どうも、WEBマーケター兼中小企業診断士のTomatsuです。
コロナ禍において「WEBを使った集客・販促の重要性」が今まで以上に高まっております。
「そんなこと、言われなくても分かっているよ~」という方が大多数だと思いますが、それでも下記の課題を抱えている中小企業・小規模事業者様が後を絶たない状況です。
- ホームページを導入したがなかなか問合せが増えない
- WEBマーケティングに興味はあるが、どれから実施すべきか分からない
- WEBマーケティングを実施したくても人員や予算に余裕がなく対応できていない
これはいったい何故なのでしょうか?
本記事では、中小企業診断士として中小企業・小規模事業者向けのWEBマーケティング支援を通じて感じた「現場の課題と解決策」について紹介させて頂きます。
この記事を読み終えれば、自社の状況を客観視でき、次の打ち手が見つかること間違いなしです。
それではどうぞ!
- 従業員30人未満の中小企業の経営者・WEB担当者
- WEBマーケティングを学びたい中小企業診断士
中小企業のWEBマーケティングの実態
本題に移る前に現状を見ていきましょう。
中小企業・小規模事業者のWEBマーケティングの実態は芳しくありません。
これはデータにも表れております。
例えば、ちょっと古いデータですが、ニフティ株式会社が全国の中小企業を対象にしたアンケート結果によるとなんと、「WEB販促を活用できている中小企業は18%しかなかった」という結果が出ております。
出典:ニフティセミナー Webサイトを効果的に活用していくには
また、別の民間企業のデータをみてみても、
- 従業員数30人未満の企業の約半分以下がWEB販促を導入していない・または満足していない状況
- 地方に本社を構える年商10億円未満の企業は、デジタルマーケティング予算がほぼゼロ
など、厳しい状況が伺えます。
中小企業と言っても資本金や従業員数にも幅があり、かなり大雑把な結論となりますが、「ほとんどの中小企業のWEBマーケティングは上手くいっていない」と考えることが出来ます。
これは私自身が中小企業・小規模事業者様の支援をさせて頂いている感覚とも合っています。
中小企業のWEBマーケティングの課題
なぜ中小企業・小規模事業者のWEBマーケティングは上手くいきづらいのでしょうか?
代表的な理由を挙げてみます。
- ツールを導入すればOKと思っている
- 散発的な施策実施
- 人手不足
それぞれ一つずつみていきましょう。
①ツールを導入すればOKと思っている
「ウチはHPを導入したから問合せがバンバン増えるはず」
「ネット通販に出店したから来月からは売上アップ間違いなし」
このように勘違いしている小規模事業の経営者はかなり多いです。
導入直後は鼻息荒くなっているような経営者も翌月には絶望しているでしょう。
これは何故かというとHPやECサイトを導入しても、それは「陸の孤島にお店を立てるようなもの」であり、成果をあげようと思うとしっかり運用(集客するための施策を実施)しなければならないからです。
コロナ禍においてネットに販路を求める事業者は多いですが、リスティング・LP作成・SEO対策など導入後の運用まで見据えられている経営者は少ない状況です。
②散発的な施策実施
HP、メルマガ、ブログ、リスティング、SNS・ウェビナー・MAツールなど色々試してみたけどどれも上手くいかない。
このような状況で上手くいっていない企業は「マーケティング戦略が欠如しているパターン」が多いです。
外部・内部環境分析を通じて自社ビジネスの理解・把握につとめ、経営目標からから逆算する形で必要なアクションのみを絞らなければ、「いつまでたっても成果が上がらない施策に疲弊すること」になります。
Instagramが流行ってるから~、とか上手くいっている会社はブログやってるからブログやってみよ~、みたいな軽いイメージで初めても、よほどセンスのある運用者じゃない限り成功しないでしょう。
③人手が足りない
中小企業・小規模事業者あるあるですね。
これは何もWEBマーケティングに限らずどの領域の仕事にも言えますが、リソース不足はいつの時代もスモールビジネスを悩ませております。
時折、経営者のSNS・オウンドメディアを通じて効率益に集客している事例を目にしますが、これは経営者のセンスに依存し、マネするのは至難の業です。
WEBマーケティングは経営者が片手間でできるほど簡単なものではありません。
しっかり成果をあげようと思うと「運用を担える人材の確保」が必要となります。
経営者がオウンドメディア・SNSを運用しない方が良いと言っている訳ではありません。
むしろWEBマーケティングは経営者の仕事であり、経営者の理解・協力が不可欠です。
WEBマーケティング課題の解決策
では中小企業・小規模事業者は何をすればよいのでしょうか?
3つに絞るとすれば下記です。
- 経営者の理解度向上
- 打ち手を絞る
- 外部リソースの活用
一つずつ見ていきましょう。
①経営者の理解度向上
一つ目の課題であった「ツールを導入すれば良いと思っている」は、得てして「経営者のWEBマーケティングへの理解不足」に起因します。
WEBマーケティングで成果をあげるには、この状況を是正しなければなりません。
という訳で経営者としてはWEBマーケティングを一通り勉強・実践する時間を確保するのが良いでしょう。
勉強方法は「本を読む」でも「YouTubeを視聴する」でも「外部講師を招く」でも何でも良いです。
まずは「WEBマーケティングが取っつきづらいという状況から脱出すること」が先決です。
「いやいや、俺/私は他の業務で忙しいんだよ。WEBマーケを勉強している暇なんてないんだよ~」
このようにおっしゃるかもしれませんが、貴社の事業運営上、最も大事なことは何でしょうか?
売上を上げることですよね?
WEBマーケは売上アップに直結する施策にも関わらず、それを放棄しているということは、ちょっと厳しい言い方ですが経営を放棄しているのと同じです。
WEBマーケにはそれ相応の予算・人材が必要となりますが、これらを配分するのは経営者です。
まずは経営者のWEBマーケティングに対する理解度を向上することを考えましょう。
②打ち手を絞る
ただでさえ人材・予算に限りがありますので、散発的な施策は回避し「成果が見込める打ち手のみに絞らなければなりません」。
やり方は自由ですが、マーケティング戦略に基づくものが望ましいです。
(具体的な手法は今後の記事で取り上げていく予定です)
KPIは最大でも3つに絞りましょう。
KPIさえ絞られていれば、その時点で不必要な過剰投資を抑えることができます。
例えばダメなパターンでありがちなのが、集客も満足にできていないのに営業担当に踊らされてMA導入を検討するようなケース。
MAはそもそもリード数が数百件規模にならなければ効果を発揮しないので、リードを持っていない事業者は考えなくても良いです。
それから、SEO・コンテンツマーケティングもそうです。
最近は多くのブロガーがアフィリエイトで成功しているので、初心者からしたらSEOは一獲千金感が漂っていますが、そんなことはありません。
SEOで成果をあげようと思うと最低でも1年は見込んでおくことが必要なので、しっかりKPIを考慮してアクションを考えましょう。
ちょっと話がそれましたが、やはり直近の売上アップに悩む中小企業・小規模事業者向けの王道施策は「リスティング広告+LPO」です。
もちろん課題によって施策は考えなおす必要がありますが、ほとんどの事業者は上記に落ち着くのではないでしょうか。
③外部リソースの活用
①、②が出来ている前提で話しますが、やはり中小企業・小規模事業者の最大の課題は「リソース不足」と言えます。
このリソース不足をカバーするには「外部リソースの活用を考える」のが良いでしょう。
最近はクラウドソーシングに登録しているフリーランスマーケターもたくさんおりますので、人材の発掘には困らないかと思います。
おすすめは「KAIKOKU」「Workship」「プロの副業」のように多くのマーケターが集まるプラットフォームです。
しかし、外注の活用の注意点がいくつかあります。
それは
- 外注費の費用対効果を精査しておくこと
(CPA・CPL・ROASのBefore/After) - すべてをパートナー任せにしないこと
です。
例えば、パートナーを雇おうと思うと、広告費に加えて変動費としてフリーランスに支払う人件費が加わりますよね。
パートナーに依頼する前には仕事の成果が追加費用に見合うかどうかを数値目標と照らし合わせて精査しておく必要があります。
例えば月収3万円を要求しているフリーランスから「月10件来客を増やしてあげるよ」という提案を受けたとします。
仮に自社サービスの想定CPA(顧客獲得単価)を1,000円/件とすると、フリーランスに支払う人件費は1万円未満に抑えなければなりません。
この場合は、条件が合わないので、他のフリーランスを探すか、値切り交渉に入るのが吉です。
とても簡単な話をしているのですが、中小企業・小規模事業者の経営者は上記が考慮できていないことが多く、「外注に頼んでみたものの結果費用だけ嵩んでしまった」みたいなケースに終わることもあります。
また、外注の気軽さに慣れてしまうとパートナー任せになってしまいますが、全てを丸投げするのは得策ではありません。
フリーランスパートナーや業者が永続的に自社事業に携わってくれるわけではありませんし、丸投げでは社内の知見も蓄積されません。
自社事業にとって重要なマーケティング活動には必ず自社社員がハンズオンで入り込むようにしましょう。
WEBマーケティングが上手くいっている中小企業
いかがでしたでしょうか?
ここまで読み進めて、次のアクションが見えてきたようであればブロガー冥利に尽きます。
もしかしたら中にはまだ成功のイメージが掴めていない方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、そのような方々向けにWEBマーケティングで成功している中小企業の事例を3つ紹介したいと思います。
うまくいっている事例①:筋肉食堂DELI(TAPAC株式会社)
出典:筋肉食堂DELI
筋肉食堂は、体づくりを志すビジネスマンやアスリート、芸能人向けに高タンパク・低カロリー食を提供するレストランです。
コロナ禍で店舗経営が厳しくなり、来店数と売上が激減する中、なんとわずか3週間ちょっとでECサイトを立ち上げ、成功させています。
以前から同社の集客の要であったInstagramからの流入をECサイトに繋げられたことで成功しました。
それまで地道にフォロワー数の獲得をKPIに置いていたことが成功の要因だったとのこと。
うまくいっている事例②:Books&Apps(ティネクト株式会社)
出典:Books&Apps
Books&Appsは、仕事で悩む30代~40代のビジネスパーソン向けに「仕事・マネジメント系テーマ」を取り扱うティネクト株式会社が運営するオウンドメディアです。
社長自らがライター兼編集長としてオウンドメディア運営にコミットしていることが成功のポイントであり、月間200万PVも獲得しております。
「ネタがなければオウンドメディアを運営するな」「社長自ら発信しろ」「企業側が発信したくない”イヤ”な情報を発信すること」など、安達社長のご発言はマーケターにとってとても役に立つと思います。
ぜひBooks&Appsも覗いてみてください。
うまくいっている事例③:中原淳研究室(立教大学経営学部)
出典:NAKAHARA-LAB
最後は、中小企業ではありませんが、立教大学経営学部の中原教授が運営するブログを紹介します。
「人材開発」をテーマに研究や教育活動を発信しているメディアですが、ポップなデザインや良い意味で大学研究室らしからぬ記事で多くの企業や学生の心を掴んでおります。
研究室に興味を持つ学生のナーチャリングにも役立っており、人材採用に苦しむ企業はぜひ参考にしたいオウンドメディアと言えます。
まとめ
以上、本記事では「中小企業のWEBマーケティングはなぜ上手くいかない?」について解説させて頂きました。
本当はもっともっと細かいノウハウを紹介したかったのですが、長くなり過ぎましたので今回は以上となります。
もし本記事の内容でご質問ある方は是非コメント欄に書き込んで頂けると幸いです。
お答えできる範囲で答えさせて頂きます。
それではまた!