中小企業診断士について

目指すなら知っておきたい中小企業診断士の歴史【興味深い】

どうも、Tomatsuです。

中小企業診断士の
受験生

中小企業診断士制度ってどんな歴史があるんでしょうか?

せっかく目指すのであれば歴史や変遷は知っておきたいと思います。

ニッチな疑問ですね~。

私は診断士の歴史を知らずして勉強を始めたクチで、予備校の先生が「公務員が高度化事業の計画策定から実行支援まで指導する立場として広まったのがきっかけ。。。」みたいな話をされていても「ふ~ん」としか思わなかった記憶があります。

ただ、2020年10月、サントリーホールディングス代表の新浪氏が内閣経済諮問会議で「現行の中小企業診断士制度に対する問題提起を行った」ことがきっかけで、制度自体が見直される可能性が高く、歴史を勉強するなら今しかないと思い立ち、調査することにしました。

すぐに役に立つ知識ではないかもしれませんが、トリビア的に楽しんで頂ければ幸いです。

では、どうぞ!

目指すなら知っておきたい中小企業診断士の歴史

中小企業診断士と関り深いイベントを年表にまとめました。

中小企業診断士の前身は中小企業診断員っていうんですね~~。

今もあまりキャッチ―な名前ではありませんが、「診断員」はもっと地味な印象を受けます。。。(あくまでも私見です)

この年表を見ていると中小企業政策の目的・手段が時代の流れと共に変化していっているのが感じ取れます。

こういう歴史を調べるのって最初は面倒なんですが、調べ始めるとホント面白いですよね~。

1948年:中小企業庁が設立される

我らが中小企業庁は1948年に通産省の外局として設立されました。

実態はほとんど変わらないかと思いますが、2001年の中央省庁再編により今では経産省の外局です。

多くの診断士や中小企業・小規模事業者がお世話になっている中小企業基盤整備機構を主管していますね。

設立当時の政策の3本柱は「金融」「診断・指導」「組織化」ということで、健全な中小企業の育成を通じて経済力の集中の防止を狙っていたことが見て取れます。

1952年:中小企業診断員登録制度が制定される

中小企業診断士の前身である「中小企業診断員」は1952年に誕生しました。

今から70年も前の話なんですね~。

当時は公務員の資格という位置づけであり主に「中小企業政策診断指導の補助員」として機能していたようです。

しかも当時は経理・会計の講義を受けるだけで無試験で合格できたらしいです。う、羨ましい。。

1953年:中小企業指導法が制定される

1953年には中小企業支援の根拠法として中小企業指導法が制定されました。

「指導」っていう言葉がインパクト大ですよね。

中小企業経営・政策を学んだ方であれば分かると思うのですが、現代の中小企業支援の根本にあるのは中小企業の自主的な努力を重んじております。

一方、「指導」という言葉が表す通り、当時は「官」によるトップダウンが前提となっていたようです。

1964年:試験制度が導入される

中小企業診断員制度が始まって10年、東京オリンピックイヤーである1964年に試験制度が導入されたようです。

当時は今のような科目構成ではなく、下記の通り構成されておりました。

[共通科目]

  • 経営基本管理
  • 財務管理
  • 労務管理
  • 販売管理

[専門部門]

  • 商業部門
    (仕入管理・店舗施設管理・商品知識など)
  • 鉱工業部門
    (生産管理・資材購買管理・鉱工業技術知識など)

全員共通科目は受ける必要があったそうですが、専門部門としては「商業」か「鉱工業」のいずれかを選ぶことが出来たようです。

大きな資本力を必要とする「鉱業」が中小企業診断士を創出する試験に名を連ねていたり、「情報」や「サービス」といった要素が出てこないのが気になりましたが、これも時代なんでしょうね。

1969年:「中小企業診断員」から「中小企業診断士」に改称

1969年にようやく現在の中小企業診断士」という名前に改称されました。

「診断士」という名前が好評されることは少ないですが、「診断員」よりはカッコイイですねw

1986年:「商業部門」と「鉱工業部門」に加えて「情報部門」が追加される

時は進み1986年には、試験科目の専門部門として情報部門」が追加されました。

「1986年の情報技術ってどんなんだろう?」と若輩者の私はイメージできなかったので調べたところ、その年は正に現代のIT革命を生み出したインターネット技術の標準化を策定する「インターネット技術特別調査委員会(Internet Engineering Task Force)」が設立された年のようです。

また、その2年前である1984年は記念すべき初代Macintoshが売り出された時期でもあります。

初代Macintosh(Wikipediaより)

果たしてどの程度の中小企業・小規模事業者が情報技術にアクセスできていたかは分かりませんが、かなり早い段階で情報科目を取り込んでいた試験運営の方々は先見の明があったのではないでしょうか。

2000年:「中小企業指導法」が「中小企業支援法」に大幅改正

時はさらに進み2000年には中小企業指導法」が「中小企業支援法」に大幅改正されました。

はしょってしまいましたが実はそれに先立ち1999年には「中小企業基本法」も大幅に改正されております。

これらの改正を受け、中小企業政策のメインプレイヤーが「官」から「民」へと移ったといえるでしょう。

中小企業政策の雰囲気も「官による指導」というトップダウンのトーンというというよりは「民間コンサルタント」による支援型の形へと変貌していきました。

診断士試験の形も現在の形態に改編されました。

2000年以前と以降の試験制度を「旧制度」や「新制度」と区別することもあります。

2016年:日経新聞に「ビジネスパーソン人気No.1資格」に選出される

2016年に中小企業診断士は、日経新聞によってビジネスパーソン人気No.1資格に選出されました。

自己啓発の手段としてはもちろん、経営コンサルタントの資格の中で唯一の国家資格というブランドイメージが人気の火付けとなったようです。

中小企業診断士の今後

では中小企業診断士の今後はどうなるのでしょうか?

予見する上でヒントになるのが2020年12月1日に首相官邸で開催された「成長戦略会議」です。

成長戦略会議

議事録」を見ると「ウィズコロナ・ポストコロナの世界における国内事業の再構築」や「2050年カーボンニュートラルに向けた戦略」など非常に重たい内容が満載なのが分かりますが、第7章の「足腰の強い中小企業の構築」という部分に、下記の記載があります。

6.中小企業診断士制度の在り方

中堅・中小企業の経営を担うことのできる人材の裾野を広げていくため、中小企業診断士制度の在り方やその活用促進について、検討を深め、年度末までに結論を得る。

令和2年12月1日 成長戦略会議 実行計画(案)より

これは、10月の経済諮問会議での新浪氏の意見を受けての内容でしょう(下記参照)。

中小企業診断士について、非常に意味のある資格だと思うが、提出資料に添付している通り、1次試験では7科目全てに合格しないと試験に通過できないなど、大変難易度が高いものとなっている。中堅・中小企業の経営を担うことのできる人材の裾野を広げていくためにも、例えば、中小企業診断士の科目にデジタル入れるとともに、全ての科目を合格しなくとも、税理士のように一つ一つの科目で合格しても何らかの位置付けを付与することを考えてみてはどうか。

令和2年10月6日 経済諮問会議 新浪氏より

文面だけで判断すると中小企業診断士の数が足りていないから難易度を下げて供給力を向上させるべし。あとデジタル要素が足らんから加えろ。ということでしょうか。

上記を受けての個人の見解は割愛させて頂きますが、年度内には何かしらの結論が出てくるということで今後大きな動きが出てきそうですね。

まとめ

以上、本記事では「中小企業診断士の歴史」について解説させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?

もし本記事の内容でご質問ある方は是非コメント欄に書き込んで頂けると幸いです。

お答えできる範囲で答えさせて頂きます。

それではまた!

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