WEBマーケティング

FF7リメイクの大ヒットに貢献したマーケティング戦略とは?

どうも、Webマーケター兼中小企業診断士のTomatsuです。

今回は、前回の「FF7リメイクの成功要因を中小企業診断士が勝手に分析【答え:圧倒的なマーケティング力】」の続編として、神ゲー・オブ・ザ・神ゲーであるFF7リメイクの成功要因について、いちおう経営コンサルタントな私がマーケティングの視点から分析しますw

前回の記事を読まれていない方はぜひ、こちらをお読みになってから戻ってきて下さいね。

 

戦略②:緻密なターゲティング・広告戦略

さて、前回の記事では、スクウェア・エニックスがロイヤル顧客予備軍の購買意欲を高めるために、ロイヤル顧客を火付け役とした「感情マーケティング」を活用した、という話をさせて頂きました。

これはこれで相当の効力を発揮したのは間違い無いのですが、この施策のみでは不十分です。

なぜなら、ボリュームゾーンを形成する「FF7を認知しているものの、プレイしたことが無い層」である「認知・未購入顧客」へのアプローチが足りないからです。

そこで、スクウェア・エニックスが次に実施したのが、「緻密なターゲティングに伴うCMの展開」です。

ドラマ仕立ての長編コマーシャルの放映

スクウェア・エニックスは、2019年11月2日18時30分に放送された「FNS27時間テレビ」にて以下の長編CMを放映しました。

詳細は割愛しますが、FFVIIの原作をプレイしたことがない会社員(窪田正孝さん)が、同僚・彼女・謎の熱狂的なFFVIIファンとの絡みを経て徐々に作品に興味を持ち、最終的にPS4・FFVIIリメイクの購入を決断する、というドラマ仕立ての内容となっています。

何も考えずに観ると「あ〜良いCMだったな」で終わってしまう内容なのですが、マーケティングの視点で詳しく分析すると色んな意図が含まれていることが分かります。

ボリュームゾーンである「30代前半男性会社員」をメインターゲットに

まずはCMの主役に「30代前半男性会社員」というペルソナを据えたことが秀逸です(注:30代前半とは明言されてませんが、窪田さんは当時30歳であった)。

理由は、30代前半男性は97年の原作発売当時の「13歳前後」と本作の影響を色濃く受けた最も大きなボリュームを形成する層だからです。

現にFF7公式サイトへのアクセス解析結果では全体の40.8%が「30代」で形成されていることが分かっています。

FOMOを煽る内容

そして私が何よりスゴイと感じたのが最近注目されているFOMOを上手く活用したCM内容です。

FOMOとは「fear of missing out」の略であり、自分が知らない間に何か楽しいことがあったのではないか、大きなニュースを見逃しているのではないか、と気になって落ち着かない状態のことを指します。

「何かを見逃すことへの不安、取り残されることへの恐れ」といった意味の英語の略語であり、最近は音声SNSの「clubhouse」のマーケティングに応用されたことで話題になりました。

CM中で窪田さんが演じるFF7未プレイ層である会社員が、FF7の熱狂的ファンに対してこんな発言をします。

「色々調べてみると、とんでもない数の人がFF7を好きなのが分かって。。。みんな、このゲームの話をしているとき本当に楽しそうで。。。」

「ちょっと羨ましいんですよね」

これは、会社の同僚、彼女、熱狂ファンがエアリスがどーだの、ナイツオブラウンドがあーだので、FF7原作当時の熱狂や興奮を懐古している姿をみて、まさに未プレイ勢として「大きな祭りごとを見逃してるんじゃないか?」という不安を煽られている状況を示唆しております。

私は原作バリバリプレイ勢でしたが、原作をプレイしていない勢からしたら相当ショッキングな内容になっていたんじゃないか?と推測しています。

やったことある派、やったことない派、どちらも素晴らしい

また、CMのクライマックスで謎のFF熱狂ファンを演じる玉山鉄二さんがこんな発言をします。

「新たなFF7では『やったことある派』の私と『やったことない派』のあなたでは違った見え方ができるだろう。」

「私は『やったことない派』のあなたが羨ましい」

これは、ボリュームゾーンのおそらく大半をしめる「やったことない派」に対する救いの言葉であり、CM最後の窪田さんのように「よし、じゃあ買ってみるか!」と購買意欲を沸かせる効果があったものと思われます。

また、これは同時に玉山さんのような「ロイヤル顧客層または予備軍」に対して、FF7未プレイ勢に対する布教活動を促す描写だったのではと推測しております。

ポイント:効果的な広告戦略により未プレイ勢の取り込みに成功

もちろん、これはCMの効果だけではありませんが、スマホゲームの時代である現代において500万本の大ヒットを収められたのは、30代前半男性の原作未プレイ勢に対しての訴求が上手くいったからでしょう。

また、大きなボリュームゾーンを形成する30代男性ロイヤル顧客による布教活動を促したり、未プレイ勢のFOMOを煽る内容を加えたことなども功を奏したものと思われます。

戦略③:UGC誘発

最後に戦略③です。

FF7リメイクの最大の弱点といえば「分作であること」と「開発期間が長いこと」です。

企業としては開発期間中もFF7熱を冷ましたくはないはずですが、リソースに限りがありますので、無制限に広告を打つわけにはいきません。

また、世界で最も注目を集めているゲームであるとはいえども、未認知顧客層へのアプローチが圧倒的に足りていません。

そこでスクウェア・エニックスで検討されたと思われるのは「UGC(User Generated Content)」を誘発させることです。

UGCにより情報爆発を起こすことでロイヤル顧客層のFF7熱を維持させながら未購入客に対する認知を獲得することを狙ったものと思われます。

UGC(User Generated Content)とは?

UGCとは端的に言うと「ユーザーが作成したコンテンツ」を指します。

近年、ユーザーは企業によるあからさまなPRコンテンツを忌避する傾向にあります。

一方、消費者として同じ目線であるユーザーの発信内容に対しては親近感・共感を抱きます。

TwitterやYouTube上でのユーザー発信を観て購買意欲をそそられたことがある方も多いのではないでしょうか?

まさに、それを企業側が仕掛けることが近年のマーケティング戦略上、重要になってきております。

UGCを上手く仕掛けられるようになれば、企業が広告費を投じずとも情報が爆発的に増え認知の獲得に寄与するのと同時に、消費者のリアルな熱に触れることによってファン化しやすくなることが考えられます。

UGCを誘発する施策

ではUGCを誘発させる上で重要な要素は何なのでしょうか?

答えは「誰かと話したくなる」「誰かに教えてあげたくなる」要素をガンガン仕掛けていくことです。

FF7リメイクはこれがダントツに上手かったのです。

全てを紹介するとキリがありませんので、二つの事例に絞って紹介させて頂きます。

仕掛け-1:解釈の余地を残す

一つ目は「ストーリーに解釈の余地を残すこと」です。

本作、実は「パラレルワールドなのでは?」という説が流れています。

パラレルワールド説を説明する上で重要になる運命の番人「フィーラー」

このパラレルワールド説がファンの間で話題になり、あらゆるブログ記事、Twitter発信、YouTube動画発信が展開されているのです。

ネタバレになるので詳細は割愛しますが、パラレルワールド説が提唱されたことによって「エアリス生存ルート」の可能性が示唆されております。

ファンとしてはこの話だけでご飯100杯はいけますね。

仕掛け-2:謎の商標登録

また、スクウェア・エニックスは、2021年1月、FF7リメイク熱が冷めやらぬ中、謎の商標登録を公表し話題を呼びました。(記事はこちら:ファイナルファンタジーVII」に新たな動きか。神羅カンパニーのロゴや「THE FIRST SOLDIER」などの文言が商標出願

  • 神羅カンパニーのロゴ
  • 「THE FIRST SOLDIER」という文言
  • 「EVER CRISIS」という文言

これを受けてファンの間で

「これは新作のタイトルなのか?それとも関連アイテムなのか?」

「First Soldierってもしかしてセフィロスのこと?え、セフィロスの新作が出るの?」

のような議論が炸裂し、多くの関連UGC(Twitter発信、ブログ記事、YouTube動画)が作られました。

商標登録のそもそもの目的は商標権を獲得し知的財産を保護することですが、そんな中、スクウェア・エニックスはUGC誘発のタネに使ったのです。

ポイント:「誰かと話したくなる」「誰かに教えたくなる」でUGC誘発

以上のように、FF7リメイクでは「誰かと話したくなる」「誰かに教えたくなる」要素を散りばめ、UGCをたくさん誘発させることによって露出度向上による未購入客の認知獲得、ロイヤル顧客の熱量維持に成功させております。

これはハンター×ハンターにおける「誰が一番強いのか?議論」を誘発させ、休載が多い中、なぜかファンの不満を緩和でき、かつ常に新しいファンを獲得している状況に似ていると感じました。

まとめ

前回と今回の記事では、FF7リメイクが大ヒットを収めた要因についてマーケティングの視点から考察してみましたが、いかがでしたでしょうか?

本作の成功はもちろん、圧倒的なコンテンツ力やクオリティを追求するスクウェア・エニックスの企業文化に支えられているものと思いますが、どれだけ作品自体がよくても企業が望む価格帯でユーザーにプレイしてもらえなければ意味がありません。

正直、スクウェア・エニックスが本記事でご紹介した意図通りにマーケ戦略・施策を立案されたのかどうかは分かりませんが、少しでも今後に活かせる気づきがあれば幸いに思います。

以上、駄文・長文にお付き合い頂きありがとうございました。

それでは!