WEBマーケティング

【60分で見極め】「デジタルマーケティングで集客したいんだけど」と相談された際に最初にやるべきこと(2/3)

どうも、Webマーケター兼中小企業診断士のトーマツです。

デジタルマーケティングで集客したいんだけど、、、

中小企業診断士として活動していると、上記のようなご相談を頂く機会が多いと思います。

皆様はこのような相談を受けた時は、どのように対応されているでしょうか?

正解・不正解はもちろんありませんが、本記事では私の対応方法について解説しようと思います

診断士やマーケティングコンサルタントを目指している方、または成り立ての方にとっては参考になる部分も多いと思います。

ぜひ最後まで読んでくださいね!

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前編では本当にデジタルマーケティングで良いのか?を見極める方法について解説しました。

前編が気になる方はこちらからどうぞ↓

②「リスティング広告の活用是非」を3つのステップで見極める

では、リスティング広告の実行是非を見極めるにはどうすれば良いのでしょうか?

ひとことで言えば「ざっくりで良いので費用対効果が出そうか?」を検討すれば良いのです。

費用対効果が出るか出ないかを判断するにはいろいろな条件をクリアしなければなりません。

そのために以下のステップを進めましょう。

  1. (事前準備)ヒアリング
  2. 「LTV起点CPA」と「シミュレーション起点CPA」の計算
  3. 「LTV起点CPA」 > 「シミュレーション起点CPA」であることを確認

一つずつ確認ステップを説明します。

いろいろな用語が出てきて初見では、理解が難しいかもしれませんが何卒ご容赦ください。

①(事前準備)ヒアリング

まずは検討を行うための事前準備として相談先にヒアリングしましょう

ヒアリング内容は下記の通りです。

  • 事業目標(月間売上・利益率)
  • ターゲットが検索エンジンに打ち込みそうな「キーワード」
  • 商品・サービスの価格、粗利率
  • ざっくり月間広告予算
  • 商品・サービス提供にかかるコスト(開発費・ランニングコスト)

ポイントはざっくり見極めることなので、ここで時間を使ってはいけません。

また、すべての情報を無理やり集める必要はありません。

先方側で情報整理・収集に時間を要する場合は仮定値をおいてカバーします。

②「LTV起点CPA」と「シミュレーション起点CPA」の計算

ヒアリングが完了したら、以下の作業フローを進めます。

わからない用語だらけでパニックかと思いますが、ステップごとに説明しますので、是非ついてきてくださいね。

#1:LTVの算出

まずはLTVの算出です

診断士を学んだ方なら覚えてらっしゃると思いますが、LTVとは特定のお客様が自社との最初の取引からリピートを含め、利用を終了するまでの期間にどれだけの利益をもたらしてくれるかを表す指標です

Life Time Valueの略であり、日本語では顧客生涯価値とも言われる指標です。

ここでは例として、クラウド経費精算システム(SaaS)のLTVを扱うことにします。

この経費精算SaaSを扱う相談者へのヒアリングの結果から、月額10万円、粗利率が30%であることがわかったとします。

ほとんどの中小企業は平均継続期間(または単品売り商品の場合リピート回数)の数字を持っておりませんので、ここではSaaS企業が基本水準とすべき平均継続期間=33ヶ月を採用します。

するとLTVは(10万円/月)×(30%)×(33ヶ月) = 99万円と試算されます。

#2:CACの設定

次にCACを設定します

CACはCustomer Acquisition Cost の略であり、日本語では「顧客獲得単価」と呼ばれます。

要は、1人(または1社)のお客様から受注・オーダーを取るのに、どの程度のお金を投じたのか?の指標です

SaaSにおいては、LTVの1/3程度に設定するのが良いとされており、今回もその前提でCACを設定します。

つまり、CAC = (99万円) × (1/3)= 33万円/件 となります。

#3:受注率を仮定

次に受注率を仮定します

リスティング広告を見たユーザーが受注に至るまでにはいくつかのステップがあります。

  1. リスティング広告を見る
  2. 問い合わせ受付ページに遷移
  3. 問い合わせを行う(リード獲得)
  4. 商談を行う
  5. 受注

これらのステップを踏まえ、成果の認識は、広告を見たユーザーが問い合わせをした時点ではなく、あくまでも「商談後、受注に至った段階」が正しいことが分かります。

そこで推定しておかなければならないのが受注率です

ここではざっくり5件の商談に1件は受注が得られる前提で検討を進めます(20%)

#4:「LTV起点CPA」を計算

次にLTV起点CPAを計算します

CPAとはCost Per Acquisitionの略で顧客獲得コストを指します。

「CACと同じやん、、、」と思われるかもしれませんが、CACは広告投下予算や営業人件費など、全てのコスト要素を含むものであるのに対して、CPAは一件の問い合わせを得るのに投じた「広告予算」のみを算出したものです

今回はステップ2で設定したCACから、広告以外の要素を削ぎ落とし、CPAを試算します。

計算式は以下の通りです。

CPA = (CAC – Web広告以外の費用(営業給与、代理店、間接費用など))× 受注率

今回は営業の給与=3時間/件=3万円/件と仮定し、代理店や間接費用は無視することとします。

すると、CPA =((33万円/件) – (3万円/件)) × (20%) = 6万円/件 になります。

こちらの値が「LTV起点CPA」になります。

いわゆる自社プロダクトのLTVの期待値から算出したCPAですので、こちらの例では、一件の問い合わせを得るのに「6万円を超えなければ十分の利益が確保できる」という結論が出たことがわかります

つまり、次にやるべきは、「実際にリスティング広告運用を行なった場合、一件の問い合わせを得るのに6万円以上の広告費が求められないか?」を確認することです

こちらを確認するために算出するのが「シミュレーション起点CPA」です。

#5:キーワードリスト化

ここからは「シミュレーション起点CPA」の算出方法を説明します

まず最初に行うべきは、ユーザーがどんな課題・悩みを抱え、どのようなキーワードを検索エンジンに打ち込んでいるのか?を把握することです。

こちらの調査は詳細にやろうと思えば、いくら時間があっても足りませんので、今回はクイックにやる方法をお伝えします。

相談者からいただいた「ユーザーが検索エンジンに打ち込んでいると思われるKW」を以下のラッコキーワードというサイトに打ち込みます。

今回の例では「クラウドの経費精算システム」を扱っておりますので、エンドユーザーは「経費精算システム」と検索することが想定されるでしょう。

なので「経費精算システム」と打ち込みます。

すると、以下のように「経費精算システム」に関わるサジェストワードがたくさん出てきます。

これらのサジェストワードはリスティング広告におけるキーワード候補になります。

次のステップに備えて、画面右上の「全キーワードコピー」をクリックしておきます。

#6:キーワードプランナーで検索ボリュームを把握

サジェストキーワード候補がコピーできたら、次はGoogle広告キーワードプランナーから、検索ボリュームを把握します。

Google広告の設定方法は割愛しますので、分からない場合はググってください(必要な情報をネットから引っ張ってくることも重要なコンサルスキルです)。

キーワードプランナーにアクセスできたら、次に以下の赤枠にラッコキーワードから拾ってきたサジェストキーワード群をペーストします。

すると、以下のように、各KWに対して月間平均検索ボリュームが出てきます(Googleの実績値)。

#7:CVRを仮定

Google 広告では、これらのキーワード群に対して、どの程度の広告予算をかければ、どの程度のアクセス数(クリック数)が見込めるのか?を推算するシミュレーション機能がついております。

一方、このシミュレーションはあくまでも、アクセス数のみなので、HPやランディングページへの流入者がどの程度の確率(CVR:Conversion Rate と呼ぶ)で問い合わせに至るか?の数値を規定してあげなければ、CPAは算出できません。

そこで、仮定値でも良いのでCVRを設定し、シミュレーションを完成させます。

今回は便宜上、1%としますが、初心者が作るランディングページでいきなり1%のCVRを出すのは至難の業です。

通常の案件では、支援先の強い希望がない限り「0.3%~0.5%」を使用するのが良いでしょう。

#8:「シミュレーション起点CPA」を計算

材料が全て揃いましたら、キーワードプランナー上でシミュレーションを回しましょう。

すると、今回の事例において、平均コンバージョン単価(=シミュレーション起点CPA)は4.5万円となりました。

ようやく「LTV起点CPA」「シミュレーション起点CPA」が揃いました。お疲れ様でした!

ちなみに上記の作業フローは初見では理解が難しかったと思います。

読み直していただく際にはご自身の手を動かしていただくことをお勧めします。

③「LTV起点CPA」 > 「シミュレーション起点CPA」であることを確認

次は「LTV起点CPA」>「シミュレーション起点CPA」であるかどうかを確認します。

#4で得た「LTV起点CPA」は6万円/件でした。

一方、#8で得た「シミュレーション起点CPA」は4.5万円/件でした。

つまり

「LTV起点CPA」>「シミュレーション起点CPA」

であることが確認できました。

これにどのような意味があるのでしょうか?

おさらいになりますが、LTV起点CPAは自社プロダクトのLTVの期待値から算出したCPAです。

つまり、実際の広告運用に伴うCPAが、このLTV起点CPAを超えなければ、十分な利益が確保できることを示します。

またシミュレーション起点CPAは「実際にリスティング広告運用を行なった場合、一件の問い合わせを得るのにどの程度の広告費が必要になるか?」をシミュレーションしたものです。

つまり、シミュレーション起点CPAがLTV起点CPAを超えなければ、自社が求める利益水準を守れることが分かります。

今回の例においては、「LTV起点CPA」>「シミュレーション起点CPA」が確認できたので、シミュレーション上ではリスティング広告の有効性が示されたことになります。

ここまで確認できればリスティング広告のテストマーケティングに進む判断を行っても良いでしょう。

一方、余裕があるならば、競合の出稿状況を分析し、自社サービスが優位性を訴求できるかどうか?を確認するのがお勧めです。

まとめ

ちょっと長くなりすぎましたので、続きは次回にしたいと思います。

次回はリスティング広告の有効性が確認できた後に実施すべき「テストマーケティングの提案方法」について解説したいと思います。

続きが気になる方はこちら↓

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