どうも、Tomatsuです。
突然ですが、みなさまは経済学のスルツキ―分解で問われる「補完財」・「粗補完財」・「代替財」・「粗代替財」の違いが答えられますでしょうか?
多くの方はスルツキ―分解自体にいっぱいいっぱいで、そこまで頭が回っていないのではないでしょうか?(私も受験生時代そうでした)
ニッチ論点と思われつつ診断士試験でも意外に多く問われていますので、今回はしっかり解説したいと思います。
この記事をしっかり理解し、試験問題が解けるレベルを目指しましょう。
- 補完財・粗補完財・代替財・粗代替財の違いを理解する
粗補完財と補完財&粗代替財と代替財の違いを解説
まずは結論からいきたいと思います。
- 粗代替財と粗補完財のように「粗」がついているものは「ざっくり価格全体の変化(価格効果)」を見る。
- 代替財と補完財のように「粗」がついていないものは「代替効果のみ」を見る。
- 粗がついている場合は、言葉通り「ざっくり」判断する
- 粗が付いていない場合は、もうちょっと詳しくみていく
みたいなイメージを持っておくと良いと思います。
粗代替財・粗補完財の見極めポイント
まずは「粗」がついているものからみていきましょう。
上記では「ざっくり判断する」と言いましたが、何をざっくり判断するんでしょうか?
答えは、代替効果やら所得効果などに細かく分解せず「片方の財の価格変化後、もう片方の財の需要が伸びたか?減ったか?のみをみる」です。
適切な表現をするとすれば「価格効果」を判断基準とする、ということです。
【財Xの価格が下がった場合】
- 財Yの需要↑ : 財Yは財Xの粗補完財
- 財Yの需要↓ : 財Yは財Xの粗代替財
【財Yの価格が上がった場合】
- 財Yの需要↑ : 財Yは財Xの粗代替財
- 財Yの需要↓ : 財Yは財Xの粗補完財
スルツキ―分解をせずに「ざっくり判断」するので「粗」がつくと覚えましょう
具体例
例えばこんな問題が問われたとします。
「財Y」の価格を一定とし「財X」の価格が低下した時、「財Y」の需要が増えた場合「財Y」は「財X」の何にあたるか?
[解答群]
(ア)粗代替財
(イ)粗補完財
(ウ)代替財
(エ)補完財
この文章題からはスルツキ―分解をする余地がない(グラフが与えられていおらず代替効果、所得効果に分解できない)ことが瞬時にわかるため、答えは「粗代替財」か「粗補完財」のいずれかになることがすぐに分かります。
あとは落ち着いて状況整理すれば答えは(イ)「粗補完財」になることが分かります。
経済の文章題はややこしく読み間違えが生じやすいため、代替効果や所得効果(スルツキ―分解)が問われようが問われまいが、私は毎度グラフの形に落とし込んでいました。
[グラフの書き方]
まずは下図のようなテキトーな予算制約線と無差別曲線を書き、
つぎに、財Xの価格変化が与える予算制約線への影響を書きます。
今回は財Xの「価格が低下」なので、予算制約線はX軸方向に膨らみます(財Xの購買可能量が増えるから)。
問題文には「財Yの需要が増えた」との記述があるので新無差別曲線と新予算制約線の接点が、旧予算制約線と旧無差別曲線の接点よりも上にくるように描く。
このようにグラフとして可視化することで「予算制約線が広がったから所得が増えた」「その結果Yの需要が伸びたということは財Yは補完している」「価格効果からの判断なので今回の回答は「粗」だな」、みたいなイメージで納得度を高めた状態を作れます。
また、グラフの読み取り問題対策にもなりますので相当おすすめです。
ぜひ問題文をグラフに落とし込むトレーニングをやってみて下さい。
代替財・補完財の見極めポイント
つぎは「粗がついていない」ものをみていきましょう。
「粗」がついていない場合は、もうちょっとしっかり分析するので「片方の財の価格変化後、もう片方の財の代替効果による需要の増減」から判断します。
今回は代替効果による需要の増減の判断が必要なので、スルツキ―分解が必要です。
【財Xの価格が下がった場合】
- 財Yの代替効果による需要↓ : 財Yは財Xの代替財
- 財Yの代替効果による需要変化なし : 財Yは財Xの補完財
【財Yの価格が上がった場合】
- 財Yの代替効果による需要↑ : 財Yは財Xの代替財
- 財Yの代替効果による需要変化なし : 財Yは財Xの補完財
しっかりスルツキ―分解するので粗くない。なので「粗」がつかないと覚えましょう。
具体例
例えばこんな問題が問われたとします。
「財Y」の価格を一定とし「財X」の価格が低下した時、予算制約線および無差別曲線は下図のように変化した。「財Y」は「財X」の何にあたるか答えよ。
[解答群]
(ア)代替財
(イ)補完財
解答群に「粗」がついていないことは「代替効果」を評価する必要があることが分かります。
ちょっと手間がかかりますが、スルツキ―分解を行います。
「新予算制約線と同じ傾きを持つ補助線」と「旧無差別曲線」の接点を求め、最適消費点のY方向に対する増減を評価します。
今回は財Yの需要は減る方向なので、財Yは「代替財」となることが分かります。
ちなみに「補完財」とは下図のようなL字型無差別曲線の時にしか発生しません。
その完全性ゆえに完全補完財とも呼ばれるのでふ~ん程度に覚えておいていただければと思います。
ちなみに、スルツキ―分解をすれば分かるかと思いますが、「代替効果はゼロ」となりますので注意してください。
まとめ
本記事では粗補完財、補完財、粗代替財、代替財の違いについて例題を交えて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
みなさまのお悩みにダイレクトにお答えできていれば嬉しいです。
もし、「この論点良く分かんない」「この論点もうちょっと深掘りして欲しい」みたいな要望があれば是非コメント下さい。
可能な限り解答させて頂きます。
それでは最後まで読んで頂きありがとうございました。