どうも、Tomatsuです。
受験生
中小企業診断士を受験中なのですが、併せて取得するとよい資格はあるのでしょうか?
とても気になる疑問ですね。
資格を二つ保有することを俗に「ダブルライセンス」と言います。
中小企業診断士界隈でもダブルライセンスが話題になることは多いです。
その会話の中で「中小企業診断士は独占業務が無いため、独占業務のある資格と掛け合わせるのが良い」という論調でダブルライセンスをおすすめする方もいらっしゃいますが、私は別の考えを持っています。
「中小企業診断士資格が役に立たないのは本当か?【考察】」でも書きましたが、独占業務のある難関資格を持っていたとしても満足に食べられていない人も多いからです。
資格を持っていようが持っていまいが、最終的に重要なのは
- 顧客を獲得する仕組みを作ること
- 顧客への提供価値を持っていること
です。
なので、多くの方が期待しているように、他資格を取ったところで「食べられるようにはなりません」…orz
食べられるようになるには、実務・実践・実学を繰り返して試行錯誤しまくる必要があるという訳ですね。
しかし一方で、
- ドアノックサービスを拡充し営業力・受注力を強化する
- 専門性を高め自身のサービスを強化する
という観点で、ダブルライセンスを目指すのはとても良いことだと思います。
そこで、上記の獲得に繋がる「中小企業診断士とのダブルライセンスにおすすめの資格9選」を紹介します(士業以外の資格も含む)。
この記事を読み終えることで、ご自身が選ぶべき資格が見つかるでしょう。
- 中小企業診断士のダブルライセンスに興味のある方
繰り返しになりますが、ダブルライセンスを取ったからといってすぐに食べられるようになる訳ではありません。。。orz
ダブルライセンスを目指す前に目的と手段を整理してみると良いかもしれません。
中小企業診断士のダブルライセンスにおすすめの資格は?
このブログでも多くの記事を紹介させて頂いておりますが、中小企業診断士試験では「経営全般」について学びます。
というわけで、中小企業診断士を取得すると「あらゆるビジネスを幅広く見渡すことができるようになる」と言われています。
一方で「幅が広い分、専門性に欠ける」という弱点があります。
名刺に「中小企業診断士」と書いていても顧客から「一体何ができるのかが分からない」と言われるのは一種の中小企業診断士あるあるです。
この「一体何ができるのか分からない状態」から一歩抜け出すには「専門性を獲得・強化」する必要があります。
そこで、ここからは専門性の獲得・強化につながるダブルライセンスにおすすめの資格を以下の切り口から紹介できればと思います。
- 士業系
(圧倒的な専門性で中小企業をサポート) - IT系
(IT活用に疎い中小企業をサポート) - Webマーケティング系
(中小企業の売上向上をサポート)
本記事を参考に中小企業診断士として「どの領域で勝負をしたいか?」も併せて考えてみてくださいね。
士業系
(行政書士・弁理士・社労士)
まずは中小企業診断士と同じ「士業系」から紹介します。
どの士業資格も難易度が高く、取得のハードルは高いですが、圧倒的な専門性を手に入れることが出来るでしょう。
超難関資格である「弁護士」「公認会計士」「税理士」は便宜上、割愛させて頂きますので予めご了承ください。
行政書士
行政書士は、総務省管轄の行政書士法に基づく国家資格です。
「官公庁向けの提出書類や権利義務・事実証明に関する書類の作成」に係る独占業務を持っております。
中小企業診断士×行政書士のシナジーとは?
憲法・行政法・民法・商法などに精通しており、中小企業や小規模事業者向けに起業支援や必要書類の作成などを提案することが可能となります。
「企業支援や書類作成」をドアノックサービスとして顧客の信頼を勝ち取り、その後、中小企業診断士としての経営診断に繋げていくことが出来ます。
- 受験方法
筆記試験(会場) - 受験料
7,000円 - 勉強時間(目安)
600時間 - Webサイト
https://gyosei-shiken.or.jp/doc/guide/guide.html
弁理士
弁理士は、経済産業省管轄の弁理士法に基づく国家資格です。
「特許・実用新案権・意匠・商標などの知財の国際出願に関する特許庁における手続き」を独占業務として行うことができます。
中小企業診断士×弁理士のシナジーとは?
知財のエキスパートとして、中小企業・小規模事業者の知的財産権を活かす提案ができるようになります。
知財は中小企業・小規模事業者が生き残る上で重要な要素なのにも関わらず中小企業・小規模事業者の経営者は「知的財産権に疎い場合が多い」です。
知財周りの相談に応じながら顧客の信頼を勝ち取り、経営診断に繋げていくのが定石となるでしょう。
- 受験方法
・短答式筆記試験(会場)
・論文式筆記試験(会場)
・口述試験(会場) - 受験料
12,000円 - 勉強時間(目安)
3,000時間 - Webサイト
https://www.jpo.go.jp/news/benrishi/index.html
社労士(社会保険労務士)
社労士は、厚生労働省管轄の社会保険労務士法に基づく国家資格です。
社労士業は1号業務、2号業務、3号業務に分けられます。
- 1号業務(手続き代行)
– 労働・社会保険関連の申請書の作成 - 2号業務(帳簿作成)
– 労働者名簿・賃金台帳・出勤簿などの「法廷三帳簿」等の作成 - 3号業務(相談業務)
– 労務管理に係るコンサルティング
手続き代行である1号業務と帳簿作成の2号業務を独占業務として行うことができます。
中小企業診断士×社労士のシナジーとは?
人事・労務のエキスパートの観点から、経営戦略を実現するための組織の形成・運営についてコンサルティングできるようになります。
1号業務・2号業務を取っ掛かりに顧客の信頼を勝ち取り、経営診断に繋げていくのが良いでしょう。
また、社労士が診断士を目指すことのメリットもあります。
社労士の顧問契約は2~5万円/月が相場ですが、診断士としてサービス領域を広げていくことで単価アップが目指せるようになります。
- 受験方法
筆記試験(会場) - 受験料
9,000円 - 勉強時間(目安)
1,000時間 - Webサイト
https://www.sharosi-siken.or.jp/
IT系
(ITコーディネータ・ITストラテジスト・G検定)
次にIT系資格を紹介します。
ITの利活用は中小企業・小規模事業者の生産性に直接的に影響します。
ITを武器にコンサル力を高めたい方は、今回ご紹介する資格に挑戦してみて下さい。
ITコーディネータ
ITコーディネータは、特定非営利活動法人ITコーディネータ協会が認定している民間資格です。
民間資格とは言いましたが、経済産業省が推進している資格であり、認知度も高いです。
昨今、製造業・小売業・サービス業をはじめ自治体・病院・学校・農業法人など、あらゆる領域でIT利活用の重要性が叫ばれております。
ITコーディネータは、このような顧客のIT利活用に係る課題に対して幅広いIT知識を活用してサポートを行います。
中小企業診断士×ITコーディネータのシナジーとは?
ITの利活用が上手くいっていない中小企業はめちゃくちゃ多いです。
「IT導入補助金」などの支援施策を上手く活用しながら中小企業・小規模事業者向けにIT利活用の提案を行いましょう。
IT導入補助金の申請には経営状況の整理や労働生産性等の指標を盛り込む必要がありますので、中小企業診断士としての知見が活かされます。
ここで顧客の信頼を勝ち取ることができればアフターフォローのコンサルティングに繋げることも出来ます。
- 受験方法
多肢選択式試験(Webテスト:会場) - 受験料
19,800円 - 勉強時間(目安)
20時間 - Webサイト
https://www.itc.or.jp/authorize/exam/
[参考記事]
ITストラテジスト
ITストラテジストは経産省管轄の「情報処理の促進に関する法律」を根拠法令とした国家資格です。
情報処理技術者試験の高度区分の一つであり、難関資格です。
取得者は「企業の経営戦略に基づいて、IT技術を活用して改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進すること」を期待されています。
いわゆる超上流工程において企業のトップマネジメント向けにIT戦略を提案する立場になるわけですね。
IT系資格では唯一、弁護士・公認会計士・医師などと並び、厚生労働大臣によって「専門的知識等を有する労働者」に指定されています。
これに指定されていると労働基準法において特例扱いの対象になります(企業経営理論でも習いましたよね)。
中小企業診断士×ITストラテジストのシナジーとは?
言わずもがなで、「経営コンサル×ITコンサル」の視点で、中小企業・小規模事業者のIT利活用の提案をゴリゴリ進められるようになります。
中小企業・小規模事業者の経営者は「ITストラテジスト」と「ITコーディネータ」の違いを知らないことが多いので、比較的難易度の低い「ITコーディネータ」から入るのも良いかもしれません(研修料が高いですが。。。)
ITを武器に戦っていくのであれば、ぜひとも挑戦したい資格の一つであります。
- 受験方法
筆記試験(会場) - 受験料
5,700円 - 勉強時間(目安)
50時間(応用情報技術者を持っている場合)
(*応用情報技術者:500時間程度の勉強時間が必要) - Webサイト
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/st.html
G検定(ディープラーニング協会)
G検定は、一般社団法人日本ディープラーニング協会が認定している民間資格です。
ディープラーニングの基礎知識を有し、事業活用に繋げられるGeneralist人材の育成を目指している資格です。
ディープラーニング協会はG検定と共にE(エンジニア)資格という、エンジニア向けの資格も運営しています。
E資格人材は、ディープラーニングの理論を熟知し、事業活動に応じた適切な手法を選択し、機械学習モデルを実装する力を保有しています。
中小企業診断士×G検定のシナジーとは?
私自身も、本業である石油&ガスプラント領域でディープラーニングを用いたサービス導入をリードさせて頂きましたが、AI技術のポテンシャルは計り知れないですね(もちろん短所も多いですが)。
その過程であらゆる業界の方々の話を伺ったのですが、昨今、製造業・小売業・サービス業など、あらゆる領域で事業価値向上の切り口として「データ利活用」が推進されております。
データ利活用の文脈で経営が上手くいっている企業は「漏れなくAIを導入したSaaSビジネス」を展開しており、その基盤としてディープラーニングの知見を上手く活用しています。
まだまだ中小企業・小規模事業者が自身でAIモデルを構築することは稀ではありますが、最近では転移学習といって「ある領域で学習済みのモデルを別領域に活かす」という考え方が流行ってきております。
G検定を持つ中小企業診断士として、中小企業・小規模事業者向けにニッチな領域に特化したAIモデルを武器に事業価値向上が図れないかどうか検討するのも良いでしょう。
- 受験方法
・G検定: 多肢選択式試験(Webテスト:自宅)
・E資格: 多肢選択式試験(会場) - 受験料
・G検定: 15,000円
・E資格: 30,000円 - 勉強時間(目安)
・G検定: 30時間
・E資格: 100時間 - Webサイト
https://www.jdla.org/certificate/general/
WEBマーケティング系
(GAIQ・ウェブ解析士・ウェブデザイン技能検定)
最後に「Webマーケティング系」の資格を紹介します。
「中小企業診断士こそWebマーケティングのプロを目指そう!」でも紹介しましたが、売上増に直結するWebマーケティングの需要は年々伸びております。
Webマーケを武器として身につけることができれば、売上アップのためのコンサルティングメニューを拡充することができるでしょう。
Google Analytics Individual Qualification(GAIQ)
Google Analytics Individual Qualification(GAIQ)は、Googleが認定している民間資格です。
ブログやHPなどのオウンドメディアをはじめ、ECサイト等のPDCAを回す上で欠かせないGoogle Analyticsの知識を一通り学べる点で優れております。
無料かつ気軽に受けられる認定資格なので、ウェブ解析に興味がある方は、GAIQから始めるのがおすすめです。
中小企業診断士×GAIQのシナジーとは?
私も多くの中小企業・小規模事業者様のオウンドメディア対応をしておりますが、多くの経営者が「ホームページは用意してあるけど、アクセス・顧客流入が少ない」といった悩みを抱えております。
そのほとんどが「Google Analyticsをみて改善点の洗い出しを行っていないこと」に起因しています。
GAIQを取得することによって「オウンドメディアの現状把握・改善点抽出」ができるようになりますので、中小企業診断士としてのWebマーケティングコンサル力が向上するのは間違いないでしょう。
Webマーケティングは中小企業・小規模事業者が最も苦しむ「販売不振」を改善する最も直接的な手段になりますので、売上アップを切り口としたコンサルティングを実施したい方はぜひ身につけておきたい領域と言えます。
- 受験方法
多肢選択式試験(Webテスト:自宅) - 受験料
無料 - 勉強時間(目安)
15時間 - Webサイト
https://academy.exceedlms.com/student/path/2938-google-analytics-individual-qualification
[参考記事]
Web解析士
ウェブ解析士は、一般社団法人ウェブ解析士協会が認定している民間資格です。
GAIQはGoogle Analyticsの使い方を学ぶ資格であるのに対して、ウェブ解析士では、解析スキルに加え、「ウェブマーケティング施策の企画・提案・実装に係るスキル」すなわち経営に直結するウェブマーケティングスキルを学びます。
「ウェブ解析士」「上級ウェブ解析士」「ウェブ解析士マスター」の3つのレベルが用意されており、階級があがるごとに上流側(マーケティング戦略・企画)のスキルが求められるようになります。
中小企業診断士×ウェブ解析士のシナジーとは?
中小企業・小規模事業者の経営におけるウェブマーケティングの重要性は年々上がってきております。
従い、ウェブマーケティングを企画・実装まで包括的に手掛けることができるウェブ解析士のニーズも増えてきております。
ウェブマーケティングコンサルとして顧客の売上アップに貢献することで信頼を勝ち取り、その後の経営診断に繋げるのが定石となるでしょう。
- 受験方法
・ウェブ解析士: 多肢選択式試験
(Webテスト:自宅)
・上級ウェブ解析士: 講座受講+多肢選択式試験
(Webテスト:自宅) - 受験料
・ウェブ解析士: 17,600円
・上級ウェブ解析士: 108,000円(講座+試験) - 勉強時間(目安)
・ウェブ解析士: 30時間
・上級ウェブ解析士: 60時間 - Webサイト
https://www.waca.associates/jp/
ウェブデザイン技能検定
ウェブデザイン技能検定は、特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会が認定している民間資格です。
厚生労働省が認定する唯一のWeb系国家資格となります。
基本的にウェブデザイナーのプロを目指す方向けの資格となりますが、ウェブマーケティングを武器として活動するコンサルタントにも人気の資格です。
試験内容は筆記試験と実技試験からなりデザインスキルも問われます
中小企業診断士×ウェブデザイン技能検定のシナジーとは?
昨今、ホームページを刷新する中小企業クライアントは増えてきております。
中小企業診断士は、中小企業経営者の相談先としてあがることが多いのですが、実はホームページ制作のデザイン面に関してはWebデザイナーの方に丸投げすることも多いです。
ウェブデザイン技能検定を受けておくことで、クライアントの経営課題・ニーズにあったウェブデザインになっているのか?の確認もできるようになり、コンサルティング能力の向上に繋がるでしょう。
- 受験方法
学科試験・実技試験(会場) - 受験料
・3級: 学科 7,000円 / 実技 25,000円
・2級: 学科 6,000円 / 実技 12,500円
・1級: 学科 5,000円 / 実技 5,000円 - 勉強時間(目安)
・3級: 30時間
・2級: x時間
・1級: x時間 - Webサイト
https://www.webdesign.gr.jp/
まとめ
以上、本記事では「中小企業診断士におすすめのダブルライセンス」について解説させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
本記事が皆さまのお悩みにダイレクトにお答えできていれば嬉しいです。
もし、「この内容がよく分からない」「深掘りして欲しい」みたいなコメント・要望があれば是非コメント下さい。
可能な限り解答させて頂きます。
それでは最後まで読んで頂きありがとうございました。