中小企業診断士について

なぜ大企業診断士じゃないのか?【中小企業診断士の考察】

どうも、中小企業診断士のトーマツです。

いまビジネスパーソンに最も注目されている人気資格ランキングNo.1の「中小企業診断士」

受験生の方々は猛勉強されているなか、ふとしたときになぜ「中小企業」診断士なのか?が気になったことはありませんか?

私はとても気になっておりました。

そもそも私や多くの診断士仲間も大企業と取引させて頂いておりますし、中小企業診断士の多くは大企業出身。

「中小企業」診断士があるのであれば「大企業」診断士があっても良さそうな気も。。。?

という訳で、今回は中小企業診断士の名前の謎、特になぜ大企業診断士じゃないのか?という点について調査しました。

正直あまり役に立つ知識ではありませんが、トリビア的に楽しんで頂ければ幸いです。

それではどうぞ!

なぜ大企業診断士じゃないのか?

答えはとても簡単です。

中小企業診断士資格が中小企業支援法という法的根拠に基づくものであるからです。

中小企業診断士の変遷から見る

目指すなら知っておきたい中小企業診断士の歴史」でも解説させて頂きましたが、中小企業診断士資格は昭和23年(1948年)に中小企業丁が設立され、その4年後の昭和27年(1952年)に「中小企業診断員登録制度」が創設されたことがキッカケで生まれました。

当時は戦後復旧時でもあり、多くの方々が明日の糧を得る手段として起業を選ぶなか、経営的知識の欠如から廃業・倒産となるケースが相次いでいる状況でした。

そのような状況を是正するために、通産省によって中小企業『指導』法(いまの支援よりもトップダウン色が強いですね)が策定され、指導員をバンバン派遣している状況でもありました(ちなみに当時の中小企業指導員は公務員限定の資格でした)。

中小企業に焦点を当てている点は変わらない

その後、長い変遷を経ていまの資格制度へと姿を変えてきたわけですが、その間、一貫して変わらなかったのは中小企業に焦点を当てている政策である点です。

これは診断士を勉強した方なら皆ご存じの通り、日本国の企業数の99.7%が中小企業で占められ、中小企業の経営改善こそが日本経済全体を元気にするだろう、という考え方に基づくものです。

ということで「中小企業の倒産・廃業を食い止めること」が前提で設立された資格であることから「中小企業」診断士となったわけです。

中小企業診断士の役割とは?

中小企業支援法の第十二条に下記の記述があります。

(中小企業の経営診断の業務に従事する者に係る試験)第十二条 
経済産業大臣は、中小企業の経営診断の業務に従事する者の資質の向上を図るため、中小企業の経営診断に関する必要な知識についての試験を行う。(以下省略)

中小企業支援法より

下線部で示した通り、中小企業診断士の役割は『「中小企業」の経営診断の業務に従事する者』とされており、支援先対象として「中小企業」が明記されております。

中小企業基盤整備機構や商工会・商工会議所等が、政府・官公庁・自治体のバックアップのもと中小企業向けの支援施策を推進しておりますが、診断士はこうした支援施策の伝道師として中小企業の経営資源の確保を支援する役割があることが分かります

この動きを後押しする目的として、中小企業診断士試験には中小企業経営・政策という科目が設定されております(これは学習領域がかなり近いと言われているMBAでも学ばない領域です)。

中小企業診断士は大企業のコンサルはできない?

では、中小企業支援法に基づく中小企業診断士は大企業のコンサルができないのでしょうか?

そんなことは決してありませんし、私自身や中小企業診断士の多くの方々は実際に大企業からオファーを受け、経営コンサルティングを実施しております

実際に診断士で学ぶ領域は、経営戦略・財務会計・マーケティング・法務・ITなど幅広く、中小企業・大企業といった区分で分ける必要性がないくらい普遍的な内容です。

一方で、大企業に求められるコンサルティングは量も幅も広く、イチ診断士で到底カバーできるものではないため、例えば人事労務・海外展開・マーケティングの中でもある特定の部分に限定して発注されることが多いでしょう。

  • 人事・労務 ⇒ 報酬制度改定、社員研修、など
  • 海外展開 ⇒ 展示会企画、海外パートナー開拓、など
  • マーケティング ⇒ SEO、広告運用、など

大企業向けのスコープの広いコンサルティングであれば、人財も豊富な経営コンサルティングファームに依頼が流れることが多いでしょうが、上記の通り、中小企業診断士としても大企業からオファーを受けられます。

大企業向けのコンサルティングを実施するのであれば、別の肩書(例:人事コンサルタント、Webコンサルタント、など)を名乗って提案した方が良いでしょう。

まとめ

以上、本記事では「なぜ大企業診断士じゃないのか?」について紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?

ご質問ある方は是非コメント欄に書き込んで頂けると幸いです。

お答えできる範囲で答えさせて頂きます。

それでは、最後まで読んで頂きありがとうございました!

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