どうも、Webマーケター兼中小企業診断士のトーマツです。
ありがたいことにこれまでに50社以上の中小企業様のマーケティングを支援させていただく機会がありました。
この中で日々感じることは「事業者都合の独りよがりなマーケティング」が展開されている様子が散見され、それゆえに売上に苦戦されている企業が多いことです(マーケティングと呼んでよいのかすら疑問?)。
理由はたくさんありますが、一言で言うと顧客が求めているマーケティングメッセージが伝えられていないことに尽きます。
そしてその理由の一つとして「自社商品・サービスが顧客からどのように評価されているか?」を理解していないことが挙げられます。
これを解消するヒントに活用できるのが、『探索財』・『経験財』・『信頼財』という商品・サービスの分類を理解し、自社のマーケティングに活かすことです。
本記事では、「探索財・経験財・信頼財とは何か?」「これらをどのように自社マーケティングに活かすべきか?」について解説したいと思います。
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前編では「探索財のマーケティング」について解説しました。
前編が気になる方は以下からどうぞ↓
- 診断士・フリーランスコンサルタントとして企業のマーケティング支援に携わっている人
経験財の事例とマーケティングのポイント
次は経験財を見ていきましょう。
経験財は実際に経験してみないことには、その商品・サービスの良し悪しが判断できないものを指します。
食品のように「食べてみないと分からない」、TVゲームのように「遊んでみないと分からない」という特性を持つものが該当します。
経験財の例
経験財の典型的な例は以下の通りです。
- 食品・飲料
- 美容室
- マッサージ
- 学習塾・英会話教室
- コンサート・映画などのエンタメ作品
経験財のマーケティングのポイント
経験財のマーケティングのポイントは「経験してもらうこと」に尽きます。
とにかく経験のハードルを下げまくることです。商品・サービスが素晴らしいことが大前提となりますが、経験してもらわなければ分からないからです。
よく飲食店の店主が「食べてくれたら分かってくれるのに、、、」とおっしゃるのを見ますが、非常に勿体無いと感じてしまいます。
経験のハードルを下げる方法はいくらでもあります。
例えば、食品であれば価格を抑えて提供可能な少量サンプルサイズで提供することや、他者の口コミ・レビューを掲載し疑似体験してもらうことなどが考えられます。
サンプル品の提供は有効な手段!
また購入者の心理的コストを下げることも一案です。
例えば、子供に英会話を始めさせたいと考えている親世代の心理を考えると、申し込みの際に「子供との相性が悪かったらどうしよう」「立地は大丈夫だろうか?追加で送り迎えの負担がかかるけど、本当に乗り切れるか?」などと悩むはずです。
このような親に対しては以下のように提案すれば経験に対するハードルは著しく下がるはずです。
- 教室の雰囲気がわかる動画を公開する
- 無料体験期間を設ける
- 送迎サービスをつける
もちろんこれらには出来ること、出来ないことがありますし、コスト増の側面もあります。
利益を確保することを念頭においた上でサービス設計をしなければならないのですが、「経験のハードルを下げること」という観点で考えを深めればいくらでもアイデアが思い付いてくるはずです。
ちなみに経験財のマーケティングにおいては「顧客獲得できた後」も重要です。
競合もハードルを下げる施策をバンバン打ってきますので、「如何にしてスイッチングさせないか?」という観点でサービス設計をしなければなりません。
スイッチングコストを高める方法は、例えば長期契約を促し、契約解除に伴う解約金を高める「ペナルティ強化」の観点の施策と、サービス利用期間が長くなればなるほどお得になっていく仕組みを導入する「インセンティブ強化」の両観点があります。
これを深掘っていくと別記事になってしまいますので今回は割愛します(希望があれば記事化しますのでコメください〜)
信頼財の事例とマーケティングのポイント
最後に信頼財のマーケティングを見ていきましょう。
信頼財は、経験した後も「結局よかったのか悪かったのか?」が判断できない商品・サービスを指します。
お医者様や弁護士などの高度な技術を必要とするプロフェッショナルサービスが該当することが多いでしょう。
信頼財の例
探索財の典型的な例は以下の通りです。
- 医療診断や治療行為や薬の投与
- 法的サービス
- 機能性表示食品
- コンサルティング
信頼財のマーケティングのポイント
信頼財のマーケティングのポイントは当たり前すぎですが「信頼を獲得すること」です。
顧客心理に立てば「良し悪しの分からないサービスを受けるのであれば、自分が信頼できる事業者に相談したい」という気持ちになりますよね。
では「信頼を獲得する」にはどうすれば良いのでしょうか?
それは「信用」を積み重ねていくことです。
「??」となった方もいるかもしれませんが、「信用」と「信頼」は全く別物です。
- 「信頼」:信用や実績を源泉にして「この人に任せてみよう」と思っていただく原動力。未来に対する期待値。
- 「信用」:過去の業績や実績。クレジットカードの審査で行われる信用調査も過去の出来事に対して行うもの。
信用の積み上げ方で最も有効なのが、見込み客が「〇〇さんに相談すれば物事が良い方向に進むはず」と実感してもらう根拠を増やしていくことです。
これには見込み客に対して以下のいずれかのアプローチを取るのが有効です。
- 顧客の悩みに対する有益情報を提供しまくる
- 経験財を提供し、実績を積み重ねる
私が個人的におすすめなのが「2」です。
我々のような中小企業診断士が提供している「経営コンサルティングサービス」は「信頼財」と言えるでしょう。
と言うのも経営成績は、あらゆる指標が複雑に相互作用した結果を示しているものにすぎません。経営状況が良くなれ悪くなれど、1人のコンサルタントが経営に与えたインパクトを定量的に測ることはほとんど不可能です。
経営コンサルティングの効果を測るのは至難の業。「経営コンサル」を売るには信頼してもらうのが近道。
ただし「経験財」と捉えることが可能な中小企業診断士によるサービスも存在します。
分かりやすいもので言えば「補助金申請支援」もありますし、私がよく提供している「スコープを限定したマーケティングキャンペーン実行支援」などでしょう。
これらは「資金調達」「売上増」といった明確な成果がありますので、経験財といえます。
これらの成果が明確なサービスをフックに見込み客の信用を積み重ね、最終的に「信頼」を勝ち得ることも可能です。
この結果が「顧問契約」といった「信頼財」の採用につながるわけですね。
まとめ
以上、本記事では「探索財・経験財・信頼財とは何か?」「これらをどのように自社マーケティングに活かすべきか?」について解説させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
もし本記事の内容でご質問ある方は是非コメント欄に書き込んで頂けると幸いです。
お答えできる範囲で答えさせて頂きます。
それではまた!