業界研究

【業界研究】社員が徹底解説!プラントエンジニアリング業界とは?【就活】

どうも、Tomatsuです

エンジニアリング会社勤務の30代会社員です。

プラントエンジニアリングには興味あるんだけど、イマイチ何をやっているのかが分からない。

このようなお悩みはありませんでしょうか?

本記事ではそのような方々向けに、

プラントエンジニアリング業界とは?

について解説します。

本記事を読めば明日から友達にプラントについて語れます。

就活の学生向けに書いておりますが、一般の方にも楽しんで頂ければ幸いです。

社員が徹底解説!プラントエンジニアリング業界とは?

成長志向の学生におすすめ

プラント業界といえば「グローバル」「大規模」「ダイナミック」の三拍子が揃っている非常に魅力的な業界です。

ほぼ確実に海外で活躍できますし、若くして大きな仕事が任せてもらえ、爆速で成長できます(私のような雑魚社員にもがんがんチャンスを与えてくれます)。

特に、グローバルに活躍したい成長志向の学生には大変オススメな業界です。

ベールに包まれた業界

しかし、四季報の業界地図でも小さくしか取り上げられないですし、ネットを見ても実際に働いている人の記事が少ないなど、知る人のみぞ知る業界になってしまっています。

非常に勿体ないです。

異業種交流会に参加すると大変珍しがられ、はぐれメタル的な扱いを受けることも多く、ベールに包まれている業界と言えるでしょう。

私も就活生の時、情報を集めるのに非常に苦労しました。

本記事ではなるべく就活生に役立つ情報を発信したいと思っています。

個人的な意見も含まれておりますので予めご了承ください

エンジニアリング業界って何?

エンジニアリング会社は平たく言うと、工場(プラント)と呼ばれるものであれば何でも造る会社です。

分野としては下記が挙げられます。

  • 石油精製プラント(製油所)
  • ガス処理プラント
  • LNG(液化天然ガス)プラント
  • 石油化学プラント(エチレン、ポリマー、肥料)
  • 医薬プラント
  • 発電プラント(火力、Waste-to-Power、など)
  • 浄水プラント

世界中に安定的なエネルギーや社会基盤を届けることに貢献しているという意味で、社会的意義が非常に高い業界となります。

どんな会社がある?

日本では、日揮、千代田化工建設、東洋エンジニアリングが「エンジ御三家」と言われ、エネルギー系(製油所、LNG)はほとんどこの三社で独占されています。

専業以外ですとJFEエンジニアリング、新日鉄住金エンジニアリング、荏原製作所、水ing、東レエンジニアリングなどが挙げられます。

私は専業三社のいずれかに勤めていますので、以降の情報は少し偏りますが悪しからず。。。

顧客は?

エンジニアリング会社の顧客はどういった所なのでしょうか?

海外では、スーパーメジャー(国際石油資本)と言われるShell, Exxon Mobil, Chevronや、国際石油会社のSaudi Aramco, PETRONAS等、そうそうたる企業を主要顧客としています。

各国のドエリートが顧客となりますので、打ち合わせ時は大変緊張します。

カラーシャツはワキ汗が目立つのでご法度です

日本では最近合併されたJXTGや出光昭和シェルなどの石油元売会社、INPEXや JAPEX などの資源会社、三菱商事や三井物産などの商社が顧客となります。

顧客との関係

最強レベルのエンジニアになると顧客と対等に渡り合え、プロジェクトの対等なパートナーとして認識されるようになります。

しかし、私のように未熟ですと日々フルボッコにされますので、並みならぬ忍耐力が必要とされます(打たれ強さはレベル99くらいまで成長しました)。

プラント業界は受注産業

エンジニアリング業界は受注産業

エンジニアリング業界は基本的に受注産業です。

プラントの保有者・事業会社となる顧客から「プラント建設案件」の発注を受け、その案件(プロジェクト)を遂行することではじめて売上を計上できます。

案件がなければ食べることすらままならないので、営業部隊は日々、死に物狂いで案件開拓をしなければなりません。

受注活動

プラントは大きいもので一兆円を超えます顧客の投資判断も一朝一夕ではいきません。

営業のノウハウ本には、「顧客から気に入られることが大事」等と良く書かれていますが、そんなのが通用しない世界です。

営業・技術部隊が一丸となってコスト削減・納期短縮アイデアをひねり出し、説得力のある提案書(プロポーザル)をまとめ、さらに魅力的なプレゼンを実施し、初めて受注に繋がります

建設段階のダイナミックな仕事に憧れて応募してくれる学生も多いのですが、上記の受注過程にも様々なドラマがあり、この仕事を面白くしています

個人的には、エンジ会社のドラマを作れば意外とヒットするんでは?と思っています。

Engineering, Procurement, Construction (EPC事業)

ここからが本番です。

受注後はプラント建設プロジェクトを遂行していくことになりますが、この事業のことをEPC事業と呼びます。

EPCは、Engineering(設計), Procurement(調達), Construction(建設)の頭文字をとったもので、仕事の進め方を表しています。

それぞれのフェーズを品質・納期要求を遵守しながら予算通りに遂行することでエンジニアリング会社ははじめて利益をあげることができます。

一つずつ見ていきましょう。

Engineering (設計)

設計フェーズでは、顧客要求(生産量は?製品品質は?安全要求は?など)に応じて、様々な専門性を持ったエンジニア達がプラントの全容を二次元や三次元の設計図書に落とし込みます

この段階ではプロセス・機器・配管・電気・計装・回転機・土木・HSEなど、様々なエンジニアが参画し、あーでもない、こーでもないと議論を重ねながら設計を進めていきます。

どれか一つの分野の意見が強すぎてはだめです。バランスよく各専門部の意見をまとめ、全体最適を追求することになります。

ドラクエでも勇者、戦士、戦士、戦士といった物理攻撃に特化したアンバランスなパーティは組みませんよね。

バランスよく勇者、戦士、僧侶、魔法使いでいきたい所です。

話が逸れましたが、全体最適が大事ということですね。

ちなみに、各部門のトップエンジニアはリードエンジニアと呼ばれ、そのプロジェクトにおける全責任を負います。

専門性によってはリードエンジニアになるために10年以上の修行が必要となります。

また、リードエンジニアの中でもスーパーカリスマ的なエンジニアにはチーフエンジニアという称号が与えられ、社内のその専門領域における技術の象徴となります。

エンジニアリング会社では、本部長や部門長などのマネジメント職を目指す以外に、技術を追求するキャリアパスもあるということですね。

Procurement (調達)

調達フェーズの仕事は大きく分けて2つあります。

  • 設計段階で完成させた設計図書に応じて世界各国のベンダーに機器(リアクター、蒸留塔、熱交換器、コンプレッサ、バルブなど)や配管製作を発注する
  • 製作完了後、建設現場に輸送する

機器発注段階では、ベンダーとの熾烈な価格交渉が行われます。

ここでしくじると軽く予算オーバーしてしまいますので、鬼のような交渉力が求められます。

また、触媒などの価格変動がとにかく激しい貴金属を使う材料発注のタイミングについては、FXトレーダーばりの研ぎ澄まされた感覚が必要とされます。

輸送段階も非常に興味深いです。

近年エンジニアリング業界ではモジュール工法といって、世界各国でプラントの小さいブロック(モジュール)を作ってから、それを大きな船で輸送し、レゴのように組み合わせることで大きなプラントを建設する、という手法が流行っています。

小さいブロックといっても200 m × 50 m のブロックのサイズです。世界広しといえど、このサイズを運べる船はごく僅かしかありません。

船の手配タイミングをしくじるとプロジェクトの納期に大きく影響を与えます。

更に、一日借りるだけで数千万円のお金が飛びますので綿密なスケジュール調整力が求められます。

調達部員がフィーチャーされることは少ないのですが、EPCの最もお金に効いてくる部分を担っている大事な業務を遂行していると言えます。

Construction (建設)

いよいよ大詰めです。

建設フェーズでは、調達フェーズで送られてきた機器や配管を爆速で組み立てていき、プラント建設の完工を目指します

エンジニアリング会社の社員が作業員となるのではなく、サブコントラクター(サブコン)と呼ばれる建設会社をマネージし、建設フェーズを進捗させていきます。

サブコンもピンキリで、中東の雄・CCC社のように丸投げしても全て上手くいくような所もあれば、つきっきりで細かい作業指示をしなければ全く進捗が稼げない所もあります。

近年の傾向としては、コストカットのために安かろう悪かろうのサブコンと契約することが多いので、エンジニアリング会社の建設部員はマネージメント能力が求められます。

現場では、新入社員でも一気に数十人という部下を持つことになります。

ちなみに、一つの現場での作業員数は大きなプロジェクトですと、ピーク時に1万を超えることもあります。

毎朝 Tool box meeting と呼ばれる朝礼に全作業員が集結されるのですが、その光景は圧巻の一言です。

プロジェクトマネージャー(Project Manager)建設マネージャー(Construction Manager)が1万人を超える作業員にゲキを飛ばすのですが、その姿は戦国時代の大将を想起させます。

多くの学生はこの姿に憧れてエンジニアリング会社を志望するのではないでしょうか。

また、プラントが出来上がった暁には大の大人でも涙します。

この涙が、プラント建設プロジェクトの過酷さとやりがいを物語っていると言えるのではないでしょうか。

次回はプロジェクトマネージャーについて

ちょっと長くなってしまいました。

次回は、エンジニアリング会社の花形であるプロジェクトマネージャーの仕事内容について取り上げます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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