どうも、Webマーケター兼中小企業診断士のトーマツです。
日々、マーケティング業務に携わるなかで
「あれ?マーケティングって結局なんだっけ??」
と、ご自身の業務や活動に迷いが生じてしまうことはありませんでしょうか?
私はあります笑
そんな時は、言葉の定義に立ちかえるのが一番早いですね。
とは言いつつも「マーケティング」は時代やテクノロジーと共に変化していく概念であり、一義的に定められるものではありません。
というわけで、そんな時には業界の巨匠に聞くのが良いということで、今回は「マーケティング業界の偉い人たちによるマーケティングの定義6選」を紹介したいと思います。
ご自身の業務・活動の振り返りに役立てて頂ければ幸いです。それではどうぞ〜!
- 仕事でマーケティングに携わっている方
- マーケティングを学習中の方
マーケティングってなに?偉い人の定義を6つ集めてみた
マーケティングの定義に関しては、諸説ありますが、今回は以下の巨匠の方々の定義を集めてみました。
No. | 業界の巨匠 | マーケティングの定義 |
1 | フィリップ・コトラー | ニーズに応えて利益を上げること |
2 | ピーター・ドラッカー | 販売(セールス)を不要にすること |
3 | セオドア・レビット | 顧客(ファン)を創造すること |
4 | ドン・シュルツ | パーセプション・チェンジである |
5 | 森岡毅 | 価値を創造する仕事 |
6 | 西口一希 | 顧客を通して事業を動かすこと |
ここから1人ずつ、経歴等も交えながら解説させて頂きたいと思います。
巨匠による定義を参考に、ご自身にとっての「マーケティングの定義」を作ってみるのも一興かもしれません。
1. フィリップ・コトラー
(ノースウェスタン大学名誉教授)
「マーケティングの神」「近代マーケティングの父」と呼ばれ、自他ともに認める業界のドンであるフィリップ・コトラー。
MITで博士号を取得したのち、ノースウェスタン大学のケロッグ経営大学院にて教授に就任。長年に渡りマーケティング業界の第一人者として活動されております。
マーケターの実務でも重要なフレームワークの一つであるSTP分析を提唱したり、数々の功績を残されております。
コトラー式マーケティングの定義 =「ニーズに応えて利益を上げること」
コトラーはマーケティングを以下のように定義づけております。
マーケティングとは、どのような価値を提供すればターゲット市場のニーズを満たせるかを探索し、その価値を顧客に実際に提供し、利益を上げることである。
まさにSTPの概念が含まれた定義であり、多くのマーケターから支持される考え方ですね。
経営学やマーケティングの教科書にたびたび登場していることから、過去の偉人のように扱われていますが、2022年6月時点でもバリバリの現役です。
2. ピーター・ドラッカー
(ニューヨーク大学名誉教授)
言わずと知れた「マネジメントの父」である、ピーター・ドラッカー。
経営学界での多くの業績には、先述のフィリップ・コトラー含む多くの学術界の錚々たるメンバーや、実社会においてもGEのジャック・ウェルチ元CEOやイギリスのサッチャー元首相などが敬意を表しております。
「経営学」の第一人者として有名であるためあまりフィーチャーされませんが、実はマーケティングに関しても数々の名言を残されております。
ドラッカー式マーケティングの定義 =「販売を不要にすること」
ドラッカーはマーケティングを下記のように定義しております。
マーケティングの目的は、販売を不必要にすることだ。マーケティングの目的は、顧客について十分に理解し、顧客に合った製品やサービスが自然に売れるようにすることなのだ。
「販売とマーケティングは真逆であり、補い合う部分さえない」というスタンスであり、顧客が本当に欲しいものを生み出し、適切なコミュニケーションが取れていれば、商品・サービスは勝手に売れていく(つまりセールスが不要になる)という論理を展開されております。
ドラッカーはマーケティングを「企業の第一機能」と定義しており、経営学の一要素として扱っております。ちなみに「企業の第二機能」はイノベーションとのこと。
3. セオドア・レビット
(ハーバード大学名誉教授)
日本ではコトラーやドラッカーほど有名ではありませんが、マーケティング業界に多大なる影響を与えたセオドア・レビット。
ハーバードビジネススクールで教鞭をとり、後に名誉教授になられた知る人ぞ知るマーケティング界の巨匠の1人です。
意識の高いビジネスマンなら一度は聞いたことがある「顧客が欲しいのは、ドリルではなく穴である」は、実はレビットが広めたものです。
レビット式マーケティングの定義 =「顧客の創造」
レビットはマーケティングを以下のように定義づけております。
マーケティングとは、顧客の創造である。
めちゃくちゃシンプルですね。ただこれには若干の補足が必要であり、ここでいう顧客とは「自社の提供価値を評価し、それを欲してくれるファン」を指しております。
消費者が本当に求めているもの(価値)を見定め、それを提供することの重要性を一貫して主張しているレビット氏らしい定義であると言えます。
プチトリビアですが「ドリルじゃなくて穴が欲しい」という格言は実はレビット氏の発言ではなく、レオ・マックギブナという人が言った言葉らしいです。ちなみにこのマックギブナという人はレビット氏の書籍にしか登場せず、国籍・肩書きが不明なのです。
4. ドン・シュルツ
(ノースウェスタン大学名誉教授)
フィリップ・コトラー、デビッド・アーカーと並ぶ世界3大マーケティング巨匠の1人と言われるドン・シュルツ。
ノースウェスタン大学の名誉教授として教鞭を取る傍ら、3Mやビザ・インターナショナルなど数多くのグローバル企業でのコンサルティング実績を持っておられます。
統合マーケティングコミュニケーション(IMC)の提唱者であり、国内外の実務家に多くの影響を与えています。
シュルツ式マーケティングの定義 =「パーセプション・チェンジ」
コトラー氏はマーケティングを以下のように定義づけております。
マーケティングとは、つまるところパーセプション・チェンジである。
ちょっと難しいですが、パーセプション・チェンジとは「顧客の認識を変化させること」を意味します。
消費者行動やニーズが多様化する現代において、企業からの一方的なコミュニケーションのみでは態度変容を促すのが難しくなっています。
購買に至るまでのプロセス(パーセプション・チェンジ)を促す手段として顧客志向を極限までに高めることの重要性を説いております。
経営学やマーケティングの教科書にたびたび登場していることから、過去の偉人のように扱われていますが、2022年6月時点でもバリバリの現役です。
5. 森岡毅
(株式会社刀CEO)
言わずと知れた超有名マーケターである森岡毅さん。
元P&Gの敏腕マーケターとしての腕を買われ、2010年にCMOとして鳴り物入りでUSJに入社。当時経営難の状況から大ヒットキャンペーンを連発させ、見事V字回復させたことで有名です。
独自の確立統計ノウハウを用いた戦略理論や奇抜なアイデアのミックスで、丸亀製麺やネスタリゾート神戸などの再生にも絡んでる日本最強のマーケターと言えるでしょう。
森岡式マーケティングの定義 =「価値を創造する仕事」
森岡さんはマーケティングを以下のように定義づけております。
私はよく、マーケティングとは「価値を創造する仕事」と説明しています。市場における価値を創造すること「全般」がマーケティングの役割なのです。
森岡さんは消費者の中で知覚される価値を「ブランド」と表現し、その「ブランド」を作る仕事の全てをマーケティングの領域であると述べられております。
現在は株式会社刀の代表兼現役マーケターとして沖縄ブランド強化による変革で、観光立国日本の要になるというビジョンを掲げられております。話がデカいですね〜。
6. 西口一希
(Strategy Partners代表)
「顧客起点マーケティング」の提唱者としてマーケティング実務家からも人気の高い西口一希さん。
森岡さんと同じくP&G出身で、2017年にスマートニュースのマーケティング担当執行役員として入社し、同社をユニコーン企業まで成長させたことでも有名です。
1人の顧客を知ることの重要性を強く説いており、その具体手段として、新たなマーケティングフレームワークである「9セグマップ」や「顧客ピラミッド」などを提唱している敏腕マーケターです。
西口式マーケティングの定義 =「顧客を通して事業を動かすこと」
西口さんはマーケティングを以下のように定義づけております。
マーケティングとは、顧客を通して事業を動かすことである。
P&G時代に学んだ「Consumer is Boss」の考え方を発展させ、たった1人のロイヤル顧客を深く知ることを通じた消費者深層心理の解明こそが事業成長のアイデアを生み出すと述べられております。
西口さんは日経XTRENDのインタビューにて、セオドア・レビットの「ドリルではなく穴を売れ」は不十分であり、マーケターとしては顧客が穴を欲しがっている本当の理由を探るところまで深掘りしなければならない、と述べられております。
まとめ
以上、本記事では「マーケティング業界の偉い人たちによるマーケティングの定義6選」について解説させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
それぞれ異なる表現を用いられておりましたが、個人的には「顧客視点で価値を創造し、それをしっかり届ける」ことを重視している点で全て共通していたのではないかと考えております。
マーケティングの定義は一義的に定まっているものではありませんので、本記事の内容を参考にご自身の定義を作ってみるのも一興かもしれませんね。
それではまた!