・クリエイティビティ(C)の3領域を統合する力が必要。
- 大企業になればなるほど、オペレーション効率を重視するがゆえにB・T・Cが分断され、お互いのコミュニケーションが疎かになる。そしてユーザーニーズそっちのけの製品ができあがる(例:無駄に高性能カメラを搭載したスマホ)。
BTC型人材 & BTC型組織
- もちろん一人でBTCを統合できるBTC型人材になれれば良いが、全領域を網羅するのは多くの人にとってハードル高し。そんな場合は「BTC型組織」を構築すれば良い(R&D部門、デザイン部門、マーケティング部門をごちゃ混ぜにしてプロジェクトチームを組成する)。しかし、その場合においても各チームメンバーが自分の不得意領域のリテラシーを高め、歩み寄りのコミュニケーションが出来る状態になっておく必要がある。
- 多くの企業も「B」と「T」の結合は上手くいっている。しかし「C」の能力が足りない。最近では戦略コンサルファームもCの強化に力を入れている。例えばアクセンチュアはイギリスのデザインファームであるFjord社やDroga5社を買収している。
「C」と「TC」と「BT」
- デザイン≠芸術。デザインは下記の3つの要素に分解できる
- Classical Design(目的:Cに特化)– 外見を美しく、使いやすく整える事でプロダクトの魅力を作り上げる力。スタイルやブランドをつくるデザイン。一般の方がデザイナーと聞いたときにイメージするのがこれ。
- Business Design(目的:BとCの結合)– 課題解決のためのデザイン。デザイナーは新しいアイデアを考えるのは得意だが、実際のビジネスに落とし込む視点に欠ける。アイデアの魅力を保ちながら、それを絵に書いた餅にさせない具現化力。
- Design Engineering(目的:TとCの結合)– これも課題解決のためのデザイン。テクノロジー視点とユーザー視点の両方を行ったり来たりしながら、プロトタイピングを駆使してプロダクトデザインを進める力。田川氏の専門分野。
Takram(田川さんの会社)の人材育成方針
- 「越境経験」をさせる(毎回、異なる分野の仕事をアサインする)
- 「片足を自分が安心できる得意領域に置きながら、片足は新しい分野に踏み出し、探り探り進んでもらう」
- 新規領域は不快感に包まれている。しかし、不快感を感じているときが一番成長できる。
- 「エッジ・エフェクト」:両生類が太鼓の昔、不快感を味わいつつ海と陸の境界線(エッジ)を飛び越えたように、BTCの境界を飛び越える。生物の進化の歴史を紐解くと、様々なバリエーションの種が多数発生したのがこの時期。ビジネスにおけるイノベーションも一緒。新領域は時に不快だが、この不快感を超えずしてイノベーションは起こらない。
BTC人材になるには?
ここまで読んで頂けた方は「どうやったらBTC人材になれるん?」って思ったのではないでしょうか?
安心してください。
「超初心者向け」という但し書き付きですが、本書ではBTC人材になるためのトレーニング法も紹介してくれています。
① 「n=1」のデザインリサーチ
② プロトタイピング
③ センスを鍛える「ふせんトレーニング」
この本、サクッと読めるボリュームになっておりますので、BTC人材を目指したい方は、是非手に取って読んで頂きたいと思います。
ただ、以下の記事にも簡単にまとめておりますので、「急ぎで知りたい人」は本記事と併せて読んで頂ければと思います。
それでは最後まで読んで頂きありがとうございました。