中小企業診断士

【中小企業診断士】PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)はココを抑えておけばOK!①【企業経営理論】

こんにちは、Tomatsuです。

今回は企業経営理論で学ぶPPM (プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント) について解説していきます。

過去6年間で6回も出ており、毎年1問は必ず出る超頻出論点です。また、会社員であれば誰しも知っておいた方が良い知識ですので、是非マスターしましょう!

PPMって何?

理系社員の方でしたらparts per million(百万分率)と勘違いしてしまうかもしれませんが、経営理論では全く意味が異なります。

PPMは、超名門コンサルティング企業であるボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が70年代に提唱した経営理論です(Tomatsuは就活で記念受験しましたが、1次で速攻落とされトラウマ持ちです。。。)。

企業が多角化する際に経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)をどのように最適に配分するか?を決定するために使われます。

古い理論で弱点も幾つかありますが、自社事業を拡大するべきか?、維持するべきか?、あるいは撤退すべきか?、を理論的に判断することができ、控えめに言って超有用です。

事業(製品)ライフサイクルとは?

PPMの解説に入る前に、事前知識として事業(製品)ライフサイクルについて抑えなければなりません。

人間に幼少期、成長期、成熟期、高齢期といった成長過程があるのと同様に、事業(製品)も導入期、成長期、成熟期、衰退期といったライフサイクルを経ていきます。

業界、事業内容、製品によりライフサイクルの長さは異なりますが、ライフサイクル期間の売上・利益はどれも上図のように推移していきます。

各段階の特徴を一つずつ抑えていきましょう

導入期

開発期を経て、新製品が市場に投入された時期を指します。人間でいうと幼少期、少年期、青年期の段階ですね。家計への助けはゼロ。どちらかというと食費、学費などコストばかりかかります。

導入期の製品は、これまで世の中に存在しなかった真新しいモノなので、多くの顧客はどのような製品なのか分かりません。効果が分からない製品を買う物好き(イノベーター)は少ないので、スズメの涙程度の売上しか見込めません。

導入期では、新製品の魅力を訴求するために広告宣伝費や営業活動のための費用が嵩み、赤字となります。競合も少なく市場の大きさも小さい状態です。

市場に認知されない場合は、日の目を浴びることなく一生涯を終えることになります。

成長期

新製品の効果が市場に浸透し、多くの人が買うようになる時期を指します。人間でいうと新入社員~中堅社員くらいの時期ですかね。

心技体が整い、バリバリ稼げるようになったものの、おしゃれ・自己研鑽・物件購入等のために沢山お金を使います。フタを開けてみると貯蓄はごくわずかといった段階です。

成長期の初期段階では売上高は低いものの、徐々に需要が急激に増加していき、爆速で市場サイズや売上高が上昇していきます。

このスピード感たるや半端ないです。スマホでいうとiPhone 4Sが発売され始めた2011年ごろでしょうか。以降、スマホ市場は急激に伸びていきました。

こうなると競合は黙っていないので、新たなプレーヤーがどんどん参入し、競争が激化します。スマホ市場で言うと、Android系のシェア拡大が該当しますね。

まさに群雄割拠のキングダムや三国志のような世界で、この熾烈な競争に勝つために広告宣伝費・営業費や設備投資でじゃんじゃんコストがかかります。

一方、需要の拡大に伴い、規模の経済や経験曲線効果が働き、生産コストがぐっと下がりますので、わずかですが利益が生じます

成熟期

製品が一般に行き渡り、売上高は最大化されるものの需要が落ち着く時期を指します。人間でいうと管理職~経営層に差し掛かった時期ですかね。

これまでの人生で培ってきた貯金(知恵・経験や人脈)で、さほどコストをかけず、鬼のようにじゃんじゃん稼げるようになり、無双状態となります。

まさに今のiPhoneがそうですね。

売上の成長は止まりますが、これまで大量に必要であった広告宣伝費・営業費や設備投資費がほとんど不要になります。

更に、成長期において市場での激しい競争に敗れた企業は撤退し、競合が減します。つまり、大きな市場(パイ)を数少ない企業で占められるので、利益が最大化されます。市場で生き残っている企業はウハウハです。

衰退期

革新技術の登場により、製品の魅力が薄れていき、需要が減少していく時期です。えげつないので、ここで人間に例えるのはやめます。

市場の縮小により、過剰在庫や遊休設備が生じ、在庫回転率や有形固定資産回転率が下がり、コスト回収が厳しくなります。

この段階で多くの企業は撤退の決断に迫られます。

ただし、衰退期に差し掛かったからと言って無条件に撤退を決めてはなりません。

例えば、当該事業が他事業とシナジーがある場合、他事業の運営状況を加味した上で撤退判断を下す必要があります。

後述しますが、他事業との関連を考慮できない点がPPMの弱点となります。

PPMの概要

ここから本題に移ります。

PPMでは上図のようなマップを作成し、 問題児、花形、金のなる木、負け犬、といった4つのカテゴリーに分類することで、多角化された企業の事業ポートフォリオを分析します。

縦軸は市場成長率、横軸は相対的市場シェアとなります。

一つずつ見ていきましょう。

市場成長率と相対的市場シェア

市場成長率(PPMの縦軸)

市場成長率は、文字通り、市場の成長性を測る値となります。一般的には、売上ベースの市場規模の前年比を用います。式に落とし込むと下記の通りです。

市場成長率 = (今年度の市場規模 ÷ 昨年度の市場規模) × 100%

では、市場成長率と事業ライフサイクルの関連性はどうでしょうか?

導入期では市場成長率はごく僅かですが、成長期ではぐんぐん伸びていきます。

成熟期・衰退期では成長率は鈍化し、ほぼ横ばいとなります。

試験対策上、PPMと市場ライフサイクルとPPMの関連が問われたら以下のように対応しましょう。導入期は気にしなくてOKです。

  • 成長期 = 市場成長率が高い状態(PPMの上半分)
  • 成熟期・衰退期 = 市場成長率が低下し横ばいしている状態(PPMの下半分)

相対的市場シェア(PPMの横軸)

相対的市場シェアは、当該事業のNo. 1シェア企業との市場シェアの比率を計算して求めます(ただし、自社がNo.1企業の場合は、No.2企業との比較になります)。

計算式に落とし込むと下記のとおりです。

自社市場シェア = 事業売上高 ÷ 市場規模

相対的市場シェア (自社がNo.2以下の場合) = 自社市場シェア ÷ No.1企業市場シェア

相対的市場シェア(自社がNo.1の場合) = 自社市場シェア ÷ No.2企業市場シェア

上式を考慮すると、自社事業がNo.1シェアの場合、相対的市場シェアは「1以上」となります。

PPMでは相対的市場シェア=1のライン上に縦線を引き、このラインより左側なのか右側(つまりNo.1かNo.2以下か)を判断します。これ重要なので覚えておいてください。

試験対策上は以下のように覚えておきましょう。

  • 市場でシェアNo.1 = 相対的市場シェアが1以上の時(PPMの左半分)
  • 市場でシェアNo.1ではない = 相対的市場シェアが1未満の時(PPMの右半分)

(ア) 事業単位は他の事業単位と製品や市場について相互に関連した統合的戦略をもち、計画の範囲内で自由に対処する。

(イ) 資金の流出は市場での競争上の地位で決まると考える。

PPMの4つのカテゴリー

問題児(Problem Child)

問題児は、市場成長率は高いものの、自社シェアが低い事業を指します。PPM上の右上に位置します。

資金流出が多く、資金流入が少ないため、キャッシュフローはマイナスとなります。ここ重要です。

市場ポテンシャルは高いため、設備投資や販促などの策を講じるなど、経営資源を投入すれば花形にランクアップする余地があります。

キャッシュがどんどん減りますので、問題児を保有するのはかなりしんどいです。しかし、大切な将来のスター候補ですので、大事に育てていく必要があります。

花形(Star)

花形は、市場の成長性と自社シェアが高い事業を指します。PPM上の左上に位置します。

ガンガン稼ぎますので、資金流入は多いです。一方、事業ライフサイクルの成長期に位置し、シェアNo.1を守るために設備投資や広告宣伝費などの資金流出の方が多くなりますので、キャッシュフローとしてはマイナスとなります。

ここで踏ん張ったら、金のなる木が見えてきますので、競合他社をガンガン蹴落としていく戦略が求められます。

金のなる木(Cash Cow)

これぞ最高のポジションです。金のなる木は、市場成長率は低いものの、自社シェアがNo.1である事業を指します。PPMの左下に位置します。

資金流入が多く、資金流出が少ない。つまりキャッシュがじゃんじゃん入ってきます。まさに文字通り「金のなる木」です。

金のなる木に位置する事業こそが、その企業の大黒柱であり、コア事業と言われる分野となります。

しかし、コア事業も永遠に続く訳ではないので、ここで稼いだ資金を問題児・花形に配分し、次の金のなる木を育てていく。そうすることで企業の新陳代謝を促していく事こそがPPMの本質とも言えます。

負け犬(Dog)

負け犬は、市場成長率も自社シェアも低い事業を指します。PPMの右下に位置します。負け犬って。。もっと柔らかい言い方はなかったのか?と言いたくなりますね。

資金流入が少ないため、基本的戦略としては早期撤退が第一の選択肢となりますが、一方で、資金流出も少ないため高利益率が見込め、粛々と続けていくべきというパターンもあります。これ試験対策上かなり重要です。

「負け犬事業だからすぐ撤退!」と飛びつかず、問題文の前後の文脈から、どうすべきか判断できるようになりましょう。

望ましいPPM & PPMの欠点

望ましいPPM

上図はPPMの理想的な姿を描いております。具体的に記述すると下記となります。非常にシンプルにも関わらず、試験では意外にも正答率が低いので、しっかり覚えて他者と差を付けましょう。

  • コアドメイン(金のなる木)で稼いだ資金をサブドメイン(問題児・花形)と研究開発に配分し、将来のコアドメインを育てる。
  • コアドメインとサブドメインをバランス良く保有する。いずれかのみではNG。

PPMの欠点

PPMは万能のツールではありません。前述しましたが、幾つか欠点があります。試験でも結構頻繁に問われますので、下記も覚えておきましょう。

  • 事業間のシナジーを考慮できない(負け犬事業は本当に撤退すべきか?)
  • 金のなる木への資源配分が疎かにされる(維持のために投資が必要)
  • 負け犬に認定された事業のモチベーション低下

次回は試験対策について

ようやく材料が揃いました。。。(汗)

ちょっと長くなってしまいましたので、試験対策部分は「PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)はココを抑えておけばOK!②」に持ち越します。ではまた!

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