どうも、Webマーケター兼中小企業診断士のトーマツです。
「USPが重要と言われているけど、どうやって作れば良いのかが分からない。。。」
このようにお悩みの経営者やマーケティング担当者の方も多いのではないでしょうか?
語弊を恐れずに言えば、具体的なUSPが掲げられていないビジネスは「他社に追随するだけ」の特徴のないビジネスであり、特にマーケットが縮小し競争環境が激化している日本国内においてはジリ貧に陥る可能性が高いでしょう。
逆に言えば、力強いUSPはいつの時代でもお客様に選ばれる原動力となり、自社ビジネスの成長を支えることが可能です。
本記事では、中小企業診断士として事業者様のUSP構築支援を行なっている経験をもとに「刺さるUSPの作り方」について分かりやすく解説したいと思います。
「まだ具体的なUSPを作っていない」という事業者の方は、この機会にぜひチャレンジしてみてください。
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- マーケティングの勉強を始めたばかりの経営者・マーケティング担当の方
- 売上の減少や頭打ちに悩んでいる経営者・マーケティング担当の方
USPとは?
USP =「プロダクトやサービスが持っている独自の強み」
何の前置きもなく冒頭でUSPを連呼してしまいましたが「そもそもUSPとはなんでしょう?」
USPとはUnique Selling Proposition(ユニーク・セリング・プロポジション)の頭文字を取ったもので「自社のプロダクト・サービスが持つ独自の強み」を指すマーケティング用語です。
もう少し具体的には「顧客が欲しがっていて、かつ競合が提供できない、自社サービス・プロダクトのみが提供できる独自の強み」と考えると良いでしょう。
経営戦略をたてる上で「差別化」の重要性が謳われることは多いですが、単に競合と違うことを行うことはNGです。
競合と異なるソリューションが「お客さまのニーズにマッチしてはじめてUSPとなること」を抑えておきましょう。
USPはわかりやすい言葉で表現されるもの
USPは「短く分かりやすい言葉で表現」されていなければなりません。
USPはお客さまに選んで頂く理由であり、お客さまに伝わるものでなければならないからです。
例えば、USPの成功事例として最も有名なドミノピザ創業当時のUSPは以下の通りです。
熱々、ジューシー、おいしいピザ。30分以内にあなたのもとへお届けします。30分以内に届かない場合、代金は決していただきません。
端的にお客さまのベネフィットが表現されていますね。
ドミノピザの創業当時は、配達力がまだまだ弱いピザ屋が多く「熱々のピザが届くこと」が当たり前ではなかったため、我慢をして冷めたピザを食べていたお客様にとっては強烈に刺さるUSPであったことでしょう。
なぜUSPは重要なのか?
では「なぜUSPをたてることが重要なのでしょうか?」
理由は二つあります。
- お客様に選んで頂くため
- 組織の意識を統一するため
一つずつ見ていきましょう。
①お客様に選んで頂くため
一つ目は、言わずもがなですが「お客様に選んで頂くため」です。
どんなビジネスにおいてもライバルや同業が必ず存在します。
事業領域によっては、たくさんのライバルに囲まれている会社もあるでしょう。
この中から、自社のプロダクトやサービスを選んで頂くためには「お客様があえて自社を選ぶべき理由を提供できなければなりません」。
例えば、あなたがラーメン屋さんが乱立している飲食街にラーメン屋を出店しているとします。
もし「メニュー面、サービス面、価格面、」などあらゆる側面において特徴を打ち出せていないとすれば、お客様がわざわざあなたのラーメン屋を選ぶ理由はないでしょう。
たまたま、通りすがりで、入店してくれることはあれど、リピートには至らず売り上げもすぐに頭打ちを迎えるでしょう。
一方、例えばあなたのラーメン屋さんが、ビーガンかつカロリーを気にする女性を対象にビーガンラーメンを提供しており、それに纏わるUSPを掲げていたとします。
この場合、ビーガンラーメンに興味のないお客様から選ばれる可能性は低下しますが、ターゲット層からの選好度(プレファレンス)が向上し、マーケットサイズが十分であれば売り上げも増えていくことでしょう。
繰り返しにはなりますが「お客様のニーズがあり、競合が提供できない価値が何なのか?」を自問自答することが重要です。
②組織の意識を統一するため
もう一つ目の理由は「組織の意識を統一するため」です。
ここまで読んで頂けた方はお気づきかと思いますが、USPは「お客様に選ばれる理由」と同義ですので、確実に実行できなければなりません。
USPを掲げてみたものの、それが実行できなければ、お客さまの信頼を失い、自社ブランドが確実に毀損するからです。
例えば、先ほど取り上げたドミノピザの例ですが、30分以内に届けられなかったものの、デリバリー担当の現場の判断で返金処理がなされなかったとします。
この場合、ドミノピザは会社として大嘘つきのレッテルを貼られ、ブランドイメージは毀損するでしょう。
つまり、会社としてUSPを設定した場合、経営戦略上の最重要事項とし全社員に共有・浸透させなければなりません。
これが逆に都合が良いのです。
USPの共有・浸透が確実に行われている組織は、各社員が自社独自の強みを認識した上で、日々の業務に取り組むことになります。
これは日々のお客様とのやり取りにおいても節々に現れ、会社全体のイメージアップや経営戦略の実行力の向上につながるのです。
「USPは必ず実行しなければならないもの」ということさえ心得ておけば、各社員は「USPを確実に実行するにはどうすれば良いのか?」という思考で日々の業務に取り組むため、現場の判断力の向上にもつながります。
刺さるUSPの作り方
ではここから本題に移って「刺さるUSPの作り方」について解説したいと思います。
USPは以下のステップで作っていきましょう。
- 顧客ニーズの特定
- 競合調査
- 自社でしか解消できないニーズを絞る
- USPへの落とし込み
①顧客ニーズの特定
まず最初に行うべきは「顧客ニーズの特定」です。
USPは必ずお客さまのニーズとセットでなければならないからです。
では顧客ニーズはどうやって抽出すれば良いでしょうか?
最も簡単なのは「あなたのビジネスのロイヤル顧客にインタビューさせていただくこと」です。
あなたのビジネスが存続できている背景には、お客さまのニーズの解消に貢献できているという紛れもない事実があります。
ということは、懇意にしてくれているお客様に選んで頂けれる理由を聞き出せれば、顧客ニーズの特定に近づくことができます。
Tips:インタビューのポイント
インタビュー時に意識したいことは「お客様が本当に欲しがっているものは何なのか?」というポイントです。
これらを抽出していく上で効果的な質問内容の一例を示します。
- 購入前にどんな悩みや要望をお持ちでしたでしょうか?
- 自社サービス・プロダクトを選んで頂く前に他社を検討されましたか?
- (検討した場合)選定プロセスを時系列で説明してください。
- 自社サービス・プロダクトに決めた直後(利用前)に不安に思ったことはありますか?
- サービス・プロダクト利用後の評価・感想はいかがでしょうか?
なお、インタビューの設問を設計する上で「なぜ当社を選んでいただいたのですか?」と言った形でダイレクトに「なぜ?」と聞くことは避けましょう。
なぜなら、「お客様自身もなぜ選んだのか?」を答えられないことが多く、即席でそれっぽい回答を返しがちで、インタビュアーとして辿り着きたい真のニーズが得られない可能性が高いからです。
代わりに、上記の質問のような行動事実を突き詰める質問をし、お客様自身が気づいていない真の理由にたどり着くことが重要となります。
②競合調査
顧客ニーズが特定できたら次は「競合調査」です。
競合調査とひとことで言っても、やみくもに競合の情報をチェックしていくのではありません。
前のステップで抽出した顧客ニーズの中で、競合が解消できないもの(提供しきれていないものは何か?)という視点で調査をしていくと効率が良いでしょう。
なお、競合調査を行う上でのポイントは下記です。
- 競合設定
- HP、メディアリリース、商品・サービス、口コミを読み込む
競合設定
いざ「競合調査をしてください」と言われても「競合って一体どんな会社を指すんだろう。。。」という形で競合の定義に悩まれる方も多いと思います。
という訳で以下に該当する会社は競合候補リストに加えておきましょう。
- 同じ商圏を共有する業界競合
- 同じ商圏を共有し、顧客ニーズに沿った価値を提供できる価値競合
やみくもに「この会社も、あの会社も競合かも、、、」という形で無闇に増やしていくこともNGですが、ヌケ・モレが生じることの方が危険です。
また、できれば多くの企業を調査できるに越したことはありませんが限界があります。
調査にかけられる時間やマンパワーを踏まえて現実的な落とし所を見つけることも重要です。
HP、ECサイト、メディアリリース、口コミサイト、SNSを調べる
競合が設定できたら実際に情報収集フェーズに移ります。
情報収集フェーズでは「HP、ECサイト、メディアリリース、口コミサイト、SNS」をベースに以下を収集・整理していきましょう。
- サービス・商品のタグライン
- 対象とするターゲット
- サービス内容・こだわり
- 価格
- 口コミ
- 実績
これを進めていくと「競合が解消できない顧客ニーズはどんな領域なのか?」の感覚が養われていくはずです。
③自社でしか解消できないニーズを絞る
ここまでくるとあともう少しです。
最後は「顧客のニーズはあるものの、競合が解消できない領域」のなかで、自社が解消可能なニーズをひたすら箇条書きしていくだけです。
これを書き出していく上で意識したいのが「今までは提案してこなかったけれども、自社が少し背伸びすれば提供可能な価値」も含めるべきということです。
背伸びというのは、ほんの少しのプロダクト改善、提案内容の変更などを指します。
このエクササイズを行なっていくことで、自社としての独自性や専門性が強化されていきます。
他社が追随できないほど独自性・専門性が強化されたUSPは長期的な競争優位性の獲得につながります。
サービス・プロダクトの独自性を強化するには?
もう少し自社サービス・プロダクトの独自性を強化し、お客様にとって刺さるUSPとするためのポイントを説明させて頂きます。
私が愛読しているハイパワー・マーケティングの引用にはなりますが、お客様に刺さるUSPとは以下のいずれかのカテゴリーに該当します。
- 幅広い品揃え
- 大幅な割引
- アドバイスとサポート
- 圧倒的な利便性(立地、在庫切れなし)
- 最高級のサービス
- 迅速なサービス
- 基本以上のサービス
- 通常より長期・広範にわたる保障
提案の魅力が足りないと感じた際は、上記のいずれかを起点に、提案内容をブラッシュアップしていきましょう。
④USPへの落とし込み
最後は肝心のUSPに落とし込むステップです。
冒頭でも説明しましたが、USPは端的な文章に落とし込まれているものでなければなりません。
一方、分かりやすい端的な表現は、何度も何度も修正を重ねて出来上がるものですので、まずは以下のフォーマットをもとにUSPのたたき台を作成しましょう。
〜は(顧客)
〜のとき(状況)
〜ができていないだろう(課題)
この〜は(ソリューション)
〜とは違い(競合)
〜をすることによって(提供価値)
〜は(顧客)
〜できる(顧客の解決課題or得られるベネフィット)
これはマーケティングトレース主宰の黒澤さんが提唱されている「マーケティング・ステートメント」と呼ばれるものです。
①〜③で整理された情報があれば、上記の「マーケティング・ステートメント」に情報を入れ込むことが可能なはずです。
マーケティング・ステートメントの型に当てはめることができれば、最後は要らない部分(説明不要な部分)を削ぎ落としていくことで、以下のドミノピザの例のようなブラッシュアップさせたUSPを作り上げていきましょう。
熱々、ジューシー、おいしいピザ。30分以内にあなたのもとへお届けします。30分以内に届かない場合、代金は決していただきません。
まとめ
以上、本記事では「刺さるUSPの作り方」について解説させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
もし本記事の内容でご質問ある方は是非コメント欄に書き込んで頂けると幸いです。
お答えできる範囲で答えさせて頂きます。
それではまた!