どうも、Webマーケター兼中小企業診断士のトーマツです。
最近、露出量がグンと増えたのか、何かと目にする機会の多い「ナッシュ(nosh)」。
ナッシュ(nosh)HP
「栄養バランスの良い(低糖質・低塩分・高タンパク質)食事を手軽に食べられる冷凍宅配サービス」を謳っております。
忙しいけど健康的な食事を摂りたいとお考えのワガママなビジネスパーソンを中心に人気なサービスです。
私もめっちゃくちゃ忙しい時期に愛用しているのですが、ふとしたタイミングで「これってどんなビジネスモデルになってるんだろうか?」と気になってしまいました。
そこで、本記事では話題の「ナッシュ(nosh)」のビジネスモデルをビジネスモデルキャンバスに落とし込んでみることにしました。
調べれば調べるほど、「よくできてるな〜」と感心させられるサービスですし、読者の皆様が普段携わられている仕事にも活かすことができると思います。
ぜひ楽しんでください。それでは早速見ていきましょう!
- ナッシュ(nosh)のビジネスモデルが気になる方
- ナッシュ(nosh)を聞いたことがない方
- 世の中のサービスのビジネスモデルを調べるのが好きな方
ナッシュ(nosh)とは?
ビジネスモデルを解剖する前に、まずは基本的な仕組みを見ていきましょう。
ナッシュ(nosh)の食事 = 「普通に美味しい、しかも健康」
ナッシュは「栄養バランスの良い(低糖質・低塩分・高タンパク質)食事を手軽に食べられる冷凍宅配サービス」です。
食事は写真のように、4つのセクションに分かれたパルプモールド容器(メイン1品+小鉢3品)にが盛り付けられています。
美味しそうなお食事。よだれが出てきそうです。(ナッシュHPより)
メニューは60品用意されております。
一流の和・洋・中のシェフによって、毎週3品の新商品が開発されるので、飽きずに継続できるのが利点です。
冷凍食品ということで侮ってしまいそうになりますが、普通にめっちゃ美味しいです。
しかも、全メニュー「糖質30g ・塩分2.5g以下」という独自の健康基準に沿って提供されているので健康面に気を遣っている人には特におすすめになってます。
私の場合、量が足りないので、自分でご飯を炊いておいて、ナッシュ(nosh)をおかずにするスタイルをとっています。
基本は定期購入(でもフレキシブル)
ナッシュ(nosh)はサブスク型の定期購入形態をとっております。
初回購入時の「曜日」をデフォルトとし、毎週その曜日に定期配達される仕様となっております(お届け設定から変更可能)。
「ええ?じゃあ毎週受け取らないといけないの?」と思われるかもしれませんが、そんなことはなく、スマホアプリ上から簡単にスキップ設定できますので、実質は都度購入と同じようなオーダー方法をとることも可能です。
アプリ画面。こんな感じでオーダーする。(筆者のスマホ)
毎回のオーダー数量も「6食」「8食」「10食」「20食」の中から各自に適した数量で頼むことが可能です。
メニューも一食ずつ選ぶことができます。
一食ずつ選べる。嬉しい仕様です。(筆者スマホ画面)
うちの場合、ひと月からふた月に一度、10食をオーダーすることが多いです。
価格設定が絶妙 (nosh clubがスゴイ)
個人的に感銘を受けているのが価格設定です。
もちろん完全自炊には敵わないのですが、自炊+外食をされている世帯であれば、ナッシュ(nosh)のみで運用した方が経済的です。
また、nosh clubという仕組みにより、累計オーダー数が積み上がっていくごとに「永久的に価格が下がる」という嬉しい仕様になっています。
どんどん価格が下がっていく「nosh club」仕様。
ドラクエのレベル上げみたいで少年心をくすぐります(ナッシュHPより)
累積オーダー数が170食(ランク18)に到達すると、1食なんと「499円」でオーダーできます(10食プランの場合)。
時短になるし、分別不要なパルプモールド容器だし、安いし、美味しいし、とかなり利点が多いサービスとなっております。
うちはまだnosh clubランク10のペーペーです。目指せランク18。
ナッシュ(nosh)はマーケティングがすごい
ビジネスモデルキャンバスの説明に入る前にもう一点紹介しておきたかったのが、ナッシュ(nosh)のマーケティングです。
はっきり言ってナッシュのマーケティングはめちゃくちゃすごいです。
No.1らしい「網羅的な」Web集客施策
まずは集客の軸としているWeb広告。
こちらは業界No.1として抑えておくべきプロモーションチャネルを網羅的に抑えています。
ナッシュのプロモーション施策リスト(筆者調べ)
しっかりしたマーケティング組織がないと実現できないと思いますし、おそらくCPAも相当最適化されているものと思われます。
顧客ニーズに合わせて「ベネフィット」をストレートに打ち込むスタイル
また、特定の顧客セグメントに絞るというスタンスではなく、幅広い顧客ニーズを捉えているのも特徴です。
これがハッキリ現れているのが、ナッシュ(nosh)のYouTube広告です。
ナッシュ(nosh)のYouTube広告。ニーズを捉えたコミュニケーションが素晴らしい(筆者調べ)
忙しいサラリーマンを対象に時短を通じて「限られた平日夜の自由時間」や、無理の効かない産前・産後のママに対して健康的な食事の提供を通じて「罪悪感の排除&安心感」といった顧客側のベネフィットを丁寧に打ち込んでいる印象です。
あらゆるニーズを捉えていくことでカテゴリーエントリーポイント(CEP)を多く取っていく王者のスタイルを取っているものと思われます。
少し話はそれますが、ナッシュの取材記事によると、ボリュームゾーンは意外にも「30代男性の単身世帯」というデータがあり、ここで3割占めているとのこと。
広告の発生頻度をさっと調べると、「産前・産後女性向け」が多かったので、現在はこちらのセグメントを強化しているのかもしれません(23年2月時点)
他の挑戦的な施策(インフルエンサーマーケ & ジムとのアフィリエイトプログラム)
ほかにも挑戦的かつユニークな施策をバンバン打っております。
例えば「YouTuber」を使ったインフルエンサーマーケ。
サービス特性を考慮すると、健康面や時短を推したいと考え、フィットネスや美容系YouTuberを採用したいと考えるのが普通です。
一方、ナッシュのマーケティングチームは試験的に全く無関係のジャンルで施策を打ち、そのたびに反響を呼んできた実績があります。
例えば、動物系YouTuber(もちまる日記)とのコラボ。
もちまる日記とのコラボ動画(動画はこちら)
こちらの動画は80万回以上の再生回数を叩き出し、これまでリーチできなかった層へのリーチを可能にしたとのこと。
また、「フィットネスクラブとのアフィリエイトプログラム」もめちゃスゴです。
23年2月時点で、ナッシュ(nosh)は400社以上のフィットネスジムと提携しております。
フィットネスジムとのアフィリエイトプログラム(ナッシュHPより)
ジムの紹介を通じて、サービスが売れれば、販売金額の18.5%がフィットネスジムへの手数料として支払われる仕組みになっております。
しかもこの手のアフィリエイトプログラムは一回きりのことが多いですが、ナッシュ(nosh)の場合は、これがず〜っと継続します。
アフィリエイトプログラムの仕組み(ナッシュHPより)
そりゃストック収入が欲しいジム側も頑張って紹介しますわね。
なんでも毎月200万円以上売り上げているジムもあるとのこと。
この思い切った施策が功を奏し、代理店経由の売上は昨年900%成長したとのこと。
ヒント満載の施策でめちゃくちゃ勉強になりますね。皆様のビジネスにも活かしてみてください!
ナッシュ(nosh)のビジネスモデルキャンバス
ではお待ちかねのビジネスモデルキャンバスです。
1つずつ見ていきましょう。
1. 顧客セグメント(CS)
- 平日の夕食を手軽に済ませたいが健康にも気をつけたいサラリーマン
- 産前・産後で無理の効かないママ
- 親の健康を考える現役世代
女性がメインになると思われていたが、実際は男性ユーザーが予想より多く男女比率は半々とのこと。ボリュームゾーンは30代の独身男性です。週2で10食ずつ頼む夕食想定プランが人気です。
意外なセグメントとして親世代の健康を考える現役世代からのギフトニーズも顕在化しているようです。
2. 提供価値(VP)
- 限られた平日夜の自由時間
- 罪悪感の排除 &安心感
- 二度寝の幸せ &優雅な休日
Web広告から読み取れる顧客ニーズからベネフィットです。
3. チャネル(CH)
- スマホアプリ・サイト
- Web広告
- インフルエンサー
- アフィリエイトプログラム
アフィリエイトプログラムなども巧みに使い、オンライン、オフライン両方のタッチポイントを有効に使っているのがわかります。
4. 顧客との関係(CR)
- スマホアプリを通じた継続的な関係性
- nosh clubによる購買ハードルを下げる仕掛け
nosh clubの仕組みにゲーミフィケーションがうまく活用されており、顧客側が継続したくなる仕組みとなっています。
5. 収益の流れ(RS)
- 宅配サービスの売上
収益の流れは基本的に宅配サービスの売上一本です。
6. 主要な資源(KR)
- シェフ・栄養管理士
- 自社工場
- エンジニアリングチーム
- マーケティングチーム
ナッシュ(nosh)は時代に逆行しているのを承知で完全内製化を目指すスタンスを取っているとのことです。
和・洋・中に特化した一流シェフと栄養管理士、自社工場、UI・UXを日々改善しているエンジニアリングチーム、そして集客の要であるマーケティングチームなどが含まれます。
7. 主要な活動(KA)
- 新メニューの開発
- 自社工場での製造
- アプリ開発
- マーケティング活動
ナッシュ(nosh)では顧客の声を取り入れる商品・Web開発(UI・UX)に注力しています。そのためにマーケティングチームがアンケートを実施し、その結果をもとに3名のシェフ+栄養管理士が商品企画会議を実施し、1週間に3つの新メニューを開発しています。また、顧客の声を取り入れながら社内エンジニアがUIを即日改修。ABテストも重ねて最高のUI/UXを実現しています。
8. 主要パートナー(KP)
- フィットネスジム
- インフルエンサー
- コラボ企業
フィットネスジム、インフルエンサーには既に触れましたが、ナッシュ(nosh)はメニュー開発の際に食品企業とのコラボも行っています。最近ではCoCo壱とのカレーメニューの開発が話題になりました。
9. コスト構造(CS)
- アプリケーション開発・維持費
- 自社工場の投資&製造ランニングコスト
- 広告宣伝費
- フィットネスジムへの支払い
基本的に自社リソース活用のコスト+アフィリエイトプログラムへの支払いを含む広告宣伝費が主要コストとなります。
まとめ
以上、本記事では「ナッシュ(nosh)のビジネスモデル」について解説させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
もし本記事の内容でご質問ある方は是非コメント欄に書き込んで頂けると幸いです。
お答えできる範囲で答えさせて頂きます。
それではまた!