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【書評】ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング【全てのWebマーケター必読】

どうも、Webマーケター兼中小企業診断士のトーマツです。

本日は久しぶりに書評記事です。

取りあげるのは北の達人コーポレーション・木下社長のファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング

木下社長の前著である「売上最小化、利益最大化の法則: 利益率29%経営の秘密」に感銘を受けたので迷わずにポチりましたが、この判断は正解でした。

0から1000億円企業を作った著者の脳内を余すことなく見られるマーケティングの教科書のような名著ですので、ぜひ多くの方に手に取って頂きたいです。

この書評を読んで1ミリでも興味が湧けばぜひポチってみてくださいね!

それではどうぞ!

ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング

ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング
Webマーケティングの成果を最大化する83の方法

著者:木下勝寿

出版日:2022年5月3日 初版発行

出版社:株式会社 実業之日本社

ページ数:316

定価:(本体1800円)

著者プロフィール

1968年神戸生まれ。大学在学中に学生企業を経験し、卒業後は株式会社リクルートで勤務。その後、独立するも、事業に失敗しフリーターに。無一文の中、北海道が日本で最も可能性を秘めた土地であるという判断をし、パソコン1台で乗り込み移住。コネもツテも一切無い状況から1人で起業し、社員数たった70人で東証一部上場を成し遂げ、一代で時価総額1000億円企業に。

どんな内容?

本書では、一流のWebマーケッターを目指すために必要なファンダメンタルズマーケティング」「テクニカルマーケティング」の極意を83つ紹介しております。

「ファンダメンタルズ」「テクニカル」って何?と思われるかもしれませんが、これらは著者が株式投資用語の「ファンダメンタルズ投資」「テクニカル投資」から発案した造語です。

語弊を恐れずに言うと、ファンダメンタルズ領域は「人間感情により沿った右脳的なマーケティング」、テクニカル領域は「データに基づく左脳的なマーケティング」と理解することができると思います。

一流のWebマーケッターになるには?

Webを活用した集客手段がスタンダードである現代において、マーケティング現場では、テクニカルマーケティングを重視した議論が散見されます。

一方著者は、本当の意味での一流のWebマーケッターになるには両方に精通したマーケッターになる必要があると指摘しています。

なぜなら「ファンダメンタルズマーケティング」への理解なしにはデータの枠外にある最善の手は見つからないからです。

例えば、テクニカルマーケティング偏重なマーケッターがA/Bテストを実施したケースを思い浮かべてみてください。

「A, B, CでテストをしたらAが一番良かった」と言う状況において、テクニカル偏重なマーケッターは「A」に対して追加予算を投じることが正解と判断してしまうかもしれません

しかし、世の中はそんなに単純ではなく、本来であれば

なぜAが良かったのか?X, Yという選択肢はないか?

といった視点であらゆる可能性を分析・検討して、ようやく最善に近い手を探ることができます。

このような検討には商品やユーザーへの理解、すなわち「ファンダメンタルズマーケティング」の理解が必要になる、と著者は述べております。

また、そもそも、テクニカルマーケティングはデータが必要なので売れている商品があって初めて成り立つ手法」であり、売れていない商品を売れるようには出来ないのです。

Webマーケティングの全体像

また、著者はWebマーケティングの全体像を下図のように整理しています。

「ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング」 Pg.31の図を基に作成

ここからも分かるとおり、「テクニカルマーケティング」はあくまでも「ファンダメンタルズマーケティングの一部であり、全ての基礎はファンダメンタルズにあると言うことが分かります。

つまり、テクニカルマーケティングを行なって成果が出ない場合は、ファンダメンタルズに立ち返って「情報収集」や「コンセプトワーク」からやり直すべきということです。

このようにテクニカルマーケティングの手法のみでは、自ずとスキル・ノウハウが伸び悩んでしまうタイミングが来ることを指摘しています。

本書の構成

本書は「ファンダメンタルズマーケティング」「テクニカルマーケティング」の重要性を説明した上で、両領域の極意・ノウハウについて説明しております。

ファンダメンタルズマーケティングに自信のない方は第1章のみ読む、テクニカルマーケティングに自信のない方は第2章のみ読む、といった使い方もできる構成になっております。

第0部
ファンダメンタルズマーケティングとテクニカルマーケティングの概要

第1部
ファンダメンタルズマーケティングの極意

  • 第1章:ファンダメンタルズクリエイティブの概要
  • 第2章:事前リサーチ
  • 第3章:「誰に」伝えるのか
  • 第4章:「何を」伝えるのか
  • 第5章:「どう」伝えるのか
  • 第6章:「誰に」「何を」「どう」の先へ
  • 第7章:ファンダメンタルズ運用の本質

第2部
テクニカルマーケティングの極意

  • 第1章:テクニカルクリエイティブー広告をチューニングする
  • 第2章:「利益」のためのKPIの設定と計測
  • 第3章:テクニカル運用の本質

第3部
これからのマーケッターとブランド戦略の行方

  • 第1章:目指すべきWebマーケッター像
  • 第2章:目指すべきブランド像
  • 第3章:テクニカル運用の本質

最後に
なぜこの本を書いたのか?

「明日、仕事に活かせるノウハウ」3選

本書は副題でWebマーケティングの成果を最大化する83の方法と謳われているとおり、数多くのノウハウを紹介しております。

全て紹介していてはキリがないので、私が特に感銘を受けたところを3つ紹介させて頂きます。

①ユーザーニーズの9段階分類(第3章:「誰に」伝えるのか)

マーケティングにおいて「誰に」伝えるのか?を検討することは非常に重要です。

本書では、これを考える具体的な方法として「ユーザーニーズの9段階分類」というツールを紹介しております。

これは、ユーザーが抱えている悩みや痛み(要はニーズ)の強さに応じてコミュニケーションの方法を変えるというものです。

分類を具体的にみてみましょう。

[ユーザーニーズの9段階分類]

  1. 対策の必要性に気づいていない
  2. 対策の必要性に気づいているが「悩みや痛みは一時的なもの」だと思っている
  3. 対策の必要性を自覚しているし、悩みや痛みは一時的ではないと思っているが、何も手を打っていない(探してもない)
  4. 対策を色々検討し始めている
  5. 対策を色々検討してかなり詳しい状態
  6. 対策の手を打ち始めた(何らかの商品を買った)
  7. 既にお気に入りの対策のための商品があり、満足している
  8. お気に入りの商品はあるが、「他にもっと良いものはないか」と思っている
  9. 色々使ったが結局満足するものはなかった

本書では、上記ニーズ分類に応じた適切なコミュニケーションの取り方の具体例まで取り上げております。

この記事での紹介は割愛しますが、大変参考になりますし、明日仕事にすぐ活かせる内容になっておりますので、ぜひチェックしてみてください。

私が担当している案件でも早速取り入れさせて頂きました!

②ペルソナ設定の誤解(第5章:「どう」伝えるのか)

次は「ペルソナ設定」についてです。

広告のターゲットを選定する上で、顧客像をクリアにしていくために「ペルソナ」を設定することも多いと思います。

著者は、多くのマーケッターがこの「ペルソナ設定」の方法を誤っていることを指摘しています。

具体的に本書では、「しわ対策化粧品」の誤ったペルソナ設定の例として下記を挙げています。

Aさん

  • 女性
  • 35歳
  • 既婚
  • 丸の内勤務
  • 埼玉県郊外の一戸建て
  • 夫は38歳
  • 子供は小学2年生の女児1人
  • 3年前からヨガにハマっている
  • 半年ほど前から目尻の小じわが気になり始めている

もしかしたら読者の方は現時点で何の違和感も感じないかもしれませんが、著者はこのような詳細なペルソナ設定では不要にターゲットを狭くしすぎてしまい、反応数が極端に減るリスクがあることを指摘しています。

しわに悩む人は多種多様であり、年齢で言えば30〜80代に共通した悩みです。

また、未婚か既婚か、子供の有無も当然関係ありません。

つまりこのペルソナ設定では、本来共感を得られたであろうユーザーを無用に除外し、ビジネスチャンスを自ら減らしてしまうことになるのです。

ここで著者はペルソナ設定の正しい方法として

「プロダクトのUSPやベネフィットを起点に最大公約数的に設定すべき」

と指摘しています。

この場合は「しわに悩んでいる」を起点に考えるのが正しい方法です。

私自身、細かくペルソナを設定する方法に違和感を覚えていたので、本書のアドバイスは腑に落ちました。

③伝わりやすい文章構成(第5章:「どう」伝えるのか)

最後は、LPやメルマガを考える際に活用できるライティングテクニックです。

著者は、セールスライティングを上達させるには文章の型を身につける必要があると言っております。

本書では一例として経営コンサルタント・竹内謙礼先生から伝授してもらったという「型」を紹介しています。

  1. 結論
  2. 否定(会話文)
  3. 肯定
  4. 自分の意見
  5. 煽り

実際にセールスマンの立場で、この「型」を使って私が支援している「巣鴨餃子」さんの水餃子をPRしてみました。

①結論
「新商品のお知らせです!従来の水餃子にエビをミックスしたエビ水餃子を作りました!」

②否定
「え?でもエビと言っても風味付けのために申し訳ない程度にサクラエビを加えたものじゃないの?流石に価格が高くなりすぎない?」

③肯定
「そう思われるかもしれませんが、実は国産のボタンエビを使ってるんです。しかも価格帯も維持しております!」

④自分の意見
「うちの水餃子の売りであるモチモチの皮と国産ボタンエビのプリプリ具合が相まって、すり身が使われている市販のエビ餃子とは比べ物にならないやみつき食感に仕上がっています。しかも噛めば噛むほどエビの旨味が際立ち、お箸が止まりません_

⑤煽り
今回は〇〇日までのキャンペーンとして1袋お買い上げの方にもう1袋をサービス!限定20セットの初回販売となるので注文はお早めに!

こんな感じで、短時間で作ったにしてはなかなか良い文章が出来上がりましたね笑

本書では、上記の例以外にも伝わる文章を作るためのテクニックも数多く取り扱っておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

本書を読んで感じたこと

私自身、本書を読んでよかったと感じた点は「ファンダメンタルズマーケティング」への理解を深めるモチベーションを得たことです。

これまで2年間、中小企業診断士として企業様のSEO支援やWeb広告運用支援を行ってきましたが、先方から「テクニカルマーケティング」寄りの支援を求められることが多かったため、自ずと自分自身も「テクニカル」偏重傾向になってきた実感がありました。

しかし本書を読んだことで、このままではマーケッターとして片手落ちになることが分かりました。

今後は「ファンダメンタルズマーケティング」の力を高めていくための勉強や実践を重ねていきたいと考えています!

まとめ

以上、本記事ではファンダメンタルズ×テクニカル マーケティングの書評をさせて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?

もし本記事の内容でご質問ある方は是非コメント欄に書き込んで頂けると幸いです。

お答えできる範囲で答えさせて頂きます。

それではまた!

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