【エネルギー・プラント業界研究】液化天然ガス(LNG)って何?サプライチェーンを分かりやすく解説します

サラリーマンネタ

どうも、Tomatsuです。

普段何気なく使っているガスコンロやお風呂のガス給湯器。

これらのガスがどのようにして生産され、どのようにして我々の日常生活まで供給されているか考えたことはありませんか?

答えは「化石資源である天然ガスを海外で採掘し、これをガンガン冷やしこみ、液体にして船で運び、その後、気化させてガス導管で送る」です。

この液体となった天然ガスのことを液化天然ガス(Liquefied Natural Gas : LNG)と言います。

ニュースで良く耳にしますよね。

本記事では、液化天然ガス(LNG)のサプライチェーンについてざっくり解説します。

エネルギー業界にお勤めの方はもちろん、それ以外の方々も一般教養として知っておいて損はしないかと思いますので、是非読んでみてください。

こんな人におすすめ
  • LNGのサプライチェーンが知りたい
  • 液化施設での生産プロセスが知りたい
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液化天然ガス(LNG)って何?サプライチェーンを分かりやすく説明します

我々が普段の生活で使っている都市ガスの主成分は「メタン」と呼ばれる炭化水素です。

そしてこのメタンが多く含まれる天然化石資源のことを「天然ガス」と言います。

そのまんまですね。

天然ガスは、太古の時代のプランクトンや生物の死骸が長い時間をかけて分解されたガスであり、天然資源として地下に埋蔵されています。

プロパンガス、ガソリン、重油と比べて有害成分が少ないことから、環境に優しい資源として注目されています。

ちなみに日本は資源国ではないので、ほとんど天然ガスが取れません。

という訳で、我々が使っている都市ガスのほとんどは「海外からの輸入に依存」しております。

液化天然ガスのサプライチェーン

では液化天然ガスはどこから、どうやって調達されるのでしょうか?

サプライチェーンを一つ一つ見ていきましょう。

①天然ガス採掘

まずは天然ガスの採掘です。

その言葉の通り、地下資源を採掘する工程を指します。

この段階でのメインプレーヤーはShell, Exxon mobil, Chevron, BPなどの石油メジャーやPETRONAS, Gazpromなどの国際石油企業です。

日系企業としてはINPEXやJAPEXが有名ですね。

こういった企業が、各々が保有する天然ガス鉱区から天然ガスを採掘し生産します。

これまでは、マレーシア、オーストラリア、ロシア、インドネシア、カタール、オマーン、ナイジェリアなどの資源保有国が主な舞台でしたが、シェール革命以降は北米が産ガス国となり、勢力図の塗り替えが起こり始めております。

ちなみに日本に供給されるLNGのほとんどがマレーシア、オーストラリアなどアジア・オセアニアからのものであり、石油と比べて中東などのカントリーリスクの高い生産国への依存度は低めです。

このフェーズで活躍する企業群は下記の通り。

主なプレーヤー
  • 生産者:石油メジャー、国営石油企業
  • サブシー事業者(SURF Contractor):Technip FMC, Schlumberger, Subsea 7, Aker Solution

②液化

この工程は、掘った天然ガスをー160℃まで冷やし液体にする工程です。

天然ガスは液化すると体積が600分の1まで小さくなり輸送が簡単になります。

天然ガス液化の工程はざっくり説明すると下記です。

  1. ガスの前処理(天然ガスの不純物を取り除く)
  2. ガスの液化(冷媒を用いてー160℃まで冷やす)

ガスの前処理

この工程では、天然ガス中に含まれる水分、酸性ガス(CO2, H2S) や水銀、それからガス中に微量に含まれる液体成分(ペンタンより重たい成分、ベンゼンなど)を取り除きます。

これらを取り除く理由は下記の通り。

  • 水分:氷となり装置閉塞の原因となる
  • CO2:-80℃でドライアイスになり装置閉塞の原因となる
  • 水銀:液化工程で使用するアルミ製の熱交換器が腐食してしまうため
  • 液体成分:液化工程で固化し装置閉塞の原因となる
  • H2S:有害物質なため

除去が必要な理由は単純ですね。

それぞれの成分の除去方法については、別途記事を書く予定ですのでお楽しみに。

ガスの液化

ガス液化工程では、大きな熱交換器の中で冷媒と前処理工程を経て「キレイになった天然ガス」を熱交換させ、液化天然ガスを生産します。

液化技術としては、アメリカの産業ガス大手であるAPCI社が保有する「C3-MRプロセス」がメジャーであり、日系企業(日揮、千代田)によって手掛けられた液化プラントのほとんど全てがAPCI技術を用いています。

冷媒を作るためには大きなガスタービンコンプレッサーと呼ばれる回転機が必要となり、これらは液化プラントの中でも最も重要な装置であると言えます。

ガス液化工程についても別途記事を書きますのでお楽しみに。

ちなみにこのガス液化工程における主要プレーヤーは下記の通り。

主なプレーヤー
  • 液化プラント事業者: 石油メジャー、国営石油企業
  • エンジニアリング会社:日揮、千代田、Technip、KBR、Bechtel
  • 液化ライセンサー:APCI、Conoco Philips、Black&Veatch
  • 回転機ベンダー:Siemens、Baker Hughes(旧GE Oil & Gas)
  • MACベンダー:横河電機、Scheneider Electric

③輸送

液体化した天然ガスを船により輸送する工程です。

LNGを運ぶ船はLNG Carrierと呼ばれ、-160℃の極低温の流体を運ぶためTank部分には入念な保温処理が施されています。

ちなみに輸送過程で外からの入熱を完全に断ち切ることは不可能であるため、ガス化(Boil Off Gas : BOG)が生じます。

蒸発したガスはガスエンジンに送られCarrierの動力に使われるか、ボイラにて船員の生活熱源として使用されます。

LNGブームに伴い世界での消費量が増えていることから、Carrierは年々大型化が進み、近年では20万m3を超えるお化けのようなLNG船が用いられるようになってきました。

主なプレーヤー
  • 国内海運会社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)
  • 海外海運会社(Maerskなど)
  • タンク製造技術:GTT

④消費

LNGの消費工程です。

海運輸送を経て国内ターミナルに到着すると、その後、LNGは蒸発器にかけられガスパイプを通してユーザーに届けられます。

主な用途は下記の通り

  • ガス火力発電
  • 都市ガス(生活用)
  • 産業ガス(工場熱源)

3.11以降、原子力発電がストップしたことにより、日本の電源構成における火力発電の比率が増しました。

今でこそ太陽光発電が台頭してきてはいるものの、まだまだLNG依存からは抜け出せそうにありません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は液化天然ガス(LNG)全体のサプライチェーンを見てきましたが、次回は液化工程の技術についてより詳細に解説したいと思います。

それでは最後まで読んで頂きありがとうございました。

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