どうも、Tomatsuです。
診断士試験の財務・会計において最も出題が多い「標準原価計算」。
本記事では「標準原価計算」の問題で問われる「原価差異」のやり方について解説します。
前提知識が無くても理解できるように解説しようと思いますが、
- 原価計算って色んな用語があって混乱している
- 原価計算における「標準原価計算」の位置づけが分からない
上記のいずれかに該当される方は下記記事から読んで頂けるとスムーズかと思います。
原価計算の主要論点である「標準原価計算」「原価差異」の解き方について解説します。
標準原価計算とは?

「標準原価計算」とは、製品を製造する前に「標準的な原価(標準原価)」を設定し、製造後に「実際にかかった原価との差異」を算出する方法です。
とてもシンプルですね。
差異を把握し、原因を分析することで、今後の生産活動に活かすという目的があります。
原価計算全体における位置づけ
計算方法の確認の前に原価計算全体における「標準原価計算の位置づけ」を確認しましょう。
下図をご覧ください。

厳密に言えば、標準原価計算にも「標準個別原価計算」と「標準総合原価計算」の二種類があります。
診断士試験では「標準総合原価計算」の方しか問われませんので、本記事では「標準総合原価計算」に絞って解説します。
標準原価の種類

標準原価は主に「標準材料費」と「標準労務費」に分けられます。
- 標準材料費 = 標準消費量 × 標準価格
- 標準労務費 = 標準作業時間 × 標準賃率
二種類ありますが計算の仕方は完全に同じで「物量標準」と「価格標準」の掛け算で求めます。
「物量標準」は投入を予定している「標準消費量」や「標準作業時間」などの生産要素を表します。
一方「価格標準」は投入を予定している材料や労働力の価格、すなわち「標準価格」や「標準賃率」を指します。
標準原価計算のイメージ
標準原価計算のイメージは下図の通りです。

試験対策上は「4. 標準と実際の差異分析」の下記をマスターする必要があります。
- 材料費差異分析
(価格差異・数量差異) - 労務費差異分析
(賃率差異・時間差異)
ここからは差異分析の方法について説明していきます。
差異分析の計算内容

ケーススタディを通して計算内容を確認しましょう。
当月の直接材料に関するデータは以下のとおりであった。(a) 価格差異と(b) 数量差異を分析せよ。

材料費差異(価格差異・数量差異)を求める問題となります。
ボックス図を駆使する
原価差異分析ではボックス図を使います。

基本的には上図の通り「タテ軸に価格標準」、「ヨコ軸に物量標準」を書き込みます。
これは材料費差異だろうが労務費差異だろうが一緒です。
もう一点。
ここで重要なのが「価格差異」と「数量差異」の範囲・求め方を覚えることです。
- 価格差異:(標準価格-実際価格)×(実際消費量)
- 数量差異:(標準消費量-実際消費量)×(標準価格)
「価格差異」では「実際消費量」を掛け算の対象とするのに対して、「数量差異」では「標準価格」を掛け算対象とします。
これはボックス図の構成さえ覚えておけば簡単に導出できますが、初見の方は特に混乱しがちですのでしっかりおさえておきましょう。
(a) 価格差異の計算
では実際に価格差異を求めていきましょう。


価格差異では、まず「標準価格の400円/トン」を「実際価格の450円/トン」で引いて「価格差=-50円/トン」を求めます。
マイナスになる理由は、標準価格よりも実際価格の方が高い今回のようなケースは「原価差異分析」において「不利になる」からです。
言い換えると「予定よりも高い材料を買っている(不利)」ということです。
次に「-50円/トン」を「実際消費量の1,100トン」と掛け算して「価格差異=-55,000円」を算出します。
計算結果がマイナスなので「55,000円の不利差異が生じた」という解答になります。
今回の例は該当しませんが、値がプラスの場合(実際価格の方が低い場合)は「有利差異」となりますので覚えておいてください。
(b) 数量差異の計算
次に数量差異を計算しましょう。

考え方は価格差異と同じです。
ボックス図で示された範囲で掛け算を実施しましょう。
「40,000円の不利差異が生じる」という解答にいきつくと思います。
労務費差異分析でも計算方法は一緒

これまで「材料費差異」の解き方について解説してきましたが、計算方法・ボックス図の考え方などは「労務費差異」でも同じです。
労務費差異では以下のボックス図および計算式を用います。

- 賃率差異:(標準賃率-実際賃率)×(実際労働時間)
- 時間差異:(標準労働時間-実際労働時間)×(標準賃率)
過去問に挑戦しよう
「標準原価計算」「原価差異」のコンセプトが理解できたら次は過去問に挑戦しましょう。
- H28 第7問
- H29 第9問
H29 第9問の方はちょっと難しめで下記記事で学んだ「当期投入量」をもとに標準作業時間を計算することがポイントです。
これが解けるようになれば標準原価計算はOKと思いますので是非チャレンジしてみて下さい。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
以下に他の原価計算系の記事もまとめておりますので是非チェックしてみて下さい。
数量差異の4000円は40000円の間違いでしょうか?
匿名さん、
ご指摘頂きありがとうございます!
おっしゃる通り40,000円の誤りでした。修正致します。