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【書評】中小企業診断士合格後の「おすすめ本」│世界標準の経営理論

どうも、Tomatsuです。

ひざの手術の関係で入院しており、年始早々、暇人街道を突き進んでおります。。。

まあ、そんな時は読書!ということで、前から読みたかった「世界標準の経営理論」(by 入山章栄先生:早稲田大ビジネススクール教授)を読んでみました!

入山先生といえば、全イノベーター必読の

の監訳者としても有名ですが、今回もやってくれました。

めっちゃ面白いです。

正直言って、巷で言われているほど簡単に理解できる本ではなかったのですが、経営に携わる方や経営学をかじった方々には全力でおすすめしたい書籍です。

こんな人におすすめ
  • MBAや診断士の勉強である程度「経営の知識」がある方々
  • 経営陣の方々
  • 経営企画、または新規事業に携わっている方々
  • 経営学に興味がある方々(ただし入口としてはちょっと難しいかも)

また、後述しますが、本書は特に「中小企業診断士試験を終えた方」におすすめです。

「企業経営理論」「経済学」で独立して学んだ論点が完全に繋がります。

鳥肌が立つような「点と点がつながる体験(Connecting the Dots)」ができます。

試験勉強を終えたという方は是非読んでみてください!

試験合格後の「おすすめ本」│世界標準の経営理論

本書は、世界の主要経営理論(その数なんと30!)を完全に網羅した経営理論解説本です。

「経営理論」というと、

  • 堅苦しい
  • 実践的ではない
  • 学者向け(ビジネスマン向けじゃない)

というイメージを受けてしまいますが、入山先生は、本書のターゲット層を「現場で戦うビジネスパーソン」としています。

なぜビジネスパーソンに「経営理論」が必要なのでしょうか?

以降で解説していきます。

なぜビジネスパーソンに経営理論が必要?

なぜビジネスパーソンに経営「理論」の知識が必要なのでしょうか?

著者は、この質問に下記のように答えております。

理由①:Whyの「説明」「納得」がなければ人は動かないから

理由②:「理論ドリブンの思考」の方が圧倒的に汎用性が高いから

理由③:経営理論の説明力は時代を超えて不変だから

世界標準の経営理論(入山章栄)より

理由②~③の解説については本書を読んで頂くとして、ここでは理由①について深堀りします。

理由①:Whyに説明できないと人は動かない

現代のビジネスは非常に複雑になってきています。

ビジネス課題には、色々な要素や人々が絡み合い、時に複雑すぎて「正解の解決策」がない世の中になってきているといえるでしょう。

しかし、そんな中でもビジネスパーソンは日々「意思決定」をして前進しなければなりません。

意思決定の内容は、投資判断やM&Aのような大きなもの以外にも人事、マーケティング、オペレーションなど、様々なものが含まれます。

このように複雑かつ多様なビジネス課題に対して、ビジネスパーソンとして能動的に意思決定を進めていくためには「思考の軸」となるものが必要になります。

その一助となるのが「経営理論」です。

経営理論が思考の軸となる

世界標準の経営理論(入山章栄)より

著者も何度も説明していますが、「経営理論」「フレームワーク」は違います。

経営理論は複雑なビジネス上の事象に対して「なぜそうなるのか?(Why)」を考える切り口となります。

一方、フレームワーク(5フォース分析・SWOT分析・PPMなど)は経営課題・状況を「可視化」「サマライズ」するためのツールでしかありません。

つまり、フレームワークは可視化したい経営課題、すなわち「What」が決まっていないと使えません。

そして現代のビジネスシーンでは、Whatである経営課題も複雑化してきているので、杓子定規なフレームワークに当てはめようとすると、どこかで無理が生じてしまいます。

ポイント

複雑かつ正解のない経営課題に向き合うためには、フレームワークに依存するのではなく、議論のきっかけや切り口を作りうる「経営理論(思考の軸)」を武器として身につけ「なぜそうなるのか(Why)?」に答える必要がある。

フレームワークおバカを見直すきっかけに

私は上記の入山先生の説明を読んで恥ずかしくなりました。

というのも、新規事業や経営課題に取り組むにあたり、診断士の勉強で知ったフレームワークを「使う」ことに集中しすぎて、課題の本質を考える(Whyを考える)ことをしてこなかったからです。

本書は複雑かつ正解のないビジネス課題に向き合うための根本となる経営理論を教えてくれます。

しかも網羅的に。

私のように有名どころのフレームワークを使うだけで満足していた方(本質が見えていない方)は是非本書を手に取り、自身のビジネス力向上を図ってみてはいかがでしょうか。

どんな経営理論が学べるの?

では、本書ではどのような経営理論が学べるのでしょうか?

本書で学べる代表的な経営理論

①経済学ディシプリン:SCP理論、リソース・ベースド・ビュー、取引費用理論、ゲーム理論、など

②マクロ心理学ディシプリン:知の探索・知の深化理論、SECIモデル、ダイナミック・ケイパビリティ理論、など

③ミクロ心理学ディシプリン:リーダーシップの理論、モチベーションの理論、センスメイキング理論、など

④社会学ディシプリン:ソーシャルキャピタル理論、組織エコロジー理論、レッドクイーン理論、など

ひとえに経営理論と言っても「経済学」「認知心理学」「ミクロ心理学」「社会学」など、あらゆる分野(ディシプリン)から発展した理論が存在します。

本書は各ディシプリンから発展した各々の理論の解説に加えて、第5部として実際のビジネス現象から考察した経営理論についても解説しています。

一般的な経営学の教科書やビジネス本では各ディシプリンをまたがる説明がなされていない(というか出来ない)ことが多いのですが、本書は筆者の特殊な経歴が功を奏したのか、それを成しえております。

SCP理論などのClassicalな理論から、知の探索・知の深化理論など比較的新しいものまで、現代のビジネスパーソンが必要な理論が一冊で学べる良書となっております。

診断士に特におすすめ

前述のとおり、本書は中小企業診断士の勉強を終えた方に特にお勧めです。

というのも「企業経営理論」と「経済学」で学んだ内容が、経営理論によって体系的に繋がるからです。

例えば企業経営理論の「5フォース分析」と経済学の「寡占市場」。

これらはSCPという理論によって繋がります(寡占市場を目指すために5フォース分析を使う)。

受験勉強時は、各科目を無関連なものとして扱ってしまいがちでしたが、実はこれらは密接に関連しあっていたことに気付かされました。

本書を読んでまさにSteve Jobsの「Connecting the Dots」を思い出しました。

上記は一例にすぎず、他にもたくさんの「Connecting the Dots」を体験できますので、是非手に取って読んでみてください。

それでは最後まで読んで頂きありがとうございました。

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