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【事例IV】除却損とは?キャッシュフローやNPVへの影響について分かりやすく解説【中小企業診断士】

どうも、Tomatsuです。

2次試験の事例IV(財務・会計)において頻繁に登場する除却損

1次の財務テキストではほぼノータッチの論点なので

「なんじゃそりゃ。。。?」

となっている方も多いのではないでしょうか?

本論点の適切な理解は事例IVにおいて合否の分かれ目となる意思決定会計(NPV、回収期間など)問題を解く上で重要となります

そこで本記事では「除却損とは何か?」「キャッシュフローやNPV問題への影響」について解説させて頂きます。

除却損とは?

まず簡単に「除却損とは何か?」について説明します。

除却損とは事業運営において使わなくなった固定資産を除却(廃棄)する際に生じる損失を指します。

モノを捨てるだけですので基本的には非資金費用という扱いです。

その点は「減価償却費」と同じですね。

除却損は「特別損失」に費用計上できるため、除却を実行した年は節税効果が見込めます。

新たな設備を導入して、「不要になった旧設備などの除却処理を忘れてしまうと損する」ということですね。

  • 使わなくなった資産の除却(廃棄)の際に生じる損失
  • 基本的には「非資金費用」である
  • 基本的には「特別損失」に計上する
  • 節税効果が見込める

廃棄コスト(例:取り壊し費用)などがかかる場合もありますが、この場合も除却損に含めます。

この場合「廃棄コスト分」は現金支出を伴う費用ですので、注意しましょう。

この辺りのキャッシュフローへの影響は後述します。

除却損の計算方法

計算方法は至って簡単です。

廃棄する固定資産の「残存簿価」をそのまま使うだけでOKです。

間接法の場合は、取得原価と減価償却累計額との差額となります。

例えば、取得原価150百万円(減価償却:定額法、残存価格ゼロ、耐用年数15年)の設備を5年間使用した後、当該設備が帳簿価格で除却された場合、

このように、

除却損 = 残存簿価 = 100百万円

となります。

[有姿除却(ゆうしじょきゃく)]

余談ですが、設備を除却するからと言って文字通り「廃棄」する必要はありません。

使わなくなった設備をそのまま放置しているんだけど、廃棄したとみなす処理を「有姿除却」と言います。

余談ですが、設備を除却するからと言って文字通り「廃棄」する必要はありません。

使わなくなった設備をそのまま放置しているんだけど、廃棄したとみなす処理を「有姿除却」と言います。

設備の除却に伴い膨大な費用(撤去費、運搬費など大きな現金支出を伴う)が掛かる場合に採用されます。

キャッシュフローやNPVへの影響

では次にキャッシュフローへの影響について見ていきましょう。

ここさえ押さえておけばNPV問題も解けるようになります。

本記事では下記の2ケースについて見ていきます。

  1. 廃棄コストがかからないケース
    (帳簿価格で除却)
  2. 廃棄コストがかかるケース

①廃棄コストがかからないケース

まずは廃棄コストがかからないケースを見ていきましょう。

[例題]

D社は、X1年度初めに取得原価100百万円(減価償却:定額法、残存価格ゼロ、耐用年数10年)の設備を取得した。

その後、従業員育成が成功し設備が不要となったため、4年間使用した後、第X5年度初めに当該設備を除却した。

設備投資後のD社の毎年の予想収益・費用が下記のとき、各年度のCFを計算せよ。税率は40%とする。

  • 売上 = 200百万円
  • 費用(減価償却費以外) = 100百万円

従業員育成に成功したため、除却後も予想収益・費用は維持されるものとする。

除却損の税金への影響は第X5年度末に生じるものとする。

まずは第X5年度の除却に伴う「除却損」を求めましょう。

上述のとおり取得原価と減価償却累計額の差を計算して、

除却損 = 取得原価-減価償却累計額
= 100百万円 - 40百万円
= 60百万円

を得ます。

除却損の税金への影響は「X5年度末」に生じます。

この情報をしっかりおさえて後は冷静にCFを解けば正解が導けます。

[解答]

  • X0年度:-100百万円
  • X1年度:64百万円
  • X2年度:64百万円
  • X3年度:64百万円
  • X4年度:64百万円
  • X5年度:84百万円

NPV問題では時系列を押さえることが超重要です。

除却損の税金への影響が「いつ発生するのか?」を読み間違えないようにトレーニングを重ねましょう。

②廃棄コストがかかるケース

次に廃棄コストがかかるケースをみていきましょう。

ほんの少しだけ難しくなります。

[例題]

D社は、X1年度初めに取得原価100百万円(減価償却:定額法、残存価格ゼロ、耐用年数10年)の設備を取得した。

その後、従業員育成が成功し設備が不要となったため、4年間使用した後、第X5年度初めに当該設備を除却した。

処分には10百万円の支出が必要となった。

設備投資後のD社の毎年の予想収益・費用が下記のとき、各年度のCFを計算せよ。税率は40%とする。

  • 売上 = 200百万円
  • 費用(減価償却費以外) = 100百万円

従業員育成に成功したため、除却後も予想収益・費用は維持されるものとする。

なお、処分のための支出は第X5年度初めに、除却損の税金への影響は第X5年度末に生じるものとする。

まずは第X5年度の除却に伴う「除却損」を求めましょう。

今回は「処分に10百万円の支出が必要になった」とのことなので、

除却損 = 取得原価-減価償却累計額+処分費
= 100百万円 - 40百万円 + 10百万円
= 70百万円

となります。

次に各期のCFを求める必要がありますが、この際ポイントになるのが

  1. 処分のための支出(10百万円)はX5年度初め(X4年度末)に生じる
  2. 除却損(70百万円)の税金への影響はX5年度に生じる

です。

この情報さえ取りこぼさず、冷静にCFを計算できれば正解は目の前です。

[解答]

  • X0年度:-100百万円
  • X1年度:64百万円
  • X2年度:64百万円
  • X3年度:64百万円
  • X4年度:54百万円
  • X5年度:88百万円

有形固定資産の除却時に現金支出を伴った費用(廃棄コスト)は投資キャッシュフローに区分されます。

まとめ

本記事では、除却損とキャッシュフローへの影響について解説させて頂きました。

本記事が皆さまのお悩みにダイレクトにお答えできていれば嬉しいです。

もし、「この論点良く分かんない」「この論点もうちょっと深掘りして欲しい」みたいな要望があれば是非コメント下さい。

可能な限り解答させて頂きます。

それでは最後まで読んで頂きありがとうございました。