どうも、WEBマーケター兼中小企業診断士のTomatsuです。
コロナ禍において、デジタルマーケティングの重要性が高まっております。
「中小企業のWEBマーケティングはなぜ上手くいかない?【課題と解決策】」でも解説させて頂いた通り、多くの中小企業はデジタルマーケティングの重要性を重々承知しているものの、下記の悩みを抱えておられます。
- どこから手を付ければ良いのか分からない
- 散発的な施策でなかなか効果が出ない
上記の悩みは、デジタルマーケティングツールの理解の欠如もそうなのですが、それ以前に「マーケティング戦略が練られていないこと」に起因します。
戦略なき状態でツールにいくら投資したとて効果は見込めません。
このような状況を少しでも解消することを目的に、本記事では、「デジタルマーケティング戦略を検討する上で有効なフレームワーク8選」を解説します。
巷には「フレームワークなんていらんでしょ勢力」が多数おられますが、これはフレームワークがなくても効果的な戦略を立案できる天上人の考え方です。
わたしを含む凡庸な人間は、ゼロからアイデアを生み出すことは難しいため、情報を構造化してようやく効果的なアイデアが出てくるわけです。
という訳で、天上人ではない方々は是非本記事のフレームワークを勉強し、今後の戦略立案にお役立てください。
- マーケティング戦略の立て方を学びたい方
- マーケティングフレームワークを学びたい方
- 従業員30人未満の中小企業の経営者・WEB担当者
- WEBマーケティングを学びたい中小企業診断士
マーケティング戦略の検討方法
いきなりフレームワークを紹介!と行きたいのですが、その前に、まずは「マーケティング戦略の立て方」について説明します。
そもそも、マーケティング戦略を立てる目的はなんでしょう?
それは「限られたリソースで最大限の成果(利益)を挙げるため」です。
戦略策定の目的は、環境分析や自社のあるべき姿を基に「注力分野とリソース投下量を定義すること」にあります。
それを定義づける上で重要となるツールが「フレームワーク」ということなのです。
KGI・KSF・KPI
まず知っておきたいのが「KGI・KSF・KPI」の考え方です。
- KGI(重要目標達成指標)
- KSF(重要成功要因)
- KPI(重要業績評価指標)
USJを立て直された伝説のマーケターである森岡氏は、マーケティングの流れは「目的⇒目標⇒戦略⇒戦術」の順で考えるべきだと仰っております。
この「目的⇒目標」の部分に当たるのが「KGI」と「KPI」です。
「KGI」の立て方に正解はありませんが、例えば「会社のあるべき姿から逆算された売上目標」であったり、赤字企業であれば「会社を立て直すために必要とされる売上・利益目標」などの「経営レベルの測定可能な定量指標」が該当します。
一方、KPIはKGIと同じく測定可能な定量指標ですが、プロセス進捗状況を把握するための「より短期的かつブレークダウンされた指標」です。
KSF(Key Success Factor)とは?
ではKSFとはなんでしょう?
KSFとは、KGIを達成するために必要となる「成功要因」であり、例えばコンビニ店であれば「品ぞろえの数」であったり、自動販売機では「設置台数」などが挙げられます。
KSFの設定には各企業のビジネスの理解が重要となり、そのために各種フレームワークを使うという位置づけになります。
KPIは、KGIを単純に因数分解したものではなく、KSFを達成するための定量指標として立てるべきです。
マーケティング戦略の立て方
上記をまとめると下記の通りとなります。
マーケティングフレームワークは「KSFを立てるためのツール」とも言いかえられますね。
本記事のタイトルは「デジタルマーケティングフレームワーク」と銘打っておりますが、やはりデジタルという言葉が付こうとも、事業の成功にはビジネスの理解(成功要因の理解)が不可欠です。
前置きが長くなりましたが、以降はKSFを立てる上で重要となるフレームワークについて紹介いたします。
マーケティングフレームワーク
マーケティングフレームワークは大きく分けて下記の5種に分けられます。
- 環境分析
- 市場機会の発見
- ポジショニング
- ユーザー分析
- マーケット展開
この中で重要とされる8つのフレームワークについて一つずつ紹介します。
1.環境分析
PEST分析
PEST分析とは「Politics(政治)・Economy(経済)・Society(社会)・Technology(技術)」の観点から事業経営に関わる外部環境を整理するためのフレームワークです。
PEST分析はミクロな視点(リード数とかCPAとか)に陥りがちな経営者・WEB担当者を「あえてマクロ視点に思考を広げさせるため」のツールですので、「とにかく思いっ切り大きく考えること」が重要です。
ただし、見境なく情報を集め出すとキリがありませんので、自社事業に関係ない外部環境については除外すると良いでしょう。
5フォース分析
5フォース分析とは、同一市場における「競合・買い手・売り手・新規参入・代替品」の観点から、それぞれの力が自社事業にどのように作用するかを整理するためのフレームワークです。
それぞれのプレイヤーに対して自社が競争優位を発揮するためにどのような活動を行うべきかが洗い出されます。
5フォース分析は経営戦略論の世界的権威であるマイケル・ポーター教授(ハーバード・ビジネス・スクール)が発案された有名なフレームワークです。
3C分析
3C分析は「市場(顧客)・競合・自社」の観点から、事業構造を分析するフレームワークです。
分析する順番は「市場(顧客)⇒競合⇒自社」で行うのが正解であり、どれだけ顧客目線になれるかがポイントです。
顧客が欲しがっていて、かつ競合が提供できない、自社のみが提供できるサービス領域(Unique Selling Point)を見つけ出すことがゴールとなります。
以下に各項目を整理する観点を紹介します。
[顧客]
- デモグラフィック情報(人口統計学的変数)
- ジオグラフィック情報(地理的変数)
- サイコグラフィック情報(心理学的変数)
[競合]
- 直接競合か間接競合か?
- 競合の強み・弱み
- 競合のサービス内容
[自社]
- 自社サービスの強み・弱み
- 自社サービスの内容
- 自社サービスの独自性
2.市場機会の発見
SWOT/クロスSWOT
SWOT分析とは自社の「強み・弱み・機会・脅威」の観点から自社環境を整理するフレームワークです。
情報収集に時間をかけてもしょうがないので、対象事業や目標、ターゲットを絞って自社に関係のあるもののみを抽出することがポイントです。
クロスSWOTに展開することで、下記4つの観点から情報を整理することも可能です。
- 積極化要素(強み×機会)
自社の強みを機会に活かし成長 - 差別化要素(強み×脅威)
自社の強みを活かし、脅威を避ける - 段階的要素(弱み×機会)
弱みを段階的に補強し機会に活かす - 撤退要素(弱み×脅威)
弱みと脅威を理解し撤退も視野に影響を最小化する
3.ポジショニング
STP分析
STP分析は「セグメンテーション(市場細分化)・ターゲティング(市場選定)・ポジショニング(自社立ち位置)」の観点から、自社のマーケティング戦略を整理するためのフレームワークです。
どんな市場(ニーズ)にどんな顧客がいるのか?、誰に価値を届けるのか?、どうやって選んでもらうか?を考えることで自社のポジショニングを明確にすることが目的です。
ユーザー目線でユーザー行動を客観的に把握し、それに応じた事業展開を行う事を意識しながら情報を整理することがポイントです。
4.ユーザー分析
ペルソナ分析
ペルソナ分析はSTP分析で想定したターゲット(理想のユーザー像)の情報を整理するためのフレームワークです。
ペルソナを明確にしておくことで、サービス訴求の手段(コピーライティング・価格帯・タッチポイント)をイメージしやすくなります。
ペルソナの設定手段に正解はありませんが、自社ビジネスにとって重要な要素でユーザー像が明確化されるまで細かく設定してみて下さい。
事業やサービスによっては複数のペルソナを想定することも検討しましょう。
カスタマージャーニーマップ
出典:DNP エモーショナル カスタマージャーニーマップ(エモーショナル CJM)
カスタマージャーニーマップは顧客がサービスを購買するに至るまでの行動を旅に見立て、模式図に落とし込むためのフレームワークです。
ユーザーの感情、接点、ペインポイントを整理することで、自社サービスの改善点の抽出に役立てることができます。
5.マーケット展開
4P/4C分析
4P分析は「製品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・販促(Promotion)」の観点から、自社マーケティングを整理するためのフレームワークです。
一方、4Cとは「ユーザーが得る価値(Customer Value)・ユーザーコスト(Cost to the Customer)・ユーザー便益(Convenience)・ユーザーとのコミュニケーション(Communication)」の観点で分析する手法です。
4Pは自社視点、4Cはユーザー視点のフレームワークですが、いずれも一長一短あるため、両方の視点で自社のマーケティング環境を整理することがおすすめです。
まとめ
以上、本記事では「使えるデジタルマーケティングフレームワーク」8選について解説させて頂きました。
本当はもっともっと細かいノウハウを紹介したかったのですが、長くなり過ぎましたので今回は以上となります。
もし本記事の内容でご質問ある方は是非コメント欄に書き込んで頂けると幸いです。
お答えできる範囲で答えさせて頂きます。
それではまた!