どうも、Webマーケター兼中小企業診断士のトーマツです。
「海外において中小企業診断士は評価されるのか?」
「中小企業診断士になったら海外ビジネスで活躍できるのか?」
このような疑問をお持ちでないでしょうか?
私自身、長年海外事業に携わっておりますので、受験生時代「診断士資格がどのように海外事業に活かせるのか?」が常に気になっておりました。
そこで本記事では「海外において診断士資格が評価されるのか?診断士を取ると海外ビジネスで活躍できるようになるのか?」について、考察を述べたいと思います。
英語が得意、海外志向が強い診断士受験生の方々はぜひ参考にしてみて下さい!
- 海外志向の強い診断士受験生の方々
- 外国語の得意な診断士受験生の方々
[トーマツ(筆者)について]
- 海外の新規事業開発プロマネなど、海外エネルギー事業に8年従事
(マレーシア、インドネシア、オランダ、アメリカ、カナダ、ロシア、フランス、など) - 海外在住歴12年(フランス、アメリカ、マレーシア)
- TOEIC 990(2014年)
- 中小企業診断士(2020年登録)
海外で中小企業診断士は評価される?
中小企業診断士「資格」自体は評価されない
結論から申し上げると、中小企業診断士「資格」は海外で評価されません。
もちろん海外企業への転職においても役に立ちません。
理由は単純で、誰も中小企業診断士資格を知らないから。
日本国内でも知名度が低いので、この辺りは仕方ないと割り切るしかありませんね泣
この圧倒的な知名度の低さは診断士になってからも嫌というほど実感しました。
なので私自身、企業内診断士として海外の事業開発に携わっておりますが、パートナー企業や取引先に対して一度も「中小企業診断士資格を持っていること」を伝えたことがありません。
海外の場合、MBAの方が圧倒的に有利
一方、「MBAは海外ビジネスにおいても評価されます」。
理由は、MBAの取得こそ海外企業(特に大手)では、要職に就くための登竜門とされる文化があるからです(海外企業と一括りにするのは乱暴ですが、おおむね間違っていないと思います)。
私自身、海外のパートナー企業と議論していて実感しておりますが、先方の意思決定者のほとんどがMBA上がりで、彼ら・彼女らは必ず経営や事業運営に対する一般素養を持っています。
そういう方々との議論は、行間を埋める作業が要らないため、非常にスムーズでやり取りしていて気持ち良いです。
少し話が逸れましたが、もし、海外において資格・学歴「のみ」で一定の評価を受けたいのであればMBAを取得することをおすすめします。
無論、一括りでMBAと言ってもどのビジネススクールに入学するかによって評価は異なります。
トップ企業へのグローバル採用による転職を目指すのであれば、有名なビジネススクールに通っていた方が有利になりますし、単純に「MBAを持っているよ〜」と会話のネタにしたいレベルであれば、国内のビジネススクールでも良いでしょう。
まあ、一番大事なのは「ご自身が成長できるか否か?」なので予算と相談しながら最も良いスクールを検討ください。
海外で中小企業診断士は活躍できる?
では中小企業診断士は海外ビジネスで活躍できないのでしょうか?
答えは「そんなことはなく、経営知識を持った診断士が活躍できる可能性は高い」です。
理由は「海外ビジネスに携わる日本人には事業を俯瞰してみる能力が求められているから」です。
日本人を海外事業に投入する意味
海外事業とひとことで言っても、日用品・電子製品の製造販売から海外資源開発・建設業、金融保険業、IT、不動産業、教育、コンサルティング、その他サービスなど、あらゆる事業区分が考えられます。
日本人としてこれらに携わる場合、事業区分によらず「現地の人材では提供できない価値」が求められます。
なぜなら「提供価値がなければ」わざわざ外国人である(しかもまだまだ相対的に高級とされる)日本人を採用するインセンティブがないからです。
これは言い換えると「日本人」に対しては「長年の経験や専門性に基づく知識・ノウハウ」または「経営やマネジメントに関する知識・ノウハウ」が求められていることを意味し、後者については中小企業診断士を取得することでカバーできると考えられます。
筆者も海外事業のPMを担当する中で中小企業診断士で学んだ経営知識が、パートナー企業との事業運営や組織のマネジメント上大変役に立っていると実感します(もちろん、資格知識をそのまま使えるということではありませんが、、、)。
中小企業診断士を海外で活かせるパターン
では、中小企業診断士は海外事業でどのように活かせるのでしょうか?
2つの典型的なパターンを見ていきましょう。
- 海外展開支援に携わるパターン
- 海外取引先との商談支援に携わるパターン
- 企業内診断士として海外駐在員になるパターン
①海外展開支援に携わるパターン
日本国内には、海外では手に入らないような商材が数多く存在します。
こうした有益な商材が海外市場にハマるのか?どのように展開していけばうまくいくのか?を検討したいけど、具体的にどうすれば良いのかが分からず悩んでいる中小企業経営者は多いです。
国際派の中小企業診断士は上記で悩んでいる経営者の最も適切な相談相手でしょう。
日本国内には企業の海外展開を支援する体制として、中小機構やJETROなどが運営する相談窓口があり、海外進出アドバイザーとして相談対応している診断士も多いです。
グローバル展開型のものづくり補助金やJAPANブランド育成支援等事業等の補助金制度を活用して企業の海外進出支援に携わることも可能です。
②海外取引先との商談支援に携わるパターン
海外事業は何も日本国外のみで実施されるものではありません。
海外からの原材料や技術ライセンスの輸入や、コロナ禍で下火ではあるもののインバウンド対応など、海外取引先との商談支援の需要は多いです。
国際派診断士として、支援先の海外取引先との折衝を支援するのも立派な支援業務に含まれるでしょう。
筆者も観光業を営んでいる支援先の海外仕入れ業務の支援を実施したことがありますが、英語ネゴシエーションスキル+診断士はとても相性が良いと実感しました。
③企業内診断士として海外駐在するパターン
企業内診断士として、海外事業に携わり、国外現地事務所に駐在するパターンも王道です。
駐在員は現地事務所のマネジメントとしての活躍が求められ、コア業務のみならず財務・人事・法務などあらゆる機能を求められるケースが多いです。
このような多様なスキルが求められる中、関連業務の基本知識を勉強しながら業務に携わるのではスピード感が失われかねません。
一方、診断士を取得しておけば、上記で悩むこともなくなり活躍することが可能です。
商習慣や文化が異なるため、診断士で学んだことが「そのまま」海外事業に活きることは少ないかもしれません。
一方、診断士は経営に関わるベース知識があり、大抵のコンセプトにアジャスト(適応)することが可能ですので、活躍できる可能性は高くなるでしょう。
診断士の勉強が役に立った事例(筆者の場合)
最後に筆者が海外事業を行う上で「診断士を勉強して良かった〜」と実感した事例を紹介します。
私は現在、エネルギー系プラント会社の新規事業部門に従事しておりますが、診断士を取得する以前はプラントの基本設計を担当するエンジニアでした。
当時からお客とのネゴシエーションや企業間折衝が得意だったため、ある日、上長から呼び出され新規事業開発のための海外スタートアップ探索を任されました。
運良く、当社の事業ともシナジーが発揮できるオランダのスタートアップと業務提携を見据えた議論が開始できたのですが、オランダの経営者の多くは「経営の基礎素養」を持っており、経営戦略・財務・法務知識を兼ね備えてないと先方の会話についていけないことに気づきました。
その後、あまりにも議論がズタボロで先方から「事業の話ができるやつを持ってこい」と言われるに至り、筆者はこの挫折経験が診断士を志すきっかけとなりました。
診断士取得後は、上記のオランダ人経営者ともうまくコミュニケーションが取れるようになり、業務提携も上手くまとまり、これが現在では当社の強みとしてあらゆる事業に生かされております。
オランダをはじめ、米国・イギリス・ドイツなどの中小企業経営者も同様に「経営知識」を一般教養として持っていることが多いため、これらの国々と関わりがある方は診断士の取得を目指してみても良いと思います。
まとめ
以上、本記事では「海外で中小企業診断士は評価される?活躍できる?」について解説させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
もし本記事の内容でご質問ある方は是非コメント欄に書き込んで頂けると幸いです。
お答えできる範囲で答えさせて頂きます。
それではまた!